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第126話 リリアナ・フォルティス
しおりを挟む俺達は盗賊団のボスを奴隷にした後、アジト内を探索した。
そこには金、宝石類、武器や魔法道具が山積みになっていた。
おそらく盗賊達が略奪したものだろう。
俺達はそれらを持ち出すことにした。
せっかくだから自分達の旅費や屋敷の運用資金にしようと思う。
しかしその時、突然正面入口から大きな音がした。
俺達は驚いて入口から外を見ると、そこには騎士団の紋章が描かれた旗が見えた。
「何だ!?騎士団か!?」
「どうしてここに!?」
「まずいぞ!俺達は盗賊と間違われるかもしれない!」
俺達は慌てて逃げようとしたが、すでに騎士団の兵士が建物に入ってきていた。
「おい!ここにも盗賊が残ってるぞ!捕まえろ!」
「待て!我々は盗賊じゃない!」
「嘘つけ!この部屋にいる奴は全員盗賊に決まっているだろう!!大人しくしろ!」
兵士達は俺達に向かって剣を振り下ろして来たので必死に防御したが、騎士相手に反撃をする訳にも行かず防戦一方で、更に数で圧倒されていた。
つまりジリ貧だ。
「くうっ!どうすればよいのでござるか!?」
「セルカッツ様、私達は無実なのよ!説明しなきゃ!」
「そうだな。でも、今は話を聞いてくれるような状況じゃなさそうだ・・・」
俺達は追い詰められていた。
しかし・・・その時、奇跡が起きた。
「待て!その者達を傷つけるな!」
突然、騎士団の中から1人の女性が現れたのだ。
彼女は金髪碧眼で美しい顔立ちをしており、騎士団の制服を着ていた。
「あなたは・・・」
俺は彼女を見て驚いた。
彼女は俺が闘技大会で出会った騎士だった。彼女の名前はリリアナ・フォルティスと言う。
「リリアナさん!?どうしてここに!?」
「セルカッツさん!?何故貴方がここにいるのですか!?」
彼女も俺を見て驚いたが、はっとなり俺に近づくと兵士達に命令した。
「この者達を放せ!彼らは盗賊ではありません!私が保証します!」
「えっ?でも・・・」
「言ったでしょう!放せと!私はこの作戦の責任者です!私の命令に従わない者は処罰します!」
彼女の言葉に兵士達は恐れおののき、俺達を解放した。
「ありがとう、リリアナさん。助かりました」
「どういたしまして、セルカッツさん。でも、どうしてあなた達はここにいるんですか?この館はこの辺り一帯を悩ます盗賊団のアジトなのよ」
俺はリリアナさんに事情を説明した。盗賊に襲われたこと、ハーニャの影武者を救うために来たことを伏せつつ王都にある魔法学園に用事があり、この町で泊まった宿が盗賊に襲われ、逆に捕まえてそいつらのアジトを襲撃したこと、盗賊のボスを奴隷にしたことなどを話した。
「なるほど、そういうことだったんですね。それなら納得です。あなた達は本当にすごいですね。盗賊のボスを奴隷にするなんて・・・」
「ええ、まあ・・・」
俺は少し照れくさくなった。リリアナさんは俺達を感心したように見ていたが、すぐに真剣な顔になった。
「でも、これは問題ですね。あなた達が今夜盗賊団のアジトを襲撃したということは、騎士団の作戦を邪魔したということになります。それは許されません」
「えっ?でも、我々は騎士団が作戦を遂行中だなんて知らなかったんですよ!」
「それでも、事実は変わりません。あなた達は騎士団の管轄するこの町で暴力行為を行ったということです。それは法律に反します」
「そんな・・・」
俺達は困惑した。リリアナさんは俺達を助けてくれたが、それでも騎士団の規律に従わなければならなかった。
「どうしよう・・・」
「セルカッツさん、私はあなた達が無実だと信じています。でも、私も騎士団の一員です。私にも義務があります」
リリアナさんは悩んだように言った。彼女は俺達に同情してくれているが、それでも正義感が強い人だった。
「だから、私はあなた達に提案します。あなた達は私の部下として騎士団に入ってください。そうすれば、あなた達の罪は免除されますし、私もあなた達を守れます」
「騎士団に入る?」
俺達は驚いてリリアナさんを見た。彼女は真剣な表情で俺達に言った。
「はい。あなた達は魔法も使えるし、戦闘力も高いし、正義感もある。私はあなた達が騎士団にふさわしいと思います。私の部下として働いてくれませんか?」
リリアナさんの提案に俺達はどう答えるべきか迷った。騎士団に入れば罪を免れるが、騎士団に入れば自由が制限されるし、ハーニャの影武者を救うという旅の目的を放棄しなければならない。
俺達は互いに目配せし、意思を確認した。
そして、俺が代表してリリアナさんに答える事にした。
・・・
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