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第1章

第36話 オークの集落への奇襲

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 藪を掻き分けながら進む事30分、目的の場所が見えた。そう、窪地が見えてきたのだ。

 眼前に、いや、眼下に窪地があり、そこに粗末な掘っ立て小屋が立ち並んでいる。そして窪地の入り口に見張りのオークが見える。

 少し引いて、ひそひそ話が出来るところに行く。
 そうそう、ギルドマスターはあくまで臨時パーティー員の為にステータスは見ない。ただ、俺の秘密を守ってくれる感謝から従者にした。制約は殺意を込めた攻撃をすると、貸与したスキルが強制的に俺に戻る事だけのようだ。

 話し合った結果アウトレンジからの攻撃とした。

「私もどれかの魔法スキルを取得して攻撃に参加しようか?」

「いや。取得はまだだ。次にレベルが上がるとぎりぎりで強運を10に出来るんだ。誰かが背後を気にして守ってくれないと出来ないから、俺達の命を守って欲しい。ギルマスがアイハ、レイラは俺の護衛だ。背中を預ける事が出来るから、防御を捨てて攻撃に徹する事が出来るから」

「分かったわ。トニーの命は私の命に代えてでも守り抜く」

「頼んだ!レイラが頼りだ。レイラの出番がないのが一番だけど、まあ、そんなに簡単には行かないさ。それとアイハにレイラ、レベルが上がったら必ずステータスを触るんだぞ」

 そうそう、ギルマスから教えられたのは、幸運値を100と、強運も10に出来て、更に他にもポイントを使えたと言う。やはり従者になって初めてポイントの存在が分かったと。

 攻撃はアイハが弓を放つと俺が続いて魔法を放つ。

 俺の方はアイハが弓をつがえ、狙いを定めたタイミングで魔法の展開を始め、準備が整いしだい放つが、先ずはアイスショットを使うと先程の作戦会議で伝えた。次はファイヤーボウルを建物が密集している所を狙って放つ。
 また、アイハは矢を放ち続ける。
 距離は30-40mといった所だ。問題ないだろう。

 しかし、こんな場所に集落を作るなんて、襲ってくれって言わんばかりだな。まだリーダーとなる上位個体がいないのかな?それならば今のうちに潰す方が良いとなった。

 アイハを見ると弓の準備ができており、後は引き絞るだけだ。俺が頷くと彼女も頷く。

 すると引き絞り、見張りに放った。俺もアイスショットを展開していく。

 アイハのロングボウから放たれた矢は見事な放物線を描き、見張りの脳天に刺さった。それと同時にアイスショットの生成が終わり、上空に現れた小さな魔法陣から建物に一斉に向かって放たれた。

 見張りは2頭おり、一方がそいつを見てブモ?と唸ったが、そいつにもアイスショットが飛んでいき、頭を中半吹き飛ばした。

 建物は20程あり、全てに穴が開く。当たりどころが悪いと崩れたが、運のない何頭かがアイスショットが直撃して死んだようだ。

「レベルが上がりました」
「私もだ」

「まだ今は大丈夫だから運に振って」

 俺は今放つ事のできる最大のファイヤーボールを2つ生成した。約50cmのだ。概ね精神力に5を掛けたcmの直径が最大のようだ。別々の所に飛んでいき、ドゴーン、ドゴーンと小爆発を起こし、周りの建物にも飛び火して幾つかの建物を燃やす。

 ブモーと叫びながら建物からオークが飛び出してきた。
 大概が粗末な棒切や棍棒を手にしている。

 そうして戦いの火蓋が切って落とされたのであった。

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