ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

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第1章

第55話 賊の引き渡し

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 守る義理はないのだが、それでも女性は守るべき存在だよなと思い、アースウォールでシスティーヌを囲った。

 そしてアイスショットを賊達に放った。

 ドガッ!グシャ!トゴ!
 賊の手脚に氷の塊が襲い掛かる。
 鈍い音を立て手脚の骨が砕け、その場に崩れ落ちた。

 その場にはリーダーと思われる者のみ立っていた。氷の球を躱したり剣で弾いたのだ。

「てめぇ何もんだ?くそっ!」 

 ぐぉぉおおおぉ!と叫びながら渾身の一撃を俺に向けて放った。

 剣術スキルを使ってきた。威力を高め、一気に間合いを詰めるスキルだ。ダッシュだ。意外だったが、辛うじて剣で受け止め、俺は後ろに下がらされた。

 手が痺れた。

「盗賊風情が剣術スキルを何故持っている?お前何者だ!」

 すると剣を投げてきた。正確には剣術スキルでソードアローだ。

 持っている剣を矢として放つ技だ。
 そして放たれた後、10秒で手元に戻ってくるのだ。かなりエグい。一発技だが、外れると数秒間武器がない。だが、剣がかなりの勢いで飛んでくればそれは恐ろしい。

 俺の頬を掠め、アースウォールに当たったが、ヒビが入った。

 俺もダッシュを使い、一気に間合いを詰めるとそいつの腕を斬り落とした。

「ぎゃー!俺の腕が!腕があぁあぁ!」

 腕を必死に押さえ、もがき苦しんでいる。

 奴の剣をストレージにしまう。
 こいつどうしようかな?そう思うが、そろそろ解除せねばなと思い、ウォールを解除する。

 腕を組んでプンスカになっているシスティーヌがえらい剣幕で怒ってきた。

「ちょっと何よこれ!守ってくれたのは嬉しいけど、狭くて息苦しいじゃないのよ!」

「悪いな。咄嗟の事でこれ位しか思いつかなくてな。って逃さねぇよ!」

 俺はそいつに駆け寄り、脚を切り裂いた。逃げ始めたのを見逃さなかった。

「ウギャー!脚がぁ」

「ぎゃーぎゃーと五月蝿えな!」

 そう言ってそいつの頭を押さえ付け、闇レベル9で使える技である隷属を使い、こいつを奴隷化した。

 取り敢えず腕を持ってきた。
 頭を殴り気絶させ、腕をくっつけながらヒールを使うと接合していき、傷も治った。

 次に倒れているこいつの部下達に触れて行き、全員の奴隷化をした後、エリアヒールにて治療を行った。

「全員聞け!俺の奴隷にした。誰かを襲う事を禁じる」

 トニーが触っていた時に、皆の額には奴隷紋が現れている。

「凄い!君は闇魔法をレベル9又は10まで持っているのね。この力を悪用しない事を祈るわ」

「見くびるな!そんな事しねえよ!勿論悪人にしか使わんぞ!」

「くそがぁ!ざけやがって!」

「俺と彼女に対する暴言を禁ずる!よし、俺達を襲った理由を話せ!嘘をつく事を禁じる」

 一番近くにいる奴に視線を向けた。

「知らねえよ。ボスに男は殺せ、女は生きて捕らえるぞって言われただけだ!」

 本当らしい。嘘なら苦しむからだ。

「ボスに言われたからという以外の理由を知っている奴がいたら挙手しろ。いないか。お前らのボスは?」

 最後に倒した奴を指差した。

「お前が部下に命じたのか」

 頷く。

「誰かの指示か?又は誰かに頼まれたのか?首謀者を教えろ!」

 奴は苦しみだした。

 俺は慌てて解呪を始めた。
 迂闊だった。先にやるのだった。
 しかし、間に合わなかった。呪いを掛けられている事が分かり、解呪をし始めたが先に息絶えたのだ。

「くそっ!迂闊だった!」

「どうしたというの?」

「闇のレベル9の呪術が掛けられていて、首謀者を伝える事を禁じられていたようだ」

「これからどうするの?」

「どうもこうも、もうこれ以上はどうにもならないさ。俺がアジトを襲っても問題が有りそうだから、こいつらをギルドに突き出すよ」

 そうしてこいつらをギルドに付き出したが、騒然となった。何せ賞金首の盗賊団が町の中に入っていた事が判明したからだ。つまり手引をした者がいるか、抜け道がある事を意味したからだ。

 アジトについて聞いたが、お宝は換金され、その金は半分は俺の金になるが、国の兵団が対処するのでいずれカードに入金するからと、時折ギルドにて残高を確認するようにと言われた。

 又もや知らない事実が。
 ゲーム同様に銀行みたいにカードへお金の出し入れが出来るのだと今更知ったのだった。

 取り敢えず明日の朝、盗賊討伐の分の賞金を受け取る事になり、ギルドを引き上げるのであった。
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