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第41話 準決勝アルテイシア、ハーニャ、ネイリス編
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闘技場の配置を変更する関係で、準決勝の最後は弓になるはずだった。
だが、ゴリラが粗相をし、その後始末をする関係から無手による格闘の次が、急遽弓となった。
やり方も最初は4人並べて放ち、最大20射になる。
2人が脱落するまで続け、最終の20射目については中心から近い位置を射た2名が決勝進出としていた。
だが2人分しか場所を確保できず、くじ引きで決めた2人が競う事になった。
ハーニャは後半組で、先に競うのは男と女子で、2人共冒険者風で13射目で男が外した。
ハーニャの相手は人相の悪く、盗賊と見紛うような男だ。
基本的に弓は己との戦いで、男が何かを言っていたが、ハーニャは前方に見える審判が手を振り、開始を知らせるのを待つ。
そこから無心になり矢を放つ。
危なげなく最内の円の中に収めていく。
5射目は刺さっている矢に当たり的に矢が刺さらず、審判が外したと勘違いして相手の勝利を告げた。
俺は大音量を発するように剣を打ち付けた。
「ちゃんと的を見るんだ!刺さっている矢を撃ち抜いたんだ。それは負なのか?」
司会も的を見て破壊された矢を確認したようで、拡声器を使い審判に聞こえるように会場全体に話した。
「みなさーん!大変失礼しました!審判の見落としでえーすねぇ!なので試合は続行!矢を破壊した場合は的に当たった判定ですぅ!ロンブル選手、納得行かない場合的を見に行ってくださあい」
相手は手を上げ了承の意思を示し、再び矢を放つ準備をする。
審判が確認した後、謝罪のお辞儀をすると再開し、19射目でも決着が付かず、的を新品に入れ替えた。
「さあて、大変な事になりました!両者譲らずぅ!さあ最後の1射は中心から近い方の勝ちだぁ!準備が整ったので両者構えぇ!ではぁ!てぇぇ!」
2人は矢を放つ。
やや放物線を描き、50mほど先にある的に両者共当たるも、遠目からでも勝敗は決した事が分かった。
ハーニャの隣で男が弓を地面に叩きつけている様を見れば、否応なしに分かった。
俺のいた位置だとよく分かるが、観客はそうではない。
ハーニャは中心を射抜き、対戦相手は中心から2本目の線付近に当たったからだ。
ハーニャ戦が長かったのもあり粗相の後始末が終わったので、棍杖部門やメイス部門が行われ、俺達のところではこの後ナイフ部門のネイリスの出番になる。
棍杖部門では、アルテイシアが縮地を使い相手の懐に入り込むと、逆手に持っていた杖の先端部分を足に引っ掛け、一気に引くと転倒させた。
想定外の事だったから一瞬固まり、その隙に殺られたのだ。
最初から杖を上下逆に持っている事に警戒すべきだったが、会場の熱気に飲まれ開始と共に動いたアルテイシアへ反応できなかった。
この日に備え訓練をし、これまで苦戦すらしなかったのにあっさりと転がされた。
アルテイシアは弱い。
まともに格闘となれば3合と持たない。
なので速攻で決めなければならない。
近接戦闘においてはどこにでもいる14歳の女の子に過ぎない。
いや、令嬢が武闘大会に出ているのと同じだ。
彼女は魔法使いだ。
だが、攻撃魔法が使えない。
正確には使う事は出来るが、それが相手に当たった瞬間反則負けだ。
だからスタートと共に、実力を発揮する前の段階で相手を倒さなければならない。
転がされた相手は武器を落としてしまう。
アルテイシアはそれを即拾うと外に投げ、杖の先を相手の喉元に突き付けた。
その瞬間勝者たるアルテイシアの勝ち名乗りが行われた。
まだ手は色々持っているし、隠し玉もある。
相手は自分が何故負けたのか理解できない。
棍の訓練で鍛え上げられた体は、意識の外からのちょっとした事で崩され、あっさりと敗北し暫くその場にへたり込んでいた。
俺は彼女の戦いに違和感を覚えた。
勝つ事にのみ重点を置いているからだ。
見目麗しい女の子だから許されるが、これが男がしようものなら会場の観客から様々な物を投げられただろう。
もう少し見ていたかったが、次の戦いに出るネイリスを集合場所まで送っていく必要から、試合の結果を確認だけして彼女から目を離した。
ネイリスは緊張しまくっているようで、集合場所に向かう時に右腕と右脚が同時に動いていた。
なのでお尻を叩いてやった。
「ヒィ!」
「大丈夫だから落ち着け!右脚と右手が一緒に動いているぞ!ほら深呼吸して」
付き人をするウルナさんが来た。
「ネイリス、あなたなら大丈夫よ!ほら、子供達も手を振っているから、勝ち負けよりもちゃんと魅せてあげて!セルカッツ様の教えてくれた事をすれば大丈夫だから」
ぎゅっと抱きしめてから送り出したが、そこからは落ち着いたようだ。
ネイリスの相手は同じようなシーフ系の女の子だった。
20合ほどの攻防が繰り広げられ、互角だと思う見事な戦いだった。
両者息が荒く決め手に掛けていた。
ネイリスはおもむろにナイフを足元に投げた。
奥の手の1つを使うようだ。
ズボンのベルトにしか見えない紐を解き、ナイフの柄に縛っていた。
それもあり相手の脚に絡みついた。
「きゃっ!」
紐を引いた途端、短い悲鳴と共に相手は尻もちをつく。
その瞬間相手の顔を蹴り、地面へ転がし馬乗りになりナイフを喉者に突き付けた。
一瞬の出来事で、相手は何が起こったか理解できなかっただろうな。
ネイリスの勝利だ。
俺はそれを確認すると剣部門の集合場所へと向かった。
だが、ゴリラが粗相をし、その後始末をする関係から無手による格闘の次が、急遽弓となった。
やり方も最初は4人並べて放ち、最大20射になる。
2人が脱落するまで続け、最終の20射目については中心から近い位置を射た2名が決勝進出としていた。
だが2人分しか場所を確保できず、くじ引きで決めた2人が競う事になった。
ハーニャは後半組で、先に競うのは男と女子で、2人共冒険者風で13射目で男が外した。
ハーニャの相手は人相の悪く、盗賊と見紛うような男だ。
基本的に弓は己との戦いで、男が何かを言っていたが、ハーニャは前方に見える審判が手を振り、開始を知らせるのを待つ。
そこから無心になり矢を放つ。
危なげなく最内の円の中に収めていく。
5射目は刺さっている矢に当たり的に矢が刺さらず、審判が外したと勘違いして相手の勝利を告げた。
俺は大音量を発するように剣を打ち付けた。
「ちゃんと的を見るんだ!刺さっている矢を撃ち抜いたんだ。それは負なのか?」
司会も的を見て破壊された矢を確認したようで、拡声器を使い審判に聞こえるように会場全体に話した。
「みなさーん!大変失礼しました!審判の見落としでえーすねぇ!なので試合は続行!矢を破壊した場合は的に当たった判定ですぅ!ロンブル選手、納得行かない場合的を見に行ってくださあい」
相手は手を上げ了承の意思を示し、再び矢を放つ準備をする。
審判が確認した後、謝罪のお辞儀をすると再開し、19射目でも決着が付かず、的を新品に入れ替えた。
「さあて、大変な事になりました!両者譲らずぅ!さあ最後の1射は中心から近い方の勝ちだぁ!準備が整ったので両者構えぇ!ではぁ!てぇぇ!」
2人は矢を放つ。
やや放物線を描き、50mほど先にある的に両者共当たるも、遠目からでも勝敗は決した事が分かった。
ハーニャの隣で男が弓を地面に叩きつけている様を見れば、否応なしに分かった。
俺のいた位置だとよく分かるが、観客はそうではない。
ハーニャは中心を射抜き、対戦相手は中心から2本目の線付近に当たったからだ。
ハーニャ戦が長かったのもあり粗相の後始末が終わったので、棍杖部門やメイス部門が行われ、俺達のところではこの後ナイフ部門のネイリスの出番になる。
棍杖部門では、アルテイシアが縮地を使い相手の懐に入り込むと、逆手に持っていた杖の先端部分を足に引っ掛け、一気に引くと転倒させた。
想定外の事だったから一瞬固まり、その隙に殺られたのだ。
最初から杖を上下逆に持っている事に警戒すべきだったが、会場の熱気に飲まれ開始と共に動いたアルテイシアへ反応できなかった。
この日に備え訓練をし、これまで苦戦すらしなかったのにあっさりと転がされた。
アルテイシアは弱い。
まともに格闘となれば3合と持たない。
なので速攻で決めなければならない。
近接戦闘においてはどこにでもいる14歳の女の子に過ぎない。
いや、令嬢が武闘大会に出ているのと同じだ。
彼女は魔法使いだ。
だが、攻撃魔法が使えない。
正確には使う事は出来るが、それが相手に当たった瞬間反則負けだ。
だからスタートと共に、実力を発揮する前の段階で相手を倒さなければならない。
転がされた相手は武器を落としてしまう。
アルテイシアはそれを即拾うと外に投げ、杖の先を相手の喉元に突き付けた。
その瞬間勝者たるアルテイシアの勝ち名乗りが行われた。
まだ手は色々持っているし、隠し玉もある。
相手は自分が何故負けたのか理解できない。
棍の訓練で鍛え上げられた体は、意識の外からのちょっとした事で崩され、あっさりと敗北し暫くその場にへたり込んでいた。
俺は彼女の戦いに違和感を覚えた。
勝つ事にのみ重点を置いているからだ。
見目麗しい女の子だから許されるが、これが男がしようものなら会場の観客から様々な物を投げられただろう。
もう少し見ていたかったが、次の戦いに出るネイリスを集合場所まで送っていく必要から、試合の結果を確認だけして彼女から目を離した。
ネイリスは緊張しまくっているようで、集合場所に向かう時に右腕と右脚が同時に動いていた。
なのでお尻を叩いてやった。
「ヒィ!」
「大丈夫だから落ち着け!右脚と右手が一緒に動いているぞ!ほら深呼吸して」
付き人をするウルナさんが来た。
「ネイリス、あなたなら大丈夫よ!ほら、子供達も手を振っているから、勝ち負けよりもちゃんと魅せてあげて!セルカッツ様の教えてくれた事をすれば大丈夫だから」
ぎゅっと抱きしめてから送り出したが、そこからは落ち着いたようだ。
ネイリスの相手は同じようなシーフ系の女の子だった。
20合ほどの攻防が繰り広げられ、互角だと思う見事な戦いだった。
両者息が荒く決め手に掛けていた。
ネイリスはおもむろにナイフを足元に投げた。
奥の手の1つを使うようだ。
ズボンのベルトにしか見えない紐を解き、ナイフの柄に縛っていた。
それもあり相手の脚に絡みついた。
「きゃっ!」
紐を引いた途端、短い悲鳴と共に相手は尻もちをつく。
その瞬間相手の顔を蹴り、地面へ転がし馬乗りになりナイフを喉者に突き付けた。
一瞬の出来事で、相手は何が起こったか理解できなかっただろうな。
ネイリスの勝利だ。
俺はそれを確認すると剣部門の集合場所へと向かった。
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