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第2章
第76話 ちょろいとの認識
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トニー達は町に繰り出す準備が出来たので、今まさに城の裏門から馬車に乗ろうとしていた。一度別の場所に行き、そこでさらに別の馬車に乗り換えてからギルドに行く。そのようなカモフラージュをする。システィーナが襲われないようにとの対策だ。
そうして馬車に乗り込もうとしていたところだ。
「姫様あぁ!」
フル装備の女騎士が合計5人現れた。
「今日は私達が護衛をするのでえぇ!ご安心おぉ!」
トニーは剣でキャサリンの頭を叩いた。と言っても鞘でだ。
「いったーぃ!ぐうぅ!き、貴様あぁ!乙女に向かって何晒しとるんじゃああぁ!」
トニーは一瞬ビクンとなった。
今は兜を抱えているので、その顔がはっきり見える。
男装の麗人といった感じで、顔面偏差値高しだ。
超残念さんが超絶美少女なのだと分かり驚いたのと、その顔からは想像のつかない粗野な言葉遣いに反応したのだ。
はっとなり文句を言う。
「お前らまさかその格好で来るつもりか?」
「何だ貴様?我らが姫様を護衛するのだ、この格好に決まっているであろう!」
「馬鹿なのか?そんな格好でゾロゾロとシスティーナについていってみろ、襲ってくれと言っているのと変わらんぞ!婚約者をそんな危険な目にあわせられないぞ」
「お姫様!お考え直し下さい!このような冴えない顔の者は姫様に相応しくありません」
「馬鹿なのか?」
「キャサリン、お黙りなさい!この方・・・」
「システィーナ、悪いが黙ってくれ。今はこの頭のおかしい残念さんと俺が話しているんだ」
トニーはしまったと思った。ついいらっとしてきつく当たったのだ。
「ああ!素敵!いつも自信なさそうにしているトニーにこのように扱われるなんて!いいわ!」
システィーナの意図が分からないが、Mなのか?と思わなくもない。単に自分の反応に新たな一面を見てそのように感じたのか?これは・・・
っていかんいかん。今はこのキャサリンをどうにかしないとだな。
「お姫様にな、なんて口を!」
「お前、うるせぇよ!システィーナの事が大事だから怒ってんだよ!お前システィーナが大事じゃないんか?」
「当たり前だ!私の命よりシスティーナ様を優先する!」
「その考えはあまり良くないが、まあ、システィーナの事を大事だからと言うのは分からんでもないが、間違っているぞ。護衛に混じりたかったら、今の俺達同様に市井に溶け込む格好をしろよ。お前一人なら一緒に行動しても良い。だが、この人達は駄目だ。来るなら距離をおいて尾行してくれ。この格好でフードを半分の者がかぶればまずバレないぞ」
「くぅ。貴様の言う事には確かに一理ある。分かった着替えよう。着替えたら一緒に行けるのだな?」
「ああ」
「1時間くれ!」
「分かった。1時間したらギルドに来い。ギルドで待っているぞ」
そうしてキャサリンの着替えを待ってやる事にした。しかし、トニーは呪いを掛けられた後、己に起こった変化にまだ気が付かないのだった。周りもこの時はシスティーナを心配するあまり怒っただけとしか思わなかった。付き合いの短さから、本来の彼にあるまじき応対だと気が付く事が出来なかった。
時間が戻る事昨夜遅く、国王は王族専用の祭壇の前にひざまついていた。
「女神様!申し付け通りに異世界人を封印されしダンジョンに行くよう依頼を受託させました」
「下賤の王よ、よくやりました」
「娘には手を出さないでくれるのだろうな?儂は婚約者を裏切るのだぞ!」
「不遜な口の聞き方も本来は許さぬところだが、褒美代わりに許してやろう。我は寛大じゃ。それに心配せずとも、あの男さえ失脚すればそれだけで良い。そなたの娘はシスティーナというたか?清々慰めてやり、別の男を探してやるのじゃな」
「有難き幸せ」
そうするとその高位の存在の気配がなくなった。
すると懐からナイフを取り出し、祭壇に置いた。
「スラナシスカ様!ご報告がございます!」
「早速接触があったのね?」
「はい。言われたように家族の安全を脅かす形でです。先日確かに一度警告をするとして、娘を襲ってきまして、それを踏まえ、窮地に追い込む為にダンジョンへ誘導しろと。おっしゃられた通りに封印したダンジョンの攻略を頼みました」
「迷惑を掛けます。貴方達のおかげで首謀者を漸く捕える証拠が掴めます。これを彼に渡してあげてください。これにより一度のみ絶望を回避出来るわ」
「なんとして渡せば!?」
「古より伝わる国宝や王家に受け継がれて来た秘宝だと言えば、まあ、彼ならばちょろ、もとい、信じるでしょうね」
そうしてひとつのネックレスがその場に残されたのであった。
そうして馬車に乗り込もうとしていたところだ。
「姫様あぁ!」
フル装備の女騎士が合計5人現れた。
「今日は私達が護衛をするのでえぇ!ご安心おぉ!」
トニーは剣でキャサリンの頭を叩いた。と言っても鞘でだ。
「いったーぃ!ぐうぅ!き、貴様あぁ!乙女に向かって何晒しとるんじゃああぁ!」
トニーは一瞬ビクンとなった。
今は兜を抱えているので、その顔がはっきり見える。
男装の麗人といった感じで、顔面偏差値高しだ。
超残念さんが超絶美少女なのだと分かり驚いたのと、その顔からは想像のつかない粗野な言葉遣いに反応したのだ。
はっとなり文句を言う。
「お前らまさかその格好で来るつもりか?」
「何だ貴様?我らが姫様を護衛するのだ、この格好に決まっているであろう!」
「馬鹿なのか?そんな格好でゾロゾロとシスティーナについていってみろ、襲ってくれと言っているのと変わらんぞ!婚約者をそんな危険な目にあわせられないぞ」
「お姫様!お考え直し下さい!このような冴えない顔の者は姫様に相応しくありません」
「馬鹿なのか?」
「キャサリン、お黙りなさい!この方・・・」
「システィーナ、悪いが黙ってくれ。今はこの頭のおかしい残念さんと俺が話しているんだ」
トニーはしまったと思った。ついいらっとしてきつく当たったのだ。
「ああ!素敵!いつも自信なさそうにしているトニーにこのように扱われるなんて!いいわ!」
システィーナの意図が分からないが、Mなのか?と思わなくもない。単に自分の反応に新たな一面を見てそのように感じたのか?これは・・・
っていかんいかん。今はこのキャサリンをどうにかしないとだな。
「お姫様にな、なんて口を!」
「お前、うるせぇよ!システィーナの事が大事だから怒ってんだよ!お前システィーナが大事じゃないんか?」
「当たり前だ!私の命よりシスティーナ様を優先する!」
「その考えはあまり良くないが、まあ、システィーナの事を大事だからと言うのは分からんでもないが、間違っているぞ。護衛に混じりたかったら、今の俺達同様に市井に溶け込む格好をしろよ。お前一人なら一緒に行動しても良い。だが、この人達は駄目だ。来るなら距離をおいて尾行してくれ。この格好でフードを半分の者がかぶればまずバレないぞ」
「くぅ。貴様の言う事には確かに一理ある。分かった着替えよう。着替えたら一緒に行けるのだな?」
「ああ」
「1時間くれ!」
「分かった。1時間したらギルドに来い。ギルドで待っているぞ」
そうしてキャサリンの着替えを待ってやる事にした。しかし、トニーは呪いを掛けられた後、己に起こった変化にまだ気が付かないのだった。周りもこの時はシスティーナを心配するあまり怒っただけとしか思わなかった。付き合いの短さから、本来の彼にあるまじき応対だと気が付く事が出来なかった。
時間が戻る事昨夜遅く、国王は王族専用の祭壇の前にひざまついていた。
「女神様!申し付け通りに異世界人を封印されしダンジョンに行くよう依頼を受託させました」
「下賤の王よ、よくやりました」
「娘には手を出さないでくれるのだろうな?儂は婚約者を裏切るのだぞ!」
「不遜な口の聞き方も本来は許さぬところだが、褒美代わりに許してやろう。我は寛大じゃ。それに心配せずとも、あの男さえ失脚すればそれだけで良い。そなたの娘はシスティーナというたか?清々慰めてやり、別の男を探してやるのじゃな」
「有難き幸せ」
そうするとその高位の存在の気配がなくなった。
すると懐からナイフを取り出し、祭壇に置いた。
「スラナシスカ様!ご報告がございます!」
「早速接触があったのね?」
「はい。言われたように家族の安全を脅かす形でです。先日確かに一度警告をするとして、娘を襲ってきまして、それを踏まえ、窮地に追い込む為にダンジョンへ誘導しろと。おっしゃられた通りに封印したダンジョンの攻略を頼みました」
「迷惑を掛けます。貴方達のおかげで首謀者を漸く捕える証拠が掴めます。これを彼に渡してあげてください。これにより一度のみ絶望を回避出来るわ」
「なんとして渡せば!?」
「古より伝わる国宝や王家に受け継がれて来た秘宝だと言えば、まあ、彼ならばちょろ、もとい、信じるでしょうね」
そうしてひとつのネックレスがその場に残されたのであった。
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