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第2章

第105話 朝のキス

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 俺は目が覚めると涙を流した。
 きちんと時間が進んでいるからだ。

 取り敢えず体の調子を確かめた。
 寝る前のあの立つのが困難な状況が嘘のように、心身共に晴れ晴れとしている。

 屈伸したり軽く飛び跳ねたりしても問題ないどころか絶好調だ。

 着替えてからシスティーナの部屋を訪れると、レイラ、アイハ、システィーナ、キャサリン、スラナシスカと皆揃っていた。
 昨日何をしたか思い出した。4人にプロポーズをして即時に婚姻となったのだ。
 ループの事で混乱していたが、きちんと話さねばならない。

 俺は皆の前で平伏した。
 スラナシスカ以外驚いたが、起こそうとするのを彼女が止めた。

「皆にちゃんと言わなきゃいけない事がある。それを聞いた上で今一度俺との事を判断して欲しい」

「トニーが何度も私達との初夜を過ごしたって事?それがどうしたって言うの?私達を抱いて尚娶ってくれるんでしょ?相性が悪くて娶りたくないっていうのならふざけるなって言うけど、結婚したんだから問題ないわよ。」

「へっ?」

「へっ?じゃないの。スラナシスカから聞いたわよ。私達以外を抱かなかったって。それより奥様が皆いるのに朝の挨拶としてキスの一つもできないの?みんな待っていたんだからね!」

 どうやら俺の行動は問題なかったらしい。4人以外を抱いていたらアウトだったと思う。

 4人の繋がりについてはお互いになんとなく感じているようだ。

「前世の夢を見たんだ」

 皆反応があり、4人が私もとハモった。

「見たのはあくまで他人の人生を見ているようで、実感はないのだけれども、俺は勇者で5人の愛する人がいる。で、君達がその5人の生まれ変わりだった。皆同じかい?」

「私達を贄にして魔王を討ち、貴方が己の命と引換えに貴方と私達5人を転生させた・・・・伝説の勇者パーティーが私達。皆で話していたの。皆同じのを見たわ」

 アイハが答えたが、皆頷く。

「なあ、あと一人は誰なのか心当たりはないか?」

 皆首を横に振る。

「俺の認識だと恐らく王都にいる。しかも弱っている」

「みんなで手分けをして探しましょう」

「その前に朝食とスラナシスカの事を陛下に報告しなきゃだぞ」

「あっ!いつになったらキスをするのよ!待っているって言ったでしょ!特にスラナシスカは切実に必要としているのよ」

 流れ作業になってしまうが、出会った順でキスをしていく。複雑な思いがある。愛する女性の前とはいえ、皆が見ている前だ。

「トニー、スラナシスカの事だけど、基本的に妻の一人として受け入れたいけど、今は5人目を探す事が最優先ね。5人目の意見次第よ。彼女が私達のリーダー、つまりパーティーの副リーダーなんだからね!」

「俺はその辺りも覚えていないんだ。そろそろ食事の時間だろ?スラナシスカの事を話さないと探しに行くのも困難だぞ!」

 そうそう、彼女達の中では身分の上下はない。俺の妻になる=対等なのだ。
 だからスラナシスカも妻の一人に加わる以上さん付けはしないのだそうだ。

 それと彼女達は俺と一緒に寝るのは取り敢えず5人目が見つかってからだ。
 また、記憶として誰が誰だったか分からない。ただ、5人目だけは誰か分かるというが、分かるのは副リーダーだった事だけだ。それと勿論俺。でも記憶がない。
 本当は急いで町に繰り出したい。しかし闇雲に動いてもどうしようもないし、倒れそうな位にお腹が減っていた。

 俺は5人を引き連れて食堂に向かうのであった。
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