79 / 173
第79話 後ろ盾
しおりを挟む
俺は領主と一緒に馬車に乗り込んだ。
不思議な事に、俺と2人だ。
俺が害するとか考えないのだろうか?それとも武闘派で俺の歳のやつに負けない自信があるのか?
ウルナとメイヤは奥さんと同じだ。
こちらも襲われるとは微塵も思っていないのか、警戒をされていない。
短距離でも、身分の高い者は馬車で移動するのがこの世界の理だ。
それほど豪華な馬車ではない。
奥様達の方はいかにも貴族の馬車といった感じの金の掛かった車だ。
しかし、俺と領主が乗るのは作りは良いが、派手さがない好感の持てる馬車だ。
「警戒せずに私達のような者と馬車に乗るなんて宜しいのですか?」
「ああ。君達はいや、君は大丈夫だ。理由は言えぬが、私が裏切らない限り君は私に害を加えないはずだ。もっとも妻を殺されたら、地の果てだろうがこの手で必ず追い詰め、この世に生まれた事を後悔するまで苦しめてから殺すがね!」
「肝に銘じておきます。ところであと2つは贈答可能なようにラッピングしておりますので、お渡ししておきます」
「うむ。恐らく陛下の所にはその大きさのがあるだろうが、それでも、この質ではない。いくらで売ろうとしているのだ?」
俺は領主に渡したのとは違い、一回り小さいのを懐から取り出した。
「この大きさで(500円玉ほど)金貨10枚、いずれは金貨数枚にまで下げる事になります。ただ、量産する体制が整えばで。先程渡した手のひらサイズのは金貨30枚ほどを。そしてそれよりも大きいのは領主様にお買い上げ頂き、販売するか、金貨200枚程を考えています。閣下には有力者への口利きをお願いできればと思っております」
「うむ。案外安いのだな?」
「量産する体制が整えばです。東の方にある国で作られたのはその数倍と聞き及んでおります。私が提供する商品がこの町の特産品になればと思います。闘技場に来たお土産になる価格を目指していきたいのです」
「分かった。最大限便宜を図ろう。君は確かに強いが根っからの貴族のようだな。何故私に取り入ろうとする?」
「今の私が新たに有力者と懇意にできるチャンスが閣下だったからです。武闘大会の表彰では、自ら優勝者に報奨を渡す事は有名です。領主様に対し、後ろ盾をお願いできるようなチャンスは滅多にありません。私はダイランド家を追い出され、刺客まで差し向けられておりますし、選択肢はありませんでした。話がわかる方だと御の字だと縋る気持ちで声を掛けた次第です」
「まあ良い。妻の顔を見たか?あれ程はしゃいだのを私は見た事が無いのだ」
「確かにお喜びになられておりましたね」
「うむ。お主も知っていると思うが、貴族というのは面倒でな。派閥争いや権力争いが絶えぬ」
「ええ。恐らくこれらを販売か贈答にする事でその争いの武器としての価値を見出されたのかと思いますが?」
「有無。手の内を明かすつもりはないが、確かに一理ある。この町の特産品にすれば、さらなる発展を期待できる。良かろう、君の後ろ盾になってやろうじゃないか。詳しくは屋敷で話し合うとしよう」
因みにもう1台の馬車では、ウルナさんがたいそう気に入られていた。
一般人故、礼儀作法を知らないと伝えてはいたが、上流階級の為ガチガチの関係の家同士の上下関係の付き合いしか無いそうだ。
なので、身分が低い者のと懇意にする事もなく、奇譚のない話ができる相手にと思われたようだ。
特にウルナさんが見せたアクセサリーを大層気に入り、今度他のアクセサリーも見せて欲しいとお願いされ話も弾んだそうだ・・・
市場に出回っていないから、ワンオフの作品になり、他の人が持っていないアクセサリーに価値を見出したようだ。
不思議な事に、俺と2人だ。
俺が害するとか考えないのだろうか?それとも武闘派で俺の歳のやつに負けない自信があるのか?
ウルナとメイヤは奥さんと同じだ。
こちらも襲われるとは微塵も思っていないのか、警戒をされていない。
短距離でも、身分の高い者は馬車で移動するのがこの世界の理だ。
それほど豪華な馬車ではない。
奥様達の方はいかにも貴族の馬車といった感じの金の掛かった車だ。
しかし、俺と領主が乗るのは作りは良いが、派手さがない好感の持てる馬車だ。
「警戒せずに私達のような者と馬車に乗るなんて宜しいのですか?」
「ああ。君達はいや、君は大丈夫だ。理由は言えぬが、私が裏切らない限り君は私に害を加えないはずだ。もっとも妻を殺されたら、地の果てだろうがこの手で必ず追い詰め、この世に生まれた事を後悔するまで苦しめてから殺すがね!」
「肝に銘じておきます。ところであと2つは贈答可能なようにラッピングしておりますので、お渡ししておきます」
「うむ。恐らく陛下の所にはその大きさのがあるだろうが、それでも、この質ではない。いくらで売ろうとしているのだ?」
俺は領主に渡したのとは違い、一回り小さいのを懐から取り出した。
「この大きさで(500円玉ほど)金貨10枚、いずれは金貨数枚にまで下げる事になります。ただ、量産する体制が整えばで。先程渡した手のひらサイズのは金貨30枚ほどを。そしてそれよりも大きいのは領主様にお買い上げ頂き、販売するか、金貨200枚程を考えています。閣下には有力者への口利きをお願いできればと思っております」
「うむ。案外安いのだな?」
「量産する体制が整えばです。東の方にある国で作られたのはその数倍と聞き及んでおります。私が提供する商品がこの町の特産品になればと思います。闘技場に来たお土産になる価格を目指していきたいのです」
「分かった。最大限便宜を図ろう。君は確かに強いが根っからの貴族のようだな。何故私に取り入ろうとする?」
「今の私が新たに有力者と懇意にできるチャンスが閣下だったからです。武闘大会の表彰では、自ら優勝者に報奨を渡す事は有名です。領主様に対し、後ろ盾をお願いできるようなチャンスは滅多にありません。私はダイランド家を追い出され、刺客まで差し向けられておりますし、選択肢はありませんでした。話がわかる方だと御の字だと縋る気持ちで声を掛けた次第です」
「まあ良い。妻の顔を見たか?あれ程はしゃいだのを私は見た事が無いのだ」
「確かにお喜びになられておりましたね」
「うむ。お主も知っていると思うが、貴族というのは面倒でな。派閥争いや権力争いが絶えぬ」
「ええ。恐らくこれらを販売か贈答にする事でその争いの武器としての価値を見出されたのかと思いますが?」
「有無。手の内を明かすつもりはないが、確かに一理ある。この町の特産品にすれば、さらなる発展を期待できる。良かろう、君の後ろ盾になってやろうじゃないか。詳しくは屋敷で話し合うとしよう」
因みにもう1台の馬車では、ウルナさんがたいそう気に入られていた。
一般人故、礼儀作法を知らないと伝えてはいたが、上流階級の為ガチガチの関係の家同士の上下関係の付き合いしか無いそうだ。
なので、身分が低い者のと懇意にする事もなく、奇譚のない話ができる相手にと思われたようだ。
特にウルナさんが見せたアクセサリーを大層気に入り、今度他のアクセサリーも見せて欲しいとお願いされ話も弾んだそうだ・・・
市場に出回っていないから、ワンオフの作品になり、他の人が持っていないアクセサリーに価値を見出したようだ。
12
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜
KeyBow
ファンタジー
1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。
各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。
ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。
つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。
数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。
月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。
彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。
そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。
勿論二世だ。
斗枡が持っている最大の能力はカード合成。
それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。
彼はその程度の認識だった。
実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。
単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。
つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。
また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。
斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?
女子が自然と彼の取り巻きに!
彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる