ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

文字の大きさ
上 下
106 / 117
第2章

第106話 王の土下座

しおりを挟む
 城の中は混乱していた。明るくなってきてから復旧作業が再開された為に慌ただしかった。

 流石に既に死体は片付けられ、国王が生活する範囲と執務をする場所を優先して片付けをしているようだ。但し、謁見の間はどうにもならない。床が割れ壁に穴が空いている。

 会議室の一つが無事なので、そこを応急的に謁見の間にすべく、兵士や神官達が慌ただしく準備をしていた。

 謁見の間にある玉座は見るも無惨な状態だ。変わりに国王の寝室にある椅子を謁見の間に持ってきて、そこらにある椅子を寝室に宛てがった。

 トニーが他にやる事があるだろ?とその様子を見ていて呟いていた。しかしシスティーナが説明をした。

「トニー、このような状況だからこそなのです。国民に立法府たる王城がダメージを受けたとはいえ、国王が健在で、立法府が機能しているのだと知らしめる必要があります。救助を求めるにしろ、それに応えて助けの手を差し伸べるにしろ、城を頼ってきます。城が機能していなければ対応が後手後手になり、立法府を無視して兵士を町に派遣するとしたら効率が落ち、訴えが届きません。また、外国から攻められる呼び水になるのを防ぐ為に最優先で復旧させる必要があります。また、国王が慌てていないとアピールするのに、日常的な生活も普通にしているように見せなければなりません」

「だから俺達も一緒に食堂で朝食を食べるのか?」

「私は第2王女で、貴方はその夫となったのです。王族としての責務だと思ってください。王族を娶るというのはそういう事になります」

 俺は納得できなかったが、分かったよと言うしかなかった。

 そして無事だった食堂に着くと、既に国王夫妻は食堂にいて、テキパキと騎士や神官に指示を出していた。

 国王は俺の顔見るとパッと明るくなった。
 戦闘後の俺は力を使い果たし、半ば倒れるようにシスティーナの部屋に歩いていった。顔は青く、かなり無茶をしたのが分かるから、今の血色が良い顔を見て安堵したのだ。

「お父様、お母様、ご報告があるの」

「改まってどうしたのですか?貴女らしくありませんわよ」

「昨夜私と、レイラ、アイハ、姫騎士団副団長のキャサリンの4名は勇者トニーの妻となりましたので、報告致します」

 国王夫妻は娘に祝福を述べたが、ふとその後ろにいる者を見て、唖然とした。そしてスラナシスカの前に行き跪いた。

「どうして貴女様がここに!」

 跪くどころではなく土下座をしていた。

「女神スラナシスカ様!受肉され人間界に顕現していただいたのですね」

「人の子の王よ、頭を上げなさい。大いなる脅威が迫っています。それを行おうとした者を私はいえ、私の伴侶たるこのトニーがいずれ討ち滅ぼすでしょう。私達は旅に出なければなりません。私の事は人として扱って下さい。私の正体は心の中に秘めなさい」

 俺無しではこの世界では生きられないのは分かるが、伴侶宣言をされ4人も頷いている。どうやら5人目の妻になるらしい。昨夜何が話し合われたのだろうか?俺は何も知らされていない・・・怖くて聞けない。昔ならハーレム作りやがって!リア充爆せろ!と叫んでいただろう。

 取り敢えず朝食を食べながら現状を話し合った。

 それと、今後に繋がる大切な仲間がこの町にいて、助けを求めている筈だと告げ、町の復興の手伝いよりも大切な為に捜索をすると。但し、町の捜索は自分達のみで行うから、兵士は町の復興に専念して欲しいと告げたのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

処理中です...