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第99話 屋敷が回る!
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あれよあれよといった感じに、2人との雇用契約が進んだ。
2人にはこの屋敷で鏡を作っている事を話し、口外しないようにお願いをした。
昼食の後、木工細工に最適なスキルをもつ者に洗濯板の作り方を説明し、いくつかを作った。
取り敢えずそれを使って洗濯をしてもらう。
あくまで他の商品の引き立て役としての商品なので、細かい作り込みまでしなくても良い。
だが、基本を抑えていないと話にならないから、形状を変えた試作品の中から良いのを選び、それを見本とする。
しかし、いきなり売るのは危険なので、使用してもらって意見を聞く。
改良の余地は大きいが、それは模造品を作るやつがすればよい。
洗濯板を作るのには理由がある。
生産系のスキルは作れば作るだけ経験値が入る。
それによりレベルが上がり、スキルのレベルも上がるので、洗濯板の作成を大量にすることに意味があった。
お金は二の次なんだ。
当面の目票は鏡の枠を作ること。
今は簡素な飾り気のないシンプルな枠だけなんだ。
彼女のスキル練度がまだ低く、最低限のしか出来なかった。
スキルレベルが上がると、彫刻が施され、鏡の価値も上がる・・・はずかな。
鏡本体を作るメンバーもそうだけど、俺のスキルでレベルを上げてはいけない気がして、敢えて上げずに、数をこなして地道に上げている。
ウルナ達はそのようなことを知らなかったから、細々と作っていてレベルが上がっていなかった。
なので大したモノが作れず、中々売れない。
それに連携して付加価値のあるモノを作る発想がなかった。
なのでお金がなかった。
つまり負のスパイラルに陥っていたんだ。
俺が彼女達を利用していると思わないのか?
そんな事をウルナに聞いてみたんだが、全く思っていないと言い切ったんだ。
「俺は君達を利用してコネを作り、金を稼ぎたいだけなんだよ!」
「はいはい。そういう事にしておきましょうね」
「ホントの事だぞ?」
「もしそうならそれでも良いのよ。だって、こんな立派なお屋敷に住んでいるし、例え利用していたとしても、底辺の生活から救い出してくれたのは貴方なのよ。貴方はそんな事をしないけど、俺の子を産んでくれ!とあの子達に一言言えば、皆貴方の子を産むのよ」
「いや、流石にそれは・・・」
「例えよ。あの子達はそれほど貴方に感謝しているのよ。それに利用しているにしては貴方のお財布は中々膨らんでこないと思うの」
俺は苦笑するしか無かった。
ウルナといるとよく分からなくなる。
ふと気が付くと彼女達の可能性を広げる事に奔走していた。
俺の指示を一切疑わず実行する。
俺は俺で、最初はどんなスキル持ちなのか確認した時、稼ぐ事が可能だ!と思わなくはなかった。
次の瞬間、稼いだお金の使い道が頭に浮かんだ。
当然ながら稼ぐための経費を引いてと、計算はしていたんだ。
で、残った利益について真っ先に思ったのは、綺麗なというか、着飾る方じゃなく、継ぎ接ぎのない真新しい服に袖を通し、あんなボロ小屋じゃなく、まともな家に住ませてあげたいと思ったんだ。
確かにお金を稼ぐ為の事を考えたけど、不思議と私利私欲の為にとは思わなかった。
貴族らしからぬ考えなんだ。
それに支配欲とかじゃなく、彼女達が夜にストリートに立ち、あたしと遊んでかない?と酔っぱらいに抱かれる所を見たくなかった。
しかも鏡のを作らせ、それを見た時の顔を忘れられない。
作るのに関わったメンバーは例外なく泣いたからだ。
家事を皆で分担していたけど、無駄が多かった。
段取りが悪く、時折俺が指示をすることもあった。
これまではウルナが仕切れていたけど、残念だが貴族の屋敷に関してはやりようがなかった。
頑張っていたけど、勝手が違いすぎた。
だけどこれからは違う。
メイド長と執事長が来る!そうだ!屋敷が回る!
2人にはこの屋敷で鏡を作っている事を話し、口外しないようにお願いをした。
昼食の後、木工細工に最適なスキルをもつ者に洗濯板の作り方を説明し、いくつかを作った。
取り敢えずそれを使って洗濯をしてもらう。
あくまで他の商品の引き立て役としての商品なので、細かい作り込みまでしなくても良い。
だが、基本を抑えていないと話にならないから、形状を変えた試作品の中から良いのを選び、それを見本とする。
しかし、いきなり売るのは危険なので、使用してもらって意見を聞く。
改良の余地は大きいが、それは模造品を作るやつがすればよい。
洗濯板を作るのには理由がある。
生産系のスキルは作れば作るだけ経験値が入る。
それによりレベルが上がり、スキルのレベルも上がるので、洗濯板の作成を大量にすることに意味があった。
お金は二の次なんだ。
当面の目票は鏡の枠を作ること。
今は簡素な飾り気のないシンプルな枠だけなんだ。
彼女のスキル練度がまだ低く、最低限のしか出来なかった。
スキルレベルが上がると、彫刻が施され、鏡の価値も上がる・・・はずかな。
鏡本体を作るメンバーもそうだけど、俺のスキルでレベルを上げてはいけない気がして、敢えて上げずに、数をこなして地道に上げている。
ウルナ達はそのようなことを知らなかったから、細々と作っていてレベルが上がっていなかった。
なので大したモノが作れず、中々売れない。
それに連携して付加価値のあるモノを作る発想がなかった。
なのでお金がなかった。
つまり負のスパイラルに陥っていたんだ。
俺が彼女達を利用していると思わないのか?
そんな事をウルナに聞いてみたんだが、全く思っていないと言い切ったんだ。
「俺は君達を利用してコネを作り、金を稼ぎたいだけなんだよ!」
「はいはい。そういう事にしておきましょうね」
「ホントの事だぞ?」
「もしそうならそれでも良いのよ。だって、こんな立派なお屋敷に住んでいるし、例え利用していたとしても、底辺の生活から救い出してくれたのは貴方なのよ。貴方はそんな事をしないけど、俺の子を産んでくれ!とあの子達に一言言えば、皆貴方の子を産むのよ」
「いや、流石にそれは・・・」
「例えよ。あの子達はそれほど貴方に感謝しているのよ。それに利用しているにしては貴方のお財布は中々膨らんでこないと思うの」
俺は苦笑するしか無かった。
ウルナといるとよく分からなくなる。
ふと気が付くと彼女達の可能性を広げる事に奔走していた。
俺の指示を一切疑わず実行する。
俺は俺で、最初はどんなスキル持ちなのか確認した時、稼ぐ事が可能だ!と思わなくはなかった。
次の瞬間、稼いだお金の使い道が頭に浮かんだ。
当然ながら稼ぐための経費を引いてと、計算はしていたんだ。
で、残った利益について真っ先に思ったのは、綺麗なというか、着飾る方じゃなく、継ぎ接ぎのない真新しい服に袖を通し、あんなボロ小屋じゃなく、まともな家に住ませてあげたいと思ったんだ。
確かにお金を稼ぐ為の事を考えたけど、不思議と私利私欲の為にとは思わなかった。
貴族らしからぬ考えなんだ。
それに支配欲とかじゃなく、彼女達が夜にストリートに立ち、あたしと遊んでかない?と酔っぱらいに抱かれる所を見たくなかった。
しかも鏡のを作らせ、それを見た時の顔を忘れられない。
作るのに関わったメンバーは例外なく泣いたからだ。
家事を皆で分担していたけど、無駄が多かった。
段取りが悪く、時折俺が指示をすることもあった。
これまではウルナが仕切れていたけど、残念だが貴族の屋敷に関してはやりようがなかった。
頑張っていたけど、勝手が違いすぎた。
だけどこれからは違う。
メイド長と執事長が来る!そうだ!屋敷が回る!
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