ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

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第1章

第24話 レイラの出自

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 俺は今美少女と一緒に食事をしている。
 そういえば貴族の娘のような事を言っていたが、改めて見ると姿勢が良く、居酒屋の定食なのに上品に食べている。

「私の顔に何か付いている」

「確か貴族の娘のような事を言っていたなと思ったんだ。やはりそうなんだなと感心していたのさ。まあ妙に上品に食べているから見惚れていたのさ」

 レイラはフォークを落とした。
 動揺しているようだ。

「どうした?」

「宿で話すけど、トニーから見てそれと分かるの?」

「まあ、見た目が綺麗なのは置いといて、所作が違うぞ。ひょっとしたらお前、市井に紛れ込んでいるつもりか?」

 頷く。

「無理だぞ。話し方も時折支配階級臭がするし、立ち居振る舞いは簡単には治らんぞ。ぶっちゃけた話をするが、お前どこぞの王女だろう?」

 ぶっ!

 レイラが口にしていた物を吹き出してしまい、トニーの顔に掛かった。

「汚ったねぇな!図星かよ」

 慌ててトニーの顔を拭くレイラだ。

「済まない…」

「まあな。話の展開やお約束というのやフラグがあってさ。その辺の町娘と知り合うなんて無いのさ。まだ継承権とか放棄していないのか?」

「な、何故それを!?」

「さっきのお返しだよ。予測だよ。大体どこぞの王子や変態貴族のドラ息子へ政略結婚する話が有るんだろ?それで期限を切って剣姫になる事を条件に結婚相手を自分で選ぶ事を了承した。若しくは爺やとか、母親とか侍女、それらに助けられ国を逃げ出してきた、そんなところだろう?」

 ・・・

「図星か。お前好きな奴とか居たのか?」

 ・・・

「王族ってのも大変だな。で、第何王女だ?第1じゃないよな。それと周りで知っている奴は?護衛とか影で守っている奴とかは?」

「国を逃げて来たのだ。帰る時は夫を連れて剣姫として堂々と帰りたいとは思うが、知っているのはお前だけだ。追手やその手の者は撒いたよ。もしいれば昨日や今日死にそうにはならなかった…私は妾の子で第4だ。その、母には申し訳ないとは思うのだが、母に逃げる協力をして貰ったのだ」

「大体分かった。食事の時は席を考えような」

「教えてくれて済まない」

「まあ、詮索するつもりはなかったけど、知らないと不味い事がお互い様だけど多そうだな。後で腹を割って話そうぜ」

 レイラは力なく頷いた。

 てっきり一端の掃除人に見えていると思いこんでいたが、トニーに所作からかなり正確に出自を当てられてしまった事にショックと、どうすれば良いのか?と狼狽えていた。

 それはともかくとして、食事を終え、クエストの報告に向かう。レイラも依頼を受けてお金を稼がなくてはならなかった。路銀が底をついていて、一週間分の宿代を払ったのでほぼ底をついてしまい、きのう慌てて死体回収に同行していたのだ。

 ただ、幸か不幸か今日の分でおそらく当面のお金の心配をせずに済むのだ。トニーと同室になれば部屋代もかなり少なくなるだろうと。
 予知の通りで有れば、彼は…

 彼は2つ上だと言っていた。無理矢理嫁がされる所を僅かな路銀を握りしめて逃げてきた。何とか一人でやってきたが、限界が来ていた。彼は自分に助けを求めてきた。こちらの方が助けて欲しい位だが、お互いに助け合う事になりそうだ。

 不思議だった。王族と見抜いたのに時折お前呼ばわりだ。普通は萎縮するものだ。それと彼は会話は出来るが文字が分からない。はぁとため息をつく。トニーは支払いを済ませ、先に外に出ていった。

「ちょっと待ちなさいよ!レディーを置いて行くだなんて最低よ!」

 レイラは可愛らしく駆けていく。

「お前がレディーだって!?レディーは待ちなさいよなんてツンデレ語は話さんぞ!まあ顔はレディーなのは認めてやる!」

「何よそのツンデレって?」

「さあ?ギルマスに会いに行こうか!」

「えいっ!」

 レイラはおどけて腕を組んでみた。

「ねぇ、君は向こうに恋人はいたの?」

「何だよ急に。いねぇよ」

「あら残念。いや、この場合はもう会えないから良かったのかな?」

 …

「ご、ごめんなさい。無神経だったね」 

「そうだよな。多分帰る事が出来ないんだよな。まあ、お金は先に振り込まれたからお金の面で迷惑は掛からないだろうさ。こっちで骨を埋めるのかな。ははは。こっちで彼女とか出来るかな?」

 レイラは少しはしゃいでいた。トニーの方が自分の助けを必要としている以上、こちらから裏切らなければ裏切ってくるような事も無い信頼の置ける仲間が出来たからだ。

「私も帰る所が無いの。だから、その、私の真の仲間になって!」

「今更何を言っているんだよ。宣言しないと信じない奴か?俺にとってお前はもう既にお互いに命を預けた掛け替えのない仲間だぞ」

「うん!」

 そう言ってトニーにしがみつきながらギルドに向かったのであった。
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