72 / 173
第72話 左腕の正体
しおりを挟む
個人総合決勝日、第1試合は俺対リンドンだ。
相変わらず悪趣味な兜を被り、素顔を隠している。
口元と目だけは見えているが、不気味な雰囲気がある。
俺はオーソドックスにブロードソードと盾を持つスタイルだ。
向こうはロングソードを片手で持つ。
もう片方は良く分からないが、手の形から何かを握っているっぽい。
手のひらサイズで投げる物?
警戒をしないとだ。
「・・・それでは本日の第1試合目開始!」
あの司会はいない。
普通の?司会だ。
どうやらアルテイシアの件で心を病んだらしい。
呑気に仮面騎士Kの勝利を告げていて、なんだコイツ?と思っていたが、俺がアルテイシアを闘技場から連れ出した後倒れたそうだ。
現実逃避をしていただけだった。
目を背けるような光景が続き、絶えられなかったのが、事実だ。
「ようやくてめぇとだぁ!ぶっ殺す!盗人の昼行灯め!」
意味不明な言葉を発している。
なんとなく喋り方には聞き覚えがあるとは思うのだが、このようなしわがれた声は聞いた事がない。
そう吠えると駆け出して来た。
剣の間合いに入るとロングソードを振ってきたが、ゾワッとして大きくバックステップして躱す。
すると直径1m程のクレーターが出来たが、違和感がある。
嫌な予感がするがこちらからも攻めてみる。
剣を振ると剣で受け止められ、数合の打ち合いに。
普通に強いが、動きが読める。
こいつの剣術はスキルだ。
剣豪・・・ではない。
その上位だな。
俺より技が劣るが、これは剣聖特有のキレだ。
左腕で殴り掛って来たので盾で受け止めるも、盾が砕け散り俺の左腕は折れたようだ。
バックステップで距離を取り、回復魔法を掛けつつ足場を形成し、こちらから打って出る。
上段からの攻撃は剣ではない何かに阻まれた。
咄嗟に足場を生かした変則的な空中回し蹴りを放つ。
リンドンは躱しきれず、俺の脚が頭に当たり、リンドンが吹き飛ぶ。
そしてその仮面というか、兜が吹き飛び顔が顕に。
そこに見えた顔は酷い火傷を負っていた。
「き、貴様の所為だ!殺す!貴様を殺してメイヤ達を取り戻す!」
「お前、ひょっとしたらキルカッツか?処女厨のお前は人の手垢の付いた女を抱けるのか?」
「処女じゃなくても構わない!僕のxxで上書きしてやる!一生僕の性奴隷として飼ってやる!昼行灯の死体の前で犯してやる!」
「その火傷、俺が使っていた机の引き出しを開けたな?馬鹿な奴め!警告文があったろ?」
「そうだ!貴様の所為だ!だがそれのお陰で貴様を見つける事が出来た!治療の為にこの国に来たが、メイヤらしき女を見たと聞き、ひょっとしたらと出てみたが当たりだったな!もういい!死ねや!」
剣戟を剣でいなすも、ゾワッとして左腕で顔をガードする。
次の瞬間、俺の左腕の肘より先が宙を舞った。
咄嗟にフラッシュを使い視界を奪う。
モロに見たようで、目を押さえながら俺と距離を取ろうとする。
咄嗟に切断された左腕を振ってキルカッツの左手の辺りに血を振り撒く。
すると左手には熊手のような武器のシルエットが浮かび上がる。
ゲームでも不可視の武器や道具、農具があった。
のれらは腐食耐性と、鉄の数倍の強度を誇る幽鉄属性の武具道具だ。
最初の攻撃からそれらを疑ったが、長さが分からない。
分かってしまえば避けたりするのは容易だ。
だから止血せずに血を掛けた。
最早熊手のような道具は脅威ではなく、それよりも俺はロングソードを持つ手を打ち付け、落としたロングソードを飛ばした。
こちらの方が脅威だ。
腹いせと言わんばかりにキルカッツは、切断されて地面に転がっている俺の左腕に向かい、
エクスプロージョンを放ち消し炭にしやがった。
「ざまあみろ!これでもう左腕はどうにもならないぞ!うひゃひゃひゃひゃ!」
俺は痛みに耐えながら剣を構え、左腕から繰り出される攻撃を躱す。
「反則によりセルカッツ選手の勝利!リンドン選手は直ちに戦闘を中止して下さい!」
しかし、キルカッツは止める気配がなく、闘技場の入口から兵士が駆け寄る。
後20秒程度は掛かるが、失血から俺は防戦一方だ。
やがて兵士達が間に割って入り、漸くキルカッツも戦いを止めた。
「ちっ!運の良い奴め!」
キルカッツは兵士達に取り押さえられ、闘技場の外に連れ出されて行き、俺はそのまま兵士達に担がれて治療室へと運ばれて行くのだった。
相変わらず悪趣味な兜を被り、素顔を隠している。
口元と目だけは見えているが、不気味な雰囲気がある。
俺はオーソドックスにブロードソードと盾を持つスタイルだ。
向こうはロングソードを片手で持つ。
もう片方は良く分からないが、手の形から何かを握っているっぽい。
手のひらサイズで投げる物?
警戒をしないとだ。
「・・・それでは本日の第1試合目開始!」
あの司会はいない。
普通の?司会だ。
どうやらアルテイシアの件で心を病んだらしい。
呑気に仮面騎士Kの勝利を告げていて、なんだコイツ?と思っていたが、俺がアルテイシアを闘技場から連れ出した後倒れたそうだ。
現実逃避をしていただけだった。
目を背けるような光景が続き、絶えられなかったのが、事実だ。
「ようやくてめぇとだぁ!ぶっ殺す!盗人の昼行灯め!」
意味不明な言葉を発している。
なんとなく喋り方には聞き覚えがあるとは思うのだが、このようなしわがれた声は聞いた事がない。
そう吠えると駆け出して来た。
剣の間合いに入るとロングソードを振ってきたが、ゾワッとして大きくバックステップして躱す。
すると直径1m程のクレーターが出来たが、違和感がある。
嫌な予感がするがこちらからも攻めてみる。
剣を振ると剣で受け止められ、数合の打ち合いに。
普通に強いが、動きが読める。
こいつの剣術はスキルだ。
剣豪・・・ではない。
その上位だな。
俺より技が劣るが、これは剣聖特有のキレだ。
左腕で殴り掛って来たので盾で受け止めるも、盾が砕け散り俺の左腕は折れたようだ。
バックステップで距離を取り、回復魔法を掛けつつ足場を形成し、こちらから打って出る。
上段からの攻撃は剣ではない何かに阻まれた。
咄嗟に足場を生かした変則的な空中回し蹴りを放つ。
リンドンは躱しきれず、俺の脚が頭に当たり、リンドンが吹き飛ぶ。
そしてその仮面というか、兜が吹き飛び顔が顕に。
そこに見えた顔は酷い火傷を負っていた。
「き、貴様の所為だ!殺す!貴様を殺してメイヤ達を取り戻す!」
「お前、ひょっとしたらキルカッツか?処女厨のお前は人の手垢の付いた女を抱けるのか?」
「処女じゃなくても構わない!僕のxxで上書きしてやる!一生僕の性奴隷として飼ってやる!昼行灯の死体の前で犯してやる!」
「その火傷、俺が使っていた机の引き出しを開けたな?馬鹿な奴め!警告文があったろ?」
「そうだ!貴様の所為だ!だがそれのお陰で貴様を見つける事が出来た!治療の為にこの国に来たが、メイヤらしき女を見たと聞き、ひょっとしたらと出てみたが当たりだったな!もういい!死ねや!」
剣戟を剣でいなすも、ゾワッとして左腕で顔をガードする。
次の瞬間、俺の左腕の肘より先が宙を舞った。
咄嗟にフラッシュを使い視界を奪う。
モロに見たようで、目を押さえながら俺と距離を取ろうとする。
咄嗟に切断された左腕を振ってキルカッツの左手の辺りに血を振り撒く。
すると左手には熊手のような武器のシルエットが浮かび上がる。
ゲームでも不可視の武器や道具、農具があった。
のれらは腐食耐性と、鉄の数倍の強度を誇る幽鉄属性の武具道具だ。
最初の攻撃からそれらを疑ったが、長さが分からない。
分かってしまえば避けたりするのは容易だ。
だから止血せずに血を掛けた。
最早熊手のような道具は脅威ではなく、それよりも俺はロングソードを持つ手を打ち付け、落としたロングソードを飛ばした。
こちらの方が脅威だ。
腹いせと言わんばかりにキルカッツは、切断されて地面に転がっている俺の左腕に向かい、
エクスプロージョンを放ち消し炭にしやがった。
「ざまあみろ!これでもう左腕はどうにもならないぞ!うひゃひゃひゃひゃ!」
俺は痛みに耐えながら剣を構え、左腕から繰り出される攻撃を躱す。
「反則によりセルカッツ選手の勝利!リンドン選手は直ちに戦闘を中止して下さい!」
しかし、キルカッツは止める気配がなく、闘技場の入口から兵士が駆け寄る。
後20秒程度は掛かるが、失血から俺は防戦一方だ。
やがて兵士達が間に割って入り、漸くキルカッツも戦いを止めた。
「ちっ!運の良い奴め!」
キルカッツは兵士達に取り押さえられ、闘技場の外に連れ出されて行き、俺はそのまま兵士達に担がれて治療室へと運ばれて行くのだった。
13
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる