異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

KeyBow

文字の大きさ
上 下
74 / 173

第74話 決着

しおりを挟む
 ダイダルスはいきなり大技を繰り出してきた。

 斧の刃を後ろ側にし、【貯め 】をしながら駆けており、スキルにて通常の倍の速度を出して振り抜いた。

 刃をぶつける技ではなく、刃の側面で殴り飛ばす技だった。
 しかし、貯めの動作から予測はついており、盾でガードしながら受け止める。

 しかし、俺の予測より膂力が上で、放物線を描き観客席に向かって飛んでいた。
 誰もが呆気ない勝負の結果に落胆した。
 いや、結果予測にだ。
 とある観客の目の前には直径2mほどの魔法陣が浮き上がったのが分かる。

 するとその魔法陣の先にセルカッツがいて、魔法陣に向かって飛んで来ているのが見えただろう。

 思わず観客達は身構える。

 しかし、ドゴッーン!と爆発が魔法陣の先で起こり、セルカッツが反転して闘技場へと戻るのが見えただろう。

 ・
 ・
 ・

 俺は最小の威力でエクスプロージョンを使った。
 魔法陣の役割は本来その内側、つまり術者にダメージが入らないようにする物だ。

 その魔法に関しては魔法の作用が届かないのだ。
 魔法陣を裏返せば良い。
 今回俺の方は食らう側にし、観客席側に魔法の効果が届かなくした。

 つまり魔法陣は唱えた本人とその魔法のみが対象だが、一方通行の特性を持つ。
 裏面はスルーされる。
 今回は観客席を本来の術者として魔法陣を展開した。
 それによりエクスプロージョンの威力が俺の足に降り掛かった。
 それで弾丸の如く俺はダイダルス目掛けて飛んでいた。
 そしてダイダルスは避けられないと判断し、斧を盾代わりにガードする。

 あひぃーと見た目と合わないような叫び声をあげながら飛んで行く。

 そして又もやスキルを使い、斧を振る。
 今度は体を捻り、進行方向に向かって振った。

 何とか進行方向への動きは止まり、場外へ飛んでいたのが観客席に落下していく。

 もう1度振ると辛うじて闘技場の中に落ちた。

 まともに受け身が取れず、右肩から落ち、立ち上がるも不自然な形でだらんとなった。

 そう、脱臼したんだ。
 少し顔をしかめたが、斧を左腕で持ち駆けてくる。
 魔法陣を大量に展開した。
 その魔法陣はダイダルスを取囲み、俺は魔法陣を蹴り不自然な方向転換で、ダイダルスの斜め後方に降り立ち、手をついて回し蹴りをするもジャンプして躱わされる。

 しかし、腕をぐっと押しダイダルスの背後に向かって足が向かう体制でジャンプした。

 ダイダルスの背中にまともに入り、盛大に吹き飛び、闘技場の内壁に当たり頭を振りながら立ち上がる。

 かなりのダメージが入ったはずだ。
 俺は左手に盾を持ち直し、右手に剣を構えながら駆ける。

 うおおおお!と2人共叫びながら剣と斧を振るう。

 30合ほどガチで打ち合ってみた。
 お互いバックステップで下がったり、頭突きをしてしまいそうになるほど距離を詰めたりと、俺は心踊る楽しい時間を過ごしていた。

 ダイダルスは次第に肩で息をし、苦悶の表情を浮かべ始めた。

 そろそろか?と思い、足を引っ掛けて地面に転がし、胸に左足を乗せ動きを止めて剣を首筋に当てて決着した。

 勝負ありとなったので、手を差し伸べて起こしてやる。

「よい勝負であった!」 

「やはりあんたは強いな。それより少し我慢しろよ!今肩を入れてやるからな!」

「かたじけない」

 ぐうう!と僅かに声が漏れるも、叫ぶ事もなかった。
 多分骨も折れているが、まあ回復魔法を使うから関係ない。

 お互い礼をし、決勝の準備の為一旦闘技場を後にした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...