異世界の約束：追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります！〜

第88話 朝チュン

　夜が明けると、ウルナはセルカッツの胸に抱きしめられながら穏やかな寝息を立てており、２人はお互いの温もりで夢心地だった。

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　イザベルは早起きして、子供達に剣術の手ほどきをしており、ネイリスはアルテイシア達と一緒に屋敷の掃除をしていた。 
　しかし、タニスは外出して町の様子を探っていた。

　俺達は外の声から目が覚め、寝起きと共ウルナに昨夜の事を謝ろうとした。

「気にしないでください。私はセルカッツ様が好きですから」
　
　ウルナは笑顔でそう言ってくれた。
　嬉しかったが、やはり自分の不手際を反省した。
　ウルナは初めての女だったのだから、もっと優しくすべきだった。 
　どうやら先日床を共にしたのはただ単に酔い潰れて寝ただけで、逢瀬が２度目だと勘違いしてしまったのだ。
　そして今度こそ、恋人になって欲しいと告げようと決心した。

　まだ服も着ておらず、ベッドの上で後ろからウルナを抱きしめる形でお互いの温もりを堪能しているとタニスが戻ってきたようで、慌てて扉を開けて入ってきた。

 　彼女は俺達が裸なのを見て真っ赤になりながらも息を切らせ報告を始めた。

「セルカッツ様、町で火災が起こったそうです。宿と工房が焼けてしまったとようです」

「えっ！？」

　俺はは驚いた。 
　宿はともかく、工房はウルナ達が住んでいた場所だったからだ。 
　何故そんなことになったのか？

「原因は不明だそうですが、放火の疑いがあるとか。警備隊が捜査しているそうです」

「放火・・・？」

　思い当たる節がなくもない。あの暗殺者の仕業かもしれない。
　自分達に復讐するために、火をつけたのかもしれない。
　又はまだキルカッツが命を狙っているのか？
　だが証拠はない。
　俺とは別口かもだ。

「タニス、ありがとう。これは重大な事だ。みんなに知らせてくれ。俺達も着替えたら下に行くよ」

「はい、了解しました」

　タニスは部屋を出ていった。
　俺はウルナやメイヤ、イザベル、子供達に事情を説明した。
　みんなは驚いたり悲しんだりしたが、幸いにも自分達に被害はなかったことに感謝した。

「セルカッツ様、どうしますか？警備隊に話を聞きに行きますか？」

「うーん・・・それも必要だろうけど、今はまず安全を確保することが先だ。もし俺達を狙ってのとこならまだ諦めていない可能性もあるからな」

「では、屋敷の防御を強化しましょう。イザベル様やアルテイシア様も協力してくれるでしょう」

「そうだな。それが良いだろう。ウルナ、ありがとう。君は本当に頼りになる」

「セルカッツ様・・・」

　ウルナはセルカッツに抱きついた。 　セルカッツもウルナを抱き返した。

「大丈夫だ。俺達は一緒だ。何があっても乗り越えてみせる。誰１人として死なせるか！」

「はい。セルカッツ様となら、どんな困難も怖くありません」

　俺達はしばらく抱き合っていた。 　その後、屋敷の防御を強化するために、みんなで協力して作業を始めた。

　その後黒き薔薇の面々が集まり、煤で汚れた服や顔見て、あの宿に泊まっていたんだなと理解した。
　昨夜はアルテイシアも黒き薔薇の所に行かせていた。
　まだ部屋の準備が整っていなかったからだ。
　幸い宿の方は黒き薔薇が中心となり火を消したので、馬小屋と食堂の一部が燃えただけで済んだのだそうだ。
　ここに来たのは、明日来るようにと昨日別れ際に告げたからだ。

　火災は自分達に関係することだったが、それを知るのはまだ先のことだった・・・