135 / 173
第135話 卒業式
しおりを挟む
宿にてドナルドにヤーマの事を聞いたら、流石にアイリーンの姿のままだと王女の為手が出せなかったがと言いつつ、本当のヤーマの姿を見ると、その肢体について評価を始めた。
「まだ胸が膨らむ前の姿しか知らないが、中々そそる体になってきたじゃないか!あの体であのしぐさ、剥くとさぞや美味しいんだろうな。あの子より抱き心地はよさそうだな」
「なぁ、お前に何があったか知らんが、護衛はどうしてたんだ?」
「あの生意気な女をひぃひぃ言わせたくなる思いをしたとしか言えんな。悪い事は言わん。ちょん切られたくなかったら手を出さない方が良いぞ。ああ、護衛だったな?寮には入れないし、実質週に1度の休息日に買い物に出る時の護衛しか必要ないから、娼館に行ったりしていたよ。それより卒業式のあと、あいつを襲って汚してやろうぜ!ああ、あんたお貴族様だったな、初めてを奪うのはあんたに譲ってやるから、その後は俺にくれよ!な、よいだろ?」
「お前、女をなんだと思っているんだ?」
「ああん?そんなの股を開くしか能のない男の奴隷に決まってんだろ!あんたは沢山の美人を侍らせてうまくやってるよな!羨ましいぜ。美人のお守りをするのにやれないなんて苦痛だぜ!」
俺は声が出なかった。
病んでいるのだろう。
話に一貫性がない。
ヤーマに手を出すのはやめたほうが良いと言った次の瞬間、一緒に彼女を襲い、回そうとヘドが出るような事をいけしゃあしゃあと言ってのけた。
真面目な騎士だと聞いていたが、どうやらヤーマに知られないようにしつつ、相当やんちゃをしていたようだ。
「護衛の割に好き放題やってたんだな。まあ人の事を言えないんだろうが、そのうちベットの上で噛みちぎられ兼ねないぞ!悪いが旅で疲れているからそろそろ寝るよ」
何か言っていたが、本当に疲れていたので横になるとすぐに眠りに落ち、そうやって合流した初日を終えた。
翌日俺達は宿を分けた。
アイリーン、タニス、ヨルミクル、イザベルには別の宿に移ってもらい、俺にも所在を伝えないようにした。それはこれから魔法学校を訪れるからだ。
俺はヤーマ、リリアナ、メイヤ、ドナルドと共に魔法学校に赴き、校長の前で姿を変え、暗殺の危険から身を隠していることなど話し、明日の卒業式には参加すると伝え、学校を後にした。
護衛のドナルドがいたので信じてくれたが、今日のヤーマはメイド服姿だ。
この時期多くの者が訪れるので、そんな中に紛れ込めた。
・
・
・
魔法学校の卒業式の開始時間が迫っていた。魔法学校の中庭は、まるで夢の世界だった。華やかな建物が並び、高い塔は空に突き刺さっているかのようにみえるほどだ。その塔は星の光で飾られ、夜空に浮かぶ魔法陣のように見えた。
卒業式当日、生徒たちは白い制服に身を包み、中庭に集まった。彼らは緊張と期待で胸を高鳴らせていた。
中には感極まり泣いている者もいる。
魔法学校の先生たちは厳しい顔で壇上に立ち、生徒たちを見下ろしていた。
長い歴史と格式高い学校の為、卒業式とはいえ、生徒に甘い顔を見せない。
若い教師の中には生徒と同じく感極まり、目頭を熱くしている者もいるが、それでも威厳を持って挑んでいた。
セルカッツはヤーマ(アイリーン)と共に列に並んだ。貴族は保護者や婚約者が家を代表して付き添う。
アイリーンの場合、王族なのを隠す為に婚約者側のダイランド家がそれを担う。
セルカッツは目を輝かせて周りを見回して1言つぶやいた。
「まるでアニメだな」
隣にいるヤーマも同じく感嘆の表情を浮かべていたが、アニメ?と首を傾げる。
異世界もののアニメとかで出てきそうなザッツ学校だったからだ。
渡り廊下すら絢爛豪華で、金持ちしか入れないような学校の内装に、趣味の悪い成金的なのだなと、内心では毒づく。
因みに本物のアイリーンは、ヨルミクル、イザベル、タニスと共に宿で待機だ。
校長先生がマイク代わりの魔道具を持って壇上に立った。
「我らが誇る、優秀な生徒の皆さん、卒業おめでとう。魔法学校での日々はあっという間だったが、皆さんは素晴らしい成長を遂げた・・・・」
中庭には花々が咲き乱れ、鳥たちがさえずっていた。風はやさしく吹き抜け、生徒たちのローブを揺らしていた。
長々とした校長の訓示に飽きてきた頃、漸く卒業式も後半に差し掛かった。
「・・・さて、卒業証書授与を執り行います。・・・最後になります。卒業生代表アイリーン・ダイランドさん、おめでとう」
ヤーマは名前を呼ばれて前に出た。彼女は制服の袖から手を出し、校長先生から証書を受け取った。その瞬間、中庭全体が拍手と歓声で溢れた。
「君は本当に素晴らしい」
セルカッツはヤーマを見つめ心の中で呟いたが、それはアイリーンに対してなのか、ヤーマに対してなのか?
こうして魔法学校の卒業式は終わり、卒業生は新しい生活や、心躍る冒険が始まることに、胸をときめかせるのだった。
「まだ胸が膨らむ前の姿しか知らないが、中々そそる体になってきたじゃないか!あの体であのしぐさ、剥くとさぞや美味しいんだろうな。あの子より抱き心地はよさそうだな」
「なぁ、お前に何があったか知らんが、護衛はどうしてたんだ?」
「あの生意気な女をひぃひぃ言わせたくなる思いをしたとしか言えんな。悪い事は言わん。ちょん切られたくなかったら手を出さない方が良いぞ。ああ、護衛だったな?寮には入れないし、実質週に1度の休息日に買い物に出る時の護衛しか必要ないから、娼館に行ったりしていたよ。それより卒業式のあと、あいつを襲って汚してやろうぜ!ああ、あんたお貴族様だったな、初めてを奪うのはあんたに譲ってやるから、その後は俺にくれよ!な、よいだろ?」
「お前、女をなんだと思っているんだ?」
「ああん?そんなの股を開くしか能のない男の奴隷に決まってんだろ!あんたは沢山の美人を侍らせてうまくやってるよな!羨ましいぜ。美人のお守りをするのにやれないなんて苦痛だぜ!」
俺は声が出なかった。
病んでいるのだろう。
話に一貫性がない。
ヤーマに手を出すのはやめたほうが良いと言った次の瞬間、一緒に彼女を襲い、回そうとヘドが出るような事をいけしゃあしゃあと言ってのけた。
真面目な騎士だと聞いていたが、どうやらヤーマに知られないようにしつつ、相当やんちゃをしていたようだ。
「護衛の割に好き放題やってたんだな。まあ人の事を言えないんだろうが、そのうちベットの上で噛みちぎられ兼ねないぞ!悪いが旅で疲れているからそろそろ寝るよ」
何か言っていたが、本当に疲れていたので横になるとすぐに眠りに落ち、そうやって合流した初日を終えた。
翌日俺達は宿を分けた。
アイリーン、タニス、ヨルミクル、イザベルには別の宿に移ってもらい、俺にも所在を伝えないようにした。それはこれから魔法学校を訪れるからだ。
俺はヤーマ、リリアナ、メイヤ、ドナルドと共に魔法学校に赴き、校長の前で姿を変え、暗殺の危険から身を隠していることなど話し、明日の卒業式には参加すると伝え、学校を後にした。
護衛のドナルドがいたので信じてくれたが、今日のヤーマはメイド服姿だ。
この時期多くの者が訪れるので、そんな中に紛れ込めた。
・
・
・
魔法学校の卒業式の開始時間が迫っていた。魔法学校の中庭は、まるで夢の世界だった。華やかな建物が並び、高い塔は空に突き刺さっているかのようにみえるほどだ。その塔は星の光で飾られ、夜空に浮かぶ魔法陣のように見えた。
卒業式当日、生徒たちは白い制服に身を包み、中庭に集まった。彼らは緊張と期待で胸を高鳴らせていた。
中には感極まり泣いている者もいる。
魔法学校の先生たちは厳しい顔で壇上に立ち、生徒たちを見下ろしていた。
長い歴史と格式高い学校の為、卒業式とはいえ、生徒に甘い顔を見せない。
若い教師の中には生徒と同じく感極まり、目頭を熱くしている者もいるが、それでも威厳を持って挑んでいた。
セルカッツはヤーマ(アイリーン)と共に列に並んだ。貴族は保護者や婚約者が家を代表して付き添う。
アイリーンの場合、王族なのを隠す為に婚約者側のダイランド家がそれを担う。
セルカッツは目を輝かせて周りを見回して1言つぶやいた。
「まるでアニメだな」
隣にいるヤーマも同じく感嘆の表情を浮かべていたが、アニメ?と首を傾げる。
異世界もののアニメとかで出てきそうなザッツ学校だったからだ。
渡り廊下すら絢爛豪華で、金持ちしか入れないような学校の内装に、趣味の悪い成金的なのだなと、内心では毒づく。
因みに本物のアイリーンは、ヨルミクル、イザベル、タニスと共に宿で待機だ。
校長先生がマイク代わりの魔道具を持って壇上に立った。
「我らが誇る、優秀な生徒の皆さん、卒業おめでとう。魔法学校での日々はあっという間だったが、皆さんは素晴らしい成長を遂げた・・・・」
中庭には花々が咲き乱れ、鳥たちがさえずっていた。風はやさしく吹き抜け、生徒たちのローブを揺らしていた。
長々とした校長の訓示に飽きてきた頃、漸く卒業式も後半に差し掛かった。
「・・・さて、卒業証書授与を執り行います。・・・最後になります。卒業生代表アイリーン・ダイランドさん、おめでとう」
ヤーマは名前を呼ばれて前に出た。彼女は制服の袖から手を出し、校長先生から証書を受け取った。その瞬間、中庭全体が拍手と歓声で溢れた。
「君は本当に素晴らしい」
セルカッツはヤーマを見つめ心の中で呟いたが、それはアイリーンに対してなのか、ヤーマに対してなのか?
こうして魔法学校の卒業式は終わり、卒業生は新しい生活や、心躍る冒険が始まることに、胸をときめかせるのだった。
12
お気に入りに追加
219
あなたにおすすめの小説
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜
KeyBow
ファンタジー
カクヨムで異世界もの週間ランク70位!
VRMMORゲームの大会のネタ副賞の異世界転生は本物だった!しかもモブスタート!?
副賞は異世界転移権。ネタ特典だと思ったが、何故かリアル異世界に転移した。これは無双の予感?いえ一般人のモブとしてスタートでした!!
ある女神の妨害工作により本来出会える仲間は冒頭で死亡・・・
ゲームとリアルの違いに戸惑いつつも、メインヒロインとの出会いがあるのか?あるよね?と主人公は思うのだが・・・
しかし主人公はそんな妨害をゲーム知識で切り抜け、無双していく!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる