98 / 173
第98話 ルイルさんとジンベエさん
しおりを挟む
ジンベエとルイルは先ず以前この屋敷で働いていた者の話をしていった。
2人を除き、次の働き先を決め、次は自分達の働き先をとなった時に、この屋敷が売却されたことを知り、顔だけでも出そうとしたのだと。
元のメイド長は後進の育成のために残っていたが、これを気に引退したのだとか。
執事長をしていたジンベエが2人以外の去就について話し終えると、深々と頭を下げてきた。
「厚かましいお願いだと思いますが、娘をメイドとして雇っていただけないでしょうか?」
「娘をというのは分かりましたが、貴方自身は雇ってくれと言わないのですか?」
「私は・・・私の事は良いのです。何とかします。ですが、この子はメイド以外の仕事を知りません」
「もし断ったらどうするおつもりですか?」
「正直、この町では働く先がないでしょう。さすれば王都にいき、そこで働く先を見つけなければなりません」
「道中魔物に襲われて死ぬ危険が大きいと思いますが。ジンベエさんはともかく、女性の身では無理でしょう」
「そうですね。お時間を取らせました」
2人は立ち上がるとお辞儀をした。
「どうされましたか?具体的な話がまだですよ?」
2人の顔がぱっと明るくなった。
「まず座りませんか?てっきり領主様が落ち着いたら元の使用人を派遣してくると思ったんですがね。これは悪いことをしましたね。少ないが使用人はいたと言っていたんで」
「といいますと?」
「このメイヤ達はメイドとして教育されておりますが、今は冒険者で、使用人が見つかるまで一旦屋敷のことをお願いしていたんですよ。つまり来るのを待っていたんですよ」
「そ、それでは?」
「もちろん来てほしいです。メイド長と使用人のまとめとして。といっても、ここは子どもたちが多く、メイドや執事を希望するものに教育してほしいんです。もちろん他の人を誘っていただいても構いません。失礼かもですが、ルイルさんはお子さんがいて、見習いをしているとか?もしそうなら、その子を見習いとしたり、住み込みでも構いませんよ」
「ど、どうしてお分かりになったのですか?」
「いや、失礼ですが、ルイルさんの年齢だともう10歳位の子がいてもおかしくないですし、私の母は恐らくルイルさんより2、3歳ほど上なだけだったと思いますので。15、16歳で子を産む人は珍しくもありませんし」
「おっしゃるとおりです。上の子は13歳で執事見習い、下の子は11歳でメイド見習いをしており、そのことを頼もうかとも思っていたのです」
「見ての通り、冒険者パーティーばかりなのと、孤児を引き取ったようなもので、人が足りず困っていたんです。雇用条件は前の所の条件をベースに多少は増やしたいと思います」
「宜しいので?減らすのが一般的ですよ?」
「俺も家を追い出されはしましたが、侯爵家の子息ですから、その辺りの事情は承知しているつもりです。では具体的な話は、食事をし、部屋を移ってからにしましょうか?」
そうやって屋敷の運用について、1つ解決したが、問題は山積みであった。
2人を除き、次の働き先を決め、次は自分達の働き先をとなった時に、この屋敷が売却されたことを知り、顔だけでも出そうとしたのだと。
元のメイド長は後進の育成のために残っていたが、これを気に引退したのだとか。
執事長をしていたジンベエが2人以外の去就について話し終えると、深々と頭を下げてきた。
「厚かましいお願いだと思いますが、娘をメイドとして雇っていただけないでしょうか?」
「娘をというのは分かりましたが、貴方自身は雇ってくれと言わないのですか?」
「私は・・・私の事は良いのです。何とかします。ですが、この子はメイド以外の仕事を知りません」
「もし断ったらどうするおつもりですか?」
「正直、この町では働く先がないでしょう。さすれば王都にいき、そこで働く先を見つけなければなりません」
「道中魔物に襲われて死ぬ危険が大きいと思いますが。ジンベエさんはともかく、女性の身では無理でしょう」
「そうですね。お時間を取らせました」
2人は立ち上がるとお辞儀をした。
「どうされましたか?具体的な話がまだですよ?」
2人の顔がぱっと明るくなった。
「まず座りませんか?てっきり領主様が落ち着いたら元の使用人を派遣してくると思ったんですがね。これは悪いことをしましたね。少ないが使用人はいたと言っていたんで」
「といいますと?」
「このメイヤ達はメイドとして教育されておりますが、今は冒険者で、使用人が見つかるまで一旦屋敷のことをお願いしていたんですよ。つまり来るのを待っていたんですよ」
「そ、それでは?」
「もちろん来てほしいです。メイド長と使用人のまとめとして。といっても、ここは子どもたちが多く、メイドや執事を希望するものに教育してほしいんです。もちろん他の人を誘っていただいても構いません。失礼かもですが、ルイルさんはお子さんがいて、見習いをしているとか?もしそうなら、その子を見習いとしたり、住み込みでも構いませんよ」
「ど、どうしてお分かりになったのですか?」
「いや、失礼ですが、ルイルさんの年齢だともう10歳位の子がいてもおかしくないですし、私の母は恐らくルイルさんより2、3歳ほど上なだけだったと思いますので。15、16歳で子を産む人は珍しくもありませんし」
「おっしゃるとおりです。上の子は13歳で執事見習い、下の子は11歳でメイド見習いをしており、そのことを頼もうかとも思っていたのです」
「見ての通り、冒険者パーティーばかりなのと、孤児を引き取ったようなもので、人が足りず困っていたんです。雇用条件は前の所の条件をベースに多少は増やしたいと思います」
「宜しいので?減らすのが一般的ですよ?」
「俺も家を追い出されはしましたが、侯爵家の子息ですから、その辺りの事情は承知しているつもりです。では具体的な話は、食事をし、部屋を移ってからにしましょうか?」
そうやって屋敷の運用について、1つ解決したが、問題は山積みであった。
11
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる