89 / 173
第89話 土下座
しおりを挟む
「なんのなんの!大したことではござらんよ!カカカ!」
とは煤だらけの大男ダイダルスだ。
ミルギナンも煤だらけで、それに反しアルテイシア、スメイル、コルニアは気だるそうにしているが、比較的身綺麗た。
俺が3人を見たからか、ミルギナンが頭をポリポリとかきながらポツリと言った。
「女を汚す訳にはいかぬのです」
確かに3人の服には汚れが少ない。
ただ、火災が発生している建物から外に出ているから多少は煤が付いている。
今は宿に入れない。
なので着の身着のままで、財布が入ったカバンをスメイルとアルテイシアが持ち出すのが精一杯だったらしい。
2人は枕元に着替、ナイフ、財布を入れた小さなカバンを置いており、有事の際もベッドから飛び降りざまに引っ掴めるのだとか。
ダイダルスが神妙な面持ちをしていて、俺に何か言い掛けたが、メイヤが機先を制した。
「皆さん、火事で大変だったようですので、一旦お屋敷でお風呂に入って下さい。その間に着る物をなんとかしますから。お話は身なりを整え、落ち着いてからにしましょう!男性は・・・」
メイヤの言葉に俺も追躡した。
勝手な事をと言ったけど、気が利かなかったから有り難いと言っておく。
ダイダルスが何か言い掛けていたのが気になるが、どちらにしろ玄関先で話す事じゃなさそうだ。
体のでかい2人は俺が使う風呂、女性3人は使用人用の簡素な風呂に案内していたな。
使用人の風呂でも、一般家庭には風呂はないから、流石貴族の屋敷と3人が唸っていたな。
貴族たるもの、使用人の身なりが悪いのは、主人としての風聞が悪い。
なので汚れたら自由に使わせるのが当たり前だ。
ただ、服は自分で洗うのだけどね。
女性陣には一旦メイド服、大男2人にはミジックルの服を着て貰い、今はタニスとハーニャ、ウルナさんの仲間が服を買いに行っている。
そこに子供達も同行させている。
改まった話になりそうだったので、こざっぱりした後、子供達を買い物について行かせる名目で一旦居間から追い出していた。
5人で居間に来ると、いきなりミルギナンとダイダルスが土下座をした。
俺もそうだが、皆唖然となった。
「セルカッツ殿、身勝手なお願いで申し訳ありませぬが、私とミルギナンを奴隷にしてくだされ。そして、アルテイシア、スメイル、コルニアの3人を開放して頂きたい。彼女たちはあなたの奴隷になるような賭けをしたのは私たちのせいです。私達は彼女達に責任を持ちます。どうか、受け入れてくださらぬか!」
ダイダルスは頭を床に擦り付け ミルギナンも同じく頭を床に擦り付けている。
「何を言っているんだ、ダイダルス
ミルギナン!貴方達は私達は闘技場で試合をしたが、今はもう仲間だろ?」
「2人が奴隷になるなんて、絶対に嫌だわ。セルカッツ様もそんなことは望んでいないはずよ!」
アルテイシアは立ち上がってダイダルスに抗議し、スメイルとコルニアも同じく頷いた。
「そうだよ、ダイダルス。俺達は貴方達のことを尊敬しているよ。貴男達は私達に夢を与えてくれたのよ。貴方達が奴隷になるなんて、許さないわ!」
スメイルは涙ぐみながら言った。 コルニアも目に涙を浮かべていた。
「私も同じです。ダイダルスさん、ミルギナンさん、貴方達は私達の良き仲間でありライバルです。貴方達が奴隷になるのは見過ごせません。セルカッツ様、どうかお許しください!」
コルニアは両手を合わせて懇願した。
俺は驚いていた。
この5人は武闘大会の決勝で確かに戦った相手だが、憎しみ合ったのではなく、好敵手いや、ライバルであり、黒き薔薇という誇り高いパーティーだ。 全員平民だが、武闘大会で優勝する事を目指していた。
しかし、俺のパーティーとの勝負に負けてしまった。
それでも、彼らは俺のパーティーと意気投合したんだ。
「分かりました。では5人共そこに正座して下さい!」
そこから説教をたれた。
自分を大切にしろだとか、反省させ、後悔させる為に俺に純潔を捧げんと寝所に赴かせた事等を話してやった。
「・・・という訳で、2度とこのような馬鹿な真似はしないと約束できるか!?」
5人はキョトンとしながら頷いた。
「元々数日以内に開放しようとしていたんだぞ!」
「そ、それじゃあ私達がしたことって?」
「ああ。意味がなかったんだよ!」
唖然となっていたが、そろそろ虐めるのも可哀想になってきたので、3人をさくっと開放した。
とは煤だらけの大男ダイダルスだ。
ミルギナンも煤だらけで、それに反しアルテイシア、スメイル、コルニアは気だるそうにしているが、比較的身綺麗た。
俺が3人を見たからか、ミルギナンが頭をポリポリとかきながらポツリと言った。
「女を汚す訳にはいかぬのです」
確かに3人の服には汚れが少ない。
ただ、火災が発生している建物から外に出ているから多少は煤が付いている。
今は宿に入れない。
なので着の身着のままで、財布が入ったカバンをスメイルとアルテイシアが持ち出すのが精一杯だったらしい。
2人は枕元に着替、ナイフ、財布を入れた小さなカバンを置いており、有事の際もベッドから飛び降りざまに引っ掴めるのだとか。
ダイダルスが神妙な面持ちをしていて、俺に何か言い掛けたが、メイヤが機先を制した。
「皆さん、火事で大変だったようですので、一旦お屋敷でお風呂に入って下さい。その間に着る物をなんとかしますから。お話は身なりを整え、落ち着いてからにしましょう!男性は・・・」
メイヤの言葉に俺も追躡した。
勝手な事をと言ったけど、気が利かなかったから有り難いと言っておく。
ダイダルスが何か言い掛けていたのが気になるが、どちらにしろ玄関先で話す事じゃなさそうだ。
体のでかい2人は俺が使う風呂、女性3人は使用人用の簡素な風呂に案内していたな。
使用人の風呂でも、一般家庭には風呂はないから、流石貴族の屋敷と3人が唸っていたな。
貴族たるもの、使用人の身なりが悪いのは、主人としての風聞が悪い。
なので汚れたら自由に使わせるのが当たり前だ。
ただ、服は自分で洗うのだけどね。
女性陣には一旦メイド服、大男2人にはミジックルの服を着て貰い、今はタニスとハーニャ、ウルナさんの仲間が服を買いに行っている。
そこに子供達も同行させている。
改まった話になりそうだったので、こざっぱりした後、子供達を買い物について行かせる名目で一旦居間から追い出していた。
5人で居間に来ると、いきなりミルギナンとダイダルスが土下座をした。
俺もそうだが、皆唖然となった。
「セルカッツ殿、身勝手なお願いで申し訳ありませぬが、私とミルギナンを奴隷にしてくだされ。そして、アルテイシア、スメイル、コルニアの3人を開放して頂きたい。彼女たちはあなたの奴隷になるような賭けをしたのは私たちのせいです。私達は彼女達に責任を持ちます。どうか、受け入れてくださらぬか!」
ダイダルスは頭を床に擦り付け ミルギナンも同じく頭を床に擦り付けている。
「何を言っているんだ、ダイダルス
ミルギナン!貴方達は私達は闘技場で試合をしたが、今はもう仲間だろ?」
「2人が奴隷になるなんて、絶対に嫌だわ。セルカッツ様もそんなことは望んでいないはずよ!」
アルテイシアは立ち上がってダイダルスに抗議し、スメイルとコルニアも同じく頷いた。
「そうだよ、ダイダルス。俺達は貴方達のことを尊敬しているよ。貴男達は私達に夢を与えてくれたのよ。貴方達が奴隷になるなんて、許さないわ!」
スメイルは涙ぐみながら言った。 コルニアも目に涙を浮かべていた。
「私も同じです。ダイダルスさん、ミルギナンさん、貴方達は私達の良き仲間でありライバルです。貴方達が奴隷になるのは見過ごせません。セルカッツ様、どうかお許しください!」
コルニアは両手を合わせて懇願した。
俺は驚いていた。
この5人は武闘大会の決勝で確かに戦った相手だが、憎しみ合ったのではなく、好敵手いや、ライバルであり、黒き薔薇という誇り高いパーティーだ。 全員平民だが、武闘大会で優勝する事を目指していた。
しかし、俺のパーティーとの勝負に負けてしまった。
それでも、彼らは俺のパーティーと意気投合したんだ。
「分かりました。では5人共そこに正座して下さい!」
そこから説教をたれた。
自分を大切にしろだとか、反省させ、後悔させる為に俺に純潔を捧げんと寝所に赴かせた事等を話してやった。
「・・・という訳で、2度とこのような馬鹿な真似はしないと約束できるか!?」
5人はキョトンとしながら頷いた。
「元々数日以内に開放しようとしていたんだぞ!」
「そ、それじゃあ私達がしたことって?」
「ああ。意味がなかったんだよ!」
唖然となっていたが、そろそろ虐めるのも可哀想になってきたので、3人をさくっと開放した。
12
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる