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第32話 今後の事
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帰りは特に何事もなく無事に町に到着し、ギルドにてボッガロンを売ってきた。
魔石は金貨1枚と大した事はなかったが、この魔物の特徴は何と言っても高品質な肉だ!
例えるならば普通の魔物がアメリカの牛肉で、日本の高級黒毛和牛がボッカロンだ。
大切に育てられた黒毛和牛相当と普通の肉牛との差と思うと話が早いだろうか。
松阪牛程ではないが、スーパーでたまに売られている高級和牛位だと思って欲しい。
この世界での牛相当の肉とされる魔物だと普通の肉質の魔物は1頭につき金貨50枚位が相場だ。
重さは300キログラムから500キログラムでの話。
しかしボッガロンら違う。
金貨350枚にもなったんだ。
取り分はパーティー用として金貨50枚を残す事にし、ネイリスへ60枚渡したらクラっとなり倒れ掛けたが、ウルナさんが肩を掴み軽く頬を叩いていたな。
パーティー用からウルナさん達に金貨20枚を渡そうとしたら、遠慮された。
「その、言っちゃなんですが、まともな服を着ていませんよね。これで買ってください。それと新しい作業服は必ず買ってください。そしてそれを着て見せて欲しいんです。ウルナさん達は皆美人なんですから、着飾ったら素敵だと思うんです。駄目ですか?」
「そ、そういう事でしたら、服代として頂きます!これで子供達に破れていない服を着せられます!。その、セルカッツ様はたらしですわね」
最後のひとことは聞こえなかったな。
「自分用のも買ってね!それと、住んでいる所を見させてもらっても良いですか?思う所が有るので」
「セルカッツ様のような貴族様が来られるような場所では有りませんよ?」
「大丈夫です。失礼ですが、身なりから想像は付きますので。ただ。皆さんの能力を使い、ある物を作りたいんです。それが出来たら綺麗な家に移れるはずです。ただ、ウルナさん達では物を作っても買い叩かれるので、俺が商会のようなのを作り、ウルナさん達が俺の使用人として働きお金を稼ぐ事を考えています」
「セルカッツ様に全てを委ねますわ。私達では今の生活から抜ける事が出来ません。幸い身体を売るまでには至っていませんが、飛び出していった姉妹の中には娼婦になった者もいるのです」
「そんなに信頼してもらえると嬉しいですが、その、今の住処を工場にしたいんですよ」
「分かりました。取り敢えず今から来られますか?」
そうしてウルナさん達の住まう下町に来た。
まだ、下町の入口でマシな方だが、雨漏りのする長屋だ。
元々下町の教会だったが、一般区域に移り孤児達の住処として自由にしなさいと当時の神官に渡されたそうだ。
辛うじて雨露を避ける程度で雨漏りも酷そうだ。
「このような所で申し訳ありません」
「いえ。思ったよりマシですね。えっと、金貨30枚を渡しますので、礼拝堂に使われていた所を俺の言う通りに改装してください。改装すると言っても作業台になるようなテーブルを置き、完成した物を置く場所を確保するように配置を変えて貰う程度です。ただ、ここで寝泊まりしていた人は他の部屋か、無理なら宿に移って下さい。足らなければお金を出しますから」
「ここは炊事場として使っていました。そうですね、屋根を直せば他の場所で調理が出来ます」
俺はメモ帳を取り出し、この建物の図面をざっくりと書いて行き、目測で大きさ等も控えて行く。
皆が不思議そうに見ていたが、俺の顔が真剣なので見ているだけだ。
「よし、明日は作業場への改装を皆でお願いします。薬草採取に行けない分の補填として私がお金を出しますので生活の心配はしなくても良いですよ!なので宜しくお願いします」
「ええ。ネイリスから沢山貰いましたから1月以上大丈夫ですわ」
「ああ。それだけあれば軌道に乗せられますよ!俺も明日は材料を仕入れたりするので、何かあったら宿に誰か寄越して下さい。心配なのは軌道に乗り、ここでそれを作っていると知られると盗みに入ったりする者が出るので、ここも一時的になります。近いうちに一般区域に居を構える事になると思いますが、ここから離れるのに抵抗とかありますか?」
「まだ現実味がなくて頭が回りませんが、ここへの執着は有りません。私達がここを引き払った後は私達よりも貧しい人達が住むでしょう。ただそれだけです」
「ならば荷物をまとめて置いて下さい。作った物を捌き始めるのは闘技大会の最終日の表彰式になります。それまでに試作を、出来れば売り物になるのを幾つか作れると良いのですけどね」
「ところで何を作ればよいのですか?」
「今教えたらつまらないので、完成してのお楽しみに!そうですね、ウルナさんのような美人さんこそ持つべきアイテムとだけ言っておきます。ヒントは特に女性に喜ばれ、意中の女性を振り向かせるのに男性が背を伸ばして買える値段にはしたいですね!」
「もうセルカッツ様の意地悪!余計分からないじゃないですか!メイヤさんは分かりますか?」
「ふふふ!安心してください!私にもさっぱりです!」
何故かドヤ顔で言っているが、メイヤよ、君も分かっていないじゃないか!
この日はその後宿の近くにある食堂でネイリスのパーティー加入の祝いと、武闘大会への壮行会を兼ねてささやかだがウルナさん達と共に食事を楽しみ、宿へと引き上げた。
魔石は金貨1枚と大した事はなかったが、この魔物の特徴は何と言っても高品質な肉だ!
例えるならば普通の魔物がアメリカの牛肉で、日本の高級黒毛和牛がボッカロンだ。
大切に育てられた黒毛和牛相当と普通の肉牛との差と思うと話が早いだろうか。
松阪牛程ではないが、スーパーでたまに売られている高級和牛位だと思って欲しい。
この世界での牛相当の肉とされる魔物だと普通の肉質の魔物は1頭につき金貨50枚位が相場だ。
重さは300キログラムから500キログラムでの話。
しかしボッガロンら違う。
金貨350枚にもなったんだ。
取り分はパーティー用として金貨50枚を残す事にし、ネイリスへ60枚渡したらクラっとなり倒れ掛けたが、ウルナさんが肩を掴み軽く頬を叩いていたな。
パーティー用からウルナさん達に金貨20枚を渡そうとしたら、遠慮された。
「その、言っちゃなんですが、まともな服を着ていませんよね。これで買ってください。それと新しい作業服は必ず買ってください。そしてそれを着て見せて欲しいんです。ウルナさん達は皆美人なんですから、着飾ったら素敵だと思うんです。駄目ですか?」
「そ、そういう事でしたら、服代として頂きます!これで子供達に破れていない服を着せられます!。その、セルカッツ様はたらしですわね」
最後のひとことは聞こえなかったな。
「自分用のも買ってね!それと、住んでいる所を見させてもらっても良いですか?思う所が有るので」
「セルカッツ様のような貴族様が来られるような場所では有りませんよ?」
「大丈夫です。失礼ですが、身なりから想像は付きますので。ただ。皆さんの能力を使い、ある物を作りたいんです。それが出来たら綺麗な家に移れるはずです。ただ、ウルナさん達では物を作っても買い叩かれるので、俺が商会のようなのを作り、ウルナさん達が俺の使用人として働きお金を稼ぐ事を考えています」
「セルカッツ様に全てを委ねますわ。私達では今の生活から抜ける事が出来ません。幸い身体を売るまでには至っていませんが、飛び出していった姉妹の中には娼婦になった者もいるのです」
「そんなに信頼してもらえると嬉しいですが、その、今の住処を工場にしたいんですよ」
「分かりました。取り敢えず今から来られますか?」
そうしてウルナさん達の住まう下町に来た。
まだ、下町の入口でマシな方だが、雨漏りのする長屋だ。
元々下町の教会だったが、一般区域に移り孤児達の住処として自由にしなさいと当時の神官に渡されたそうだ。
辛うじて雨露を避ける程度で雨漏りも酷そうだ。
「このような所で申し訳ありません」
「いえ。思ったよりマシですね。えっと、金貨30枚を渡しますので、礼拝堂に使われていた所を俺の言う通りに改装してください。改装すると言っても作業台になるようなテーブルを置き、完成した物を置く場所を確保するように配置を変えて貰う程度です。ただ、ここで寝泊まりしていた人は他の部屋か、無理なら宿に移って下さい。足らなければお金を出しますから」
「ここは炊事場として使っていました。そうですね、屋根を直せば他の場所で調理が出来ます」
俺はメモ帳を取り出し、この建物の図面をざっくりと書いて行き、目測で大きさ等も控えて行く。
皆が不思議そうに見ていたが、俺の顔が真剣なので見ているだけだ。
「よし、明日は作業場への改装を皆でお願いします。薬草採取に行けない分の補填として私がお金を出しますので生活の心配はしなくても良いですよ!なので宜しくお願いします」
「ええ。ネイリスから沢山貰いましたから1月以上大丈夫ですわ」
「ああ。それだけあれば軌道に乗せられますよ!俺も明日は材料を仕入れたりするので、何かあったら宿に誰か寄越して下さい。心配なのは軌道に乗り、ここでそれを作っていると知られると盗みに入ったりする者が出るので、ここも一時的になります。近いうちに一般区域に居を構える事になると思いますが、ここから離れるのに抵抗とかありますか?」
「まだ現実味がなくて頭が回りませんが、ここへの執着は有りません。私達がここを引き払った後は私達よりも貧しい人達が住むでしょう。ただそれだけです」
「ならば荷物をまとめて置いて下さい。作った物を捌き始めるのは闘技大会の最終日の表彰式になります。それまでに試作を、出来れば売り物になるのを幾つか作れると良いのですけどね」
「ところで何を作ればよいのですか?」
「今教えたらつまらないので、完成してのお楽しみに!そうですね、ウルナさんのような美人さんこそ持つべきアイテムとだけ言っておきます。ヒントは特に女性に喜ばれ、意中の女性を振り向かせるのに男性が背を伸ばして買える値段にはしたいですね!」
「もうセルカッツ様の意地悪!余計分からないじゃないですか!メイヤさんは分かりますか?」
「ふふふ!安心してください!私にもさっぱりです!」
何故かドヤ顔で言っているが、メイヤよ、君も分かっていないじゃないか!
この日はその後宿の近くにある食堂でネイリスのパーティー加入の祝いと、武闘大会への壮行会を兼ねてささやかだがウルナさん達と共に食事を楽しみ、宿へと引き上げた。
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