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第29話 5人目のメンバー

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 昨日見なかった中に、1人だけ戦闘が出来なくもない格好をしている人が居たから、ウルナさんに質問をする。

「あのネイリスと言う人って昨日はいなかったですよね!?でもコンバットナイフを持っているし軽装だけど戦闘が出来る人なんですか?」

「あの子も闘技大会に出るんですよ。私達の中で数少ない戦闘ができるギフト持ちなんですが・・・」

「ですが?」

「ええ。あの子シーフ系のギフト持ちで、確かに魔物を倒す力自体は有るのですが、戦闘力が低くてどこのパーティーも仲間にしてくれないんです。昨日も他のパーティーへ1週間の臨時加入として魔物の討伐に行ったんですが、役立たずとされ1日で終わったんです。ですので折角の機会ですが組んで貰える相手がいなくて団体戦に出られないんです」

 髪型はベリーショートカットになるのかな?胸は・・・無さそうだから男か?
 茶髪で小柄なハンサムボーイか?
 周りへの警戒からシーフ系のギフト持ちに見えるな。
 うん、素直に仲間に欲しいかも。
 正直今のメンツに足りないのはシーフ系だ。
 ダンジョンに入ったりしたら、罠を発見したり解除したりできるシーフが重宝される。

 後1人仲間が欲しいなとは思っていたんだよね。
 あれも晩成型だから見る目が無ければ、仲間にするのは厳しいかな。
 だけどね、後半に生きてくるんだよ!

 ただ、中途半端だな。
 男にしては小さいし、女にしては女を主張する所が見えない。
 顔は良さそうだから、性格が明るかったらモテそうだな。

「後で皆と詳しく話をするし、勿論メイヤ達次第だけど仲間にしても良いかなと思うんだ。取り敢えずお試しで問題なければだけどね。俺達は4人だから、まあ別に団体戦のメンバーに入れても良いかな。ウルナさんが気に掛けているから悪い奴じゃなさそうだしね」

「良いのですか!あの子も団体戦に出たかったと言っていたんです。最初に知り合いとパーティーを組んだのですが、ソロで強い人を引き込んだとかで追い出されたんです」

 そこからあちこちのパーティーに加入を申し入れたが、断られ続けているのだとか。

 採取場に着いてから様子を見ていたが、警戒する様子も中々良さそうだ。

 仲間とは親密にしている。

 薬草を採取し始めてから魔物が湧き出るエリアに入るのだが、ネイリスに声を掛けた。

「君はネイリスと言ったね。俺達4人はこれから魔物を倒しに行くけど、取り敢えず今日は俺のパーティーに臨時加入しないか?」

「えっ!良いの!?ボク、あちこちで断られているってウル姉から聞いているよね!?」

 ハスキーボイスだな。
 まだ声変わりをしていないのか?

「君シーフ系なんだろ?俺はこれからシーフ系を探そうとしていたんだ。俺は剣と魔法、他は槍、弓、近接が可能な魔法使いとバランスは良いんだけど、肝心なシーフ系がいないんだ。それと回復担当は俺だ」

「あっはい!よろしくお願いします!でもボク戦闘力が余りないから迷惑じゃないですか?」

「ああ、それに関しては大丈夫だよ。信託の儀を終えたばかりのシーフに戦闘力を期待したら駄目だからね。よかったら町に戻ったら俺が稽古をつけようか?」

「はい!って魔物が来ます!」

「何匹だい?」

「えっと1匹です」

「よし、ネイリスがやってみて!他が来ても俺達が対処するし、やばくなったら助太刀するから。今の実力を見てみたいんだ!」

「はい!」
 
 俺は肩を軽く叩き送り出した。
 また、本日のレベルアップは少し残していたから勝手にレベルを上げてみた。

「あれっ?気の所為かいつもより体が軽いな?」

 タ、タ、タ、タと掛けていく。

「済まない。勝手に勧誘した。しかもレベルを勝手に上げてみたんだよな。でも嫌なら言って欲しい」

「はい。大丈夫です。セル様の目には間違いはないですし、ウルナさんからネイリスさんを宜しくと言われていますから」

「私も問題ないですわ。子供達にも優しいし」
 
「セル様の目に止まったのなら問題ないです!」

 3人の信頼が厚い!
 ちょっと頼りなさそうな所があるけど、まあいきなり見知らぬ者と討伐をするのには不安があるよな。

 ゴブリンが出たが、小柄な体を活かし素早さで圧倒するスタイルだ。
 左右にフェイントを入れつつ、トリッキーな動きで翻弄し、一瞬の隙を見逃さずにいきなり懐に踏み込むと、ナイフを脇腹に突き刺し決着した。

 ネイリスは腹を押さえてのたうち回っているゴブリンへ、さっとトドメをさしていた。

 何故これだけ戦えるシーフを追い出した?
 理解不能だ・・・
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