ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

文字の大きさ
上 下
53 / 117
第1章

第53話 コアについて

しおりを挟む
 謁見の間に入ると今度は雰囲気が違った。

「トニー君、君のお陰で助かったよ。聞けば我が息子の命の恩人だとか。そうそう、あやつは良くない噂が絶えなくてね。有能ではあったのだが、まさかあれ程の事をするとは思わなかった。改めて礼をさせて貰うよ。その辺りは晩餐の時にでも話すとして、先ずは君達の本来の要件だな。それとよく見破ったな。あの趣向は謀反人ダルカスカスが進言してきてな。何やら実力のある掃除人だから、実力が有れば見抜けましょうとな。もし見抜けなければ小者だとな。確かに一理あるから提案を採用したのだがな。話がズレたな」

「それでは陛下、第一王子にして我が友バジーナルに起こった話は聞き及んでいると思いますので割愛しますが、ダンジョンが人為的に作られ、私達はその為に一度命を落としました。その後トニーさんのパーティーがダンジョンを潰してくれましたが、既にゴブリンジェネラルが出ている段階にまで成長していたとの事です。その後彼には恋人と離ればなれになるような可愛相な事が有りましたが。トニーさん、コアを」

 俺はドスン!と椅子にしか見えないコアを床に置いた。ただ、トーマスさんが何故に余分な事を今言ったのかについて理解に苦しみ、スルーする事にした。


 ざわめきが起こる。

「すまぬ、トニー殿、何処から出されたのだ?」

「自分ストレージ持ちでして、ご覧のように」

 再びストレージに入れ、また出した。

「重さはこれがほぼ限界で、ストレージに入れておけば安全なので、こうやって持ってきました。道中一度、昨夜に一度コアを回収しようとした奴に襲われましたから、少なくともこの町に仕掛けた奴の一味はいる筈です」

「成程、因みに発見が遅れた場合どうなっていたのだね?」

「ギルドマスターの話だとキング種、ロード種の順で生成され、数日以内にスタンピードが発生し、多分町は全滅していた筈だと」

「ぐう!よくも我が配下の町を!ランベルいるか!?」

 すうっと影から一人の男が現れた。

「コアを見てみろ。そしてお前の評価を聞きたい」

「失礼」

「こいつ影移動、つまり最低でも闇魔法をレベル8迄は取得している猛者か」

 俺は呟いていたようだ。

「どうかしたのかい?」

「いや、あの人強いなって」

「だね」

「陛下、確かにこれを使えば、スキル持ちならば彼の言う通りになったでしょうな」

「背後関係は分かるか?」

「ダルカスカスの手の者の仕業ではないかと思いますが、私では何とも」

「そうか。分かった。これはこちらで預かろう。時にトニー殿は我が娘の擬態も見破ったそうだな。スキルか?」

「陛下!」

「すまんすまん。スキルの詮索は御法度だったな。忘れてくれ」

「陛下の思われているスキルは持ってはいますが、それではないのですよ。スキルを使えば分かるでしょう?あくまで洞察力ですよ」

「確かにトニー様のおっしゃるとおりで、スキルを使えば私の方で分かります。しかし、スキルを使わない方が恐ろしいですな」

「そんなに難しい事ではありませんよ?王女様、陛下の前に立ってもらっても良いですか?。ありがとうございます。まずウエストです。多分メイドさんはコルセットをしないですよね?次に手です。綺麗過ぎます。顔もです」

「あらお上手ね」

「違います。確かに王女様は美人さんですが、あくまで綺麗だと言ったのは肌の事です。シミやそばかすがありません。恐らく高価な化粧品を使っているのではないかと思いましたね」

「私の侍女にも使わせているわよ」 

「決めてはお茶ですね。飲み方が優雅過ぎます」

「因みにお茶を誘われたのは?」

「決め手に欠けていたので、飲み方を見たり、多分一度はメイドだからと断るかなと。しかし断らなかった」

「これはしたり。メイドになりきれなかったようですわね」

「これはシスティーヌが一本取られたようだな。ところで2度の襲撃とは?」

「はっ。一度目は賊が首謀者に魔物を与えられたようで、それを使い襲撃してきましたが、やはりトニーさんが撃退しました。それと、2度目はですね、その油断です。昨晩皆と酒場で飲んでいたのですが、酒場に潜入していた女性に引っ掛かり、トニーさんはお持ち帰りされて囚われましたが、返り討ちにしたようです」

 システィーヌがぷいっとそっぽを向いた。

 なぜ?

「もう、男の人ってこれだから」

「おやおや!我が娘がトニー君に怒ったようだな。トニー君は女に弱いのかな?」

「陛下に申し上げます。チョロかったです」

 既に兵士達はおらず、一部のものしかいない。途中国王がシッシッと手振り身振りで下がらせていたのだ。

「よし、まだ夕食まで時間があるでな、システィーヌ、其方トニー殿に町を案内してあげなさい。まあ、その格好なら大丈夫だろう。トニー殿は娘を守ってやってくれぬか?」

 ほええ…?となったが、トーマスさんに脇腹を小突かれて、はいと返事をしてしまったのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!! 神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!? これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...