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第38話 準々決勝終了
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ネイリスの相手はひょろっとした女の子だ。
この世界でよくある赤茶けたショートカットで、痩せて肌も荒れているが目はギラギラしている。
しかし、その耳には猫耳が!しかも尻尾もある。
名前はスメイル
ちゃんと食べて本来の体重に戻ればスタイルも良く、顔も丸みを帯びて可愛いはずだ。
大抵の男の子は剣や槍に憧れるが、何故か女の子にはナイフを使う者が多い。
スキル等はそんな精神的な所から得られるとの説もある。
体格等から女の子はナイフなら持てると潜在的に思うからだと。
どちらも身体を低くするクラウチングスタイルだ。
距離が縮まりナイフとナイフが当たる。
鍔迫り合いになり、どちらからともなく距離を置きそれからお互いナイフを振り、躱しては突いたりと一進一退を繰り返す。
互角かやや分が悪いか?
そんな中、ネイリスに訓練中の息抜きにとネタ技を教えたが、それを使うようだ。
確か男塾のネタだ。
日本にいた時、父親の持っていた漫画の中にこのようなのがあった。
奥義!と言うと何かある?と身構える悲しい性を利用したのだが、俺なりにアレンジした。
ネイリスはいきなりナイフを上に投げた。
「奥義!つけのまうるみがほあ!」
ネイリスがファイティングポーズを取ると、相手は奥義と聞いて警戒し、その場から動かずに身構えた。
ヒューン・・・ゴツン・・・バタリ・・・
テンカウントが始まった。
「ナイン、テン!勝者、氷艶の魔眼所属ネイリスぅ!」
確かに凄いコントロールだ。
しかし・・・教えておいて何だが、相手の子が不憫だ。
ゴメンネ・・・
しかもさっきのアルテイシアさんが慌てて駆け付ける。
頭から血を流しているな。
俺も行くか。
ネイリスが褒めて欲しそうにしていたが、倒れている女の子の側に行く。
「やあ、アルテイシアさんだっけ?さっき振りですね。俺はセルカッツ。この子は君の知り合い?」
「ええ。冒険者パーティーを組んでいるの。治療をお願いできるかしら?」
俺は頷くと頭の血を拭いながらアルテイシアさんが膝枕するのに手を貸す。
俺もされたい。
「今すぐ治すからね!」
手を翳しながら治療魔法を使う。
俺の魔力は幼少期から鍛えただけあり、宮廷魔道士10人分以上の魔力があるはずだ。
ギフト光、メイヤ達からは目ん玉光線と言われているが、それを使うと1発でダウンするが。
しかし、治療魔法は初級であっても大量の魔力を注ぎ込むと上級魔法並みの回復が期待できる。
勿論欠損修復とかは出来ないが。
治療を始めてから1分程で呼吸が落ち着いてきた。
「もう大丈夫でしょうが、念の為医療班の治癒を受けた方が良いですね」
「薔薇はお好き?」
「薔薇?確かパーティー名でしたね?薔薇とは?」
「いえ。こちらの話です。私もこの子を医療班の所に連れていきます。治療魔法ありがとうございます!」
「剣術に参加の方!集合して下さい!」
「いけない。って次出番なんだ。取り敢えず失礼!」
折角また会えたのに、話す時間がなかったな。
でも今の所俺の印象は良い感じだよな!?
しかし、何故俺が治療魔法を使える事を知っていたのか?と思うも、これから俺の出番だったから、考えるのは今は止めだな。
これからの事を考えよう!そう、ここから始まるダイランド家に対する俺からのざまあ!の事を。
ただ、別段殺すとかそんな事はない。
長男から引きずり降ろされ、屋敷を追い出それただけだ。
まあゲームだとキルカッツが刺客を差し向けているけど、国内限定だ。
今の俺はその事実を知らないはず。
森を抜けるショートカットをしなければ街道を進むしかなく、そこで刺客に襲われるイベントがあった。
まあ返り討ちにして身包み剥いでやったんだが、今世ではそのルートは辿らなかった。
で、俺と対峙している奴は貴族のボンボンのようだ。
お前が言うなって?
格好が高級なんだよ!
ムカつくから地べたを這わし土まみれにしてやろうか?
髪の長い神経質そうな奴だ。
まあ、4回戦って買ってきている奴だから、そこそこの腕はあるんだろう。
「やあ!君もハンサムボーイだけど、僕の方がイケメンだし、強いから、女の子に嫌われないように精々足掻く事だねぇ!そうそう、君を倒す僕の名前を覚えておき給え!僕の名は、ピオール・フォン・オルジン!」
どこから来る自信か分からないが、髪をかき分け変に格好を付けている。
ナルシストだ。
髪をかき分けながら芸人のマネをし、ラーメンつけ麺僕イケメンと言って来ても不思議じゃない。
「さいですか」
「おっと、君の名は言わなくても良いよ!倒した者の名に興味はないんでね!」
俺はため息を付きつつ、同じリングにいるこの距離が苦痛でしかないので、どうやって地べたに這いつくばらせてやろうかと考えていた。
すると眼前に奴が迫ってきた。
考えに耽っていると開始が掛かったようだ。
俺はバク転で派手に避けたが、剣を持つ手に足が当たったようで、剣が宙を舞う。
俺が左手を横に出すと奴の剣が俺の手に収まった。
外に向かって捨てる素振りをすると、観客から悲鳴混じりのため息が出る。
まあ流石にこれはないかと思い情けない顔をしている奴に木剣を投げ返した。
まあこれからの試合を考えると、普通に打ち合い実力を見るのも1つの手だなと思い投げ返したんだ。
「君、ひょっとして僕のイケメン具合に惚れたね?でもボク女の子としかエッチな事出来ないからおかしな真似はしないでよ?」
「お客さんが残念がるだろ?さあかかってこいよ!」
俺は右手に持った剣を杖代わりにし、左腕を奴に向かって伸ばして手をくいくいっと安い挑発をする。
みるみるうちに顔が真っ赤になる。
ちょろいな!
「き、貴様!貴族に対しその態度は何だぁ!」
「あのな、俺の名はセルカッツ・フォン・ダイランド。侯爵家の子息だぞ」
「なっ、侯爵家の人間が何故このような所に?」
「腕試しだよ。総合と団体、それと剣で優勝すれば父親を唸らせるのにうってつけだろ?」
「き、貴様!全て勝てるとでも思っているのか?付け上がるなよ!」
「おい、男爵子息?皮が剥がれたぞ。こちらから行くぞ!数合は持ち堪えろよ?」
俺は一気に距離を詰めると剣を軽く振る。
流石に軽く撃ち込んだのは防ぐか。
よし、剣豪まで上げて行くか。
「よく聴けよ!徐々にアクセルを踏み込んで行くから付いて来いよ!」
「アクセルだと!?」
あっ!と思うも取り敢えずどんどん剣を振っていく。
上段、袈裟斬り、払い、突き。
少しずつ速度を上げていくが付いてこられず体のあちこちを打ち付けていく。
「真剣なら5回は死んでいるぞ!来ないならトドメだ」
次の瞬間奴の目が光り、瞬きの間に距離を詰めてきた。
なるほど、開始早々はこれか。
縮地だ。
しかし、剣の柄を予測位置に繰り出してやる。
もろに当たりフラフラだ。
勝負ありなのだが、空中回転回し蹴りを繰り出して場外に蹴り出すと盛大に地面を転がる。
俺も大概中2病だよな!と思いつつ今の年齢は中2だから良いか?と思う。
いつの間にか俺を応援する女性達がおり、黄色い歓声が湧き上がる。
しかも着地すると息を吐き出しながら決めポーズを取ってやった。
大歓声が湧き上がる。
イラッと来たのも有るが、前世での知識で技は知っている。
格闘技を見るのが好きだったが、残念ながら体はそれに絶えられないから見るだけだった。
しかし今は違う。
スキルのお陰で、知識を実践出来るんだ。
血を吹き出して呆然としているので治療をしてやり、立たせてからリングに戻る。
俺の勝利を司会が告げ、お互い礼をしてリングを出た。
丁度その時、アルテイシアはセルカッツが勝ったと称賛を浴びている所で戻り、試合を見れなかった事を嘆いていた。
「みーつけた!」
1人の少女がセルカッツの姿を見ていた。
セルカッツを発見すると、顔に似合わぬいたずらっぽい表情を浮かべ、他の人には聞こえない程小さく呟いたのだった。
この世界でよくある赤茶けたショートカットで、痩せて肌も荒れているが目はギラギラしている。
しかし、その耳には猫耳が!しかも尻尾もある。
名前はスメイル
ちゃんと食べて本来の体重に戻ればスタイルも良く、顔も丸みを帯びて可愛いはずだ。
大抵の男の子は剣や槍に憧れるが、何故か女の子にはナイフを使う者が多い。
スキル等はそんな精神的な所から得られるとの説もある。
体格等から女の子はナイフなら持てると潜在的に思うからだと。
どちらも身体を低くするクラウチングスタイルだ。
距離が縮まりナイフとナイフが当たる。
鍔迫り合いになり、どちらからともなく距離を置きそれからお互いナイフを振り、躱しては突いたりと一進一退を繰り返す。
互角かやや分が悪いか?
そんな中、ネイリスに訓練中の息抜きにとネタ技を教えたが、それを使うようだ。
確か男塾のネタだ。
日本にいた時、父親の持っていた漫画の中にこのようなのがあった。
奥義!と言うと何かある?と身構える悲しい性を利用したのだが、俺なりにアレンジした。
ネイリスはいきなりナイフを上に投げた。
「奥義!つけのまうるみがほあ!」
ネイリスがファイティングポーズを取ると、相手は奥義と聞いて警戒し、その場から動かずに身構えた。
ヒューン・・・ゴツン・・・バタリ・・・
テンカウントが始まった。
「ナイン、テン!勝者、氷艶の魔眼所属ネイリスぅ!」
確かに凄いコントロールだ。
しかし・・・教えておいて何だが、相手の子が不憫だ。
ゴメンネ・・・
しかもさっきのアルテイシアさんが慌てて駆け付ける。
頭から血を流しているな。
俺も行くか。
ネイリスが褒めて欲しそうにしていたが、倒れている女の子の側に行く。
「やあ、アルテイシアさんだっけ?さっき振りですね。俺はセルカッツ。この子は君の知り合い?」
「ええ。冒険者パーティーを組んでいるの。治療をお願いできるかしら?」
俺は頷くと頭の血を拭いながらアルテイシアさんが膝枕するのに手を貸す。
俺もされたい。
「今すぐ治すからね!」
手を翳しながら治療魔法を使う。
俺の魔力は幼少期から鍛えただけあり、宮廷魔道士10人分以上の魔力があるはずだ。
ギフト光、メイヤ達からは目ん玉光線と言われているが、それを使うと1発でダウンするが。
しかし、治療魔法は初級であっても大量の魔力を注ぎ込むと上級魔法並みの回復が期待できる。
勿論欠損修復とかは出来ないが。
治療を始めてから1分程で呼吸が落ち着いてきた。
「もう大丈夫でしょうが、念の為医療班の治癒を受けた方が良いですね」
「薔薇はお好き?」
「薔薇?確かパーティー名でしたね?薔薇とは?」
「いえ。こちらの話です。私もこの子を医療班の所に連れていきます。治療魔法ありがとうございます!」
「剣術に参加の方!集合して下さい!」
「いけない。って次出番なんだ。取り敢えず失礼!」
折角また会えたのに、話す時間がなかったな。
でも今の所俺の印象は良い感じだよな!?
しかし、何故俺が治療魔法を使える事を知っていたのか?と思うも、これから俺の出番だったから、考えるのは今は止めだな。
これからの事を考えよう!そう、ここから始まるダイランド家に対する俺からのざまあ!の事を。
ただ、別段殺すとかそんな事はない。
長男から引きずり降ろされ、屋敷を追い出それただけだ。
まあゲームだとキルカッツが刺客を差し向けているけど、国内限定だ。
今の俺はその事実を知らないはず。
森を抜けるショートカットをしなければ街道を進むしかなく、そこで刺客に襲われるイベントがあった。
まあ返り討ちにして身包み剥いでやったんだが、今世ではそのルートは辿らなかった。
で、俺と対峙している奴は貴族のボンボンのようだ。
お前が言うなって?
格好が高級なんだよ!
ムカつくから地べたを這わし土まみれにしてやろうか?
髪の長い神経質そうな奴だ。
まあ、4回戦って買ってきている奴だから、そこそこの腕はあるんだろう。
「やあ!君もハンサムボーイだけど、僕の方がイケメンだし、強いから、女の子に嫌われないように精々足掻く事だねぇ!そうそう、君を倒す僕の名前を覚えておき給え!僕の名は、ピオール・フォン・オルジン!」
どこから来る自信か分からないが、髪をかき分け変に格好を付けている。
ナルシストだ。
髪をかき分けながら芸人のマネをし、ラーメンつけ麺僕イケメンと言って来ても不思議じゃない。
「さいですか」
「おっと、君の名は言わなくても良いよ!倒した者の名に興味はないんでね!」
俺はため息を付きつつ、同じリングにいるこの距離が苦痛でしかないので、どうやって地べたに這いつくばらせてやろうかと考えていた。
すると眼前に奴が迫ってきた。
考えに耽っていると開始が掛かったようだ。
俺はバク転で派手に避けたが、剣を持つ手に足が当たったようで、剣が宙を舞う。
俺が左手を横に出すと奴の剣が俺の手に収まった。
外に向かって捨てる素振りをすると、観客から悲鳴混じりのため息が出る。
まあ流石にこれはないかと思い情けない顔をしている奴に木剣を投げ返した。
まあこれからの試合を考えると、普通に打ち合い実力を見るのも1つの手だなと思い投げ返したんだ。
「君、ひょっとして僕のイケメン具合に惚れたね?でもボク女の子としかエッチな事出来ないからおかしな真似はしないでよ?」
「お客さんが残念がるだろ?さあかかってこいよ!」
俺は右手に持った剣を杖代わりにし、左腕を奴に向かって伸ばして手をくいくいっと安い挑発をする。
みるみるうちに顔が真っ赤になる。
ちょろいな!
「き、貴様!貴族に対しその態度は何だぁ!」
「あのな、俺の名はセルカッツ・フォン・ダイランド。侯爵家の子息だぞ」
「なっ、侯爵家の人間が何故このような所に?」
「腕試しだよ。総合と団体、それと剣で優勝すれば父親を唸らせるのにうってつけだろ?」
「き、貴様!全て勝てるとでも思っているのか?付け上がるなよ!」
「おい、男爵子息?皮が剥がれたぞ。こちらから行くぞ!数合は持ち堪えろよ?」
俺は一気に距離を詰めると剣を軽く振る。
流石に軽く撃ち込んだのは防ぐか。
よし、剣豪まで上げて行くか。
「よく聴けよ!徐々にアクセルを踏み込んで行くから付いて来いよ!」
「アクセルだと!?」
あっ!と思うも取り敢えずどんどん剣を振っていく。
上段、袈裟斬り、払い、突き。
少しずつ速度を上げていくが付いてこられず体のあちこちを打ち付けていく。
「真剣なら5回は死んでいるぞ!来ないならトドメだ」
次の瞬間奴の目が光り、瞬きの間に距離を詰めてきた。
なるほど、開始早々はこれか。
縮地だ。
しかし、剣の柄を予測位置に繰り出してやる。
もろに当たりフラフラだ。
勝負ありなのだが、空中回転回し蹴りを繰り出して場外に蹴り出すと盛大に地面を転がる。
俺も大概中2病だよな!と思いつつ今の年齢は中2だから良いか?と思う。
いつの間にか俺を応援する女性達がおり、黄色い歓声が湧き上がる。
しかも着地すると息を吐き出しながら決めポーズを取ってやった。
大歓声が湧き上がる。
イラッと来たのも有るが、前世での知識で技は知っている。
格闘技を見るのが好きだったが、残念ながら体はそれに絶えられないから見るだけだった。
しかし今は違う。
スキルのお陰で、知識を実践出来るんだ。
血を吹き出して呆然としているので治療をしてやり、立たせてからリングに戻る。
俺の勝利を司会が告げ、お互い礼をしてリングを出た。
丁度その時、アルテイシアはセルカッツが勝ったと称賛を浴びている所で戻り、試合を見れなかった事を嘆いていた。
「みーつけた!」
1人の少女がセルカッツの姿を見ていた。
セルカッツを発見すると、顔に似合わぬいたずらっぽい表情を浮かべ、他の人には聞こえない程小さく呟いたのだった。
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