ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

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第1章

第18話 ダンジョンへ

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 翌朝、食事をしてから弁当のお金を払い、弁当を受け取ると背嚢に入れたが、その途端にストレージに入れた。

 昨夜検証をしたが、時間停止が有るようだ。よかよか。

 まだ気を許せないが、レイラちゃん可愛いんだよな。そうか!あの子がメインヒロインか?俺にも春が来たのか?そんな事を思ったりもしました。
 脈が有るのか無いのか分からん。

 ただ、話し方でこちらに対する具合が測れそうだ。呆れているとあんた呼ばわりだし、冒険者として真面目になるとトニー、異性として見てくれている時?は君かな。
 訳ありのようだけど、俺自体は近接もそこそこ出来るスーパーマルチを目指さざるを得ないかな。ゲームとは違うから、現実を見て考えないとだ。

 ただ、気になるのは何故かモブとして、つまり一般市民としてスタートしている事だよな。下手をすると上級職に就けず、下位職に甘んじる事になる。
 だが、現状全属性魔法が高レベル迄行ける可能性が有るし、仲間に近接特化がいるから、俺は魔法特化でも良いのかなと思う。

 レイラにああは言ったが、俺自身の方向性を見極めなければだ。

 彼女は最初から下級職になっているのは凄い。こちらはレベル10の時にどうなるのか?あの覇者の職業が気になるが、いかんせん情報が無い。

 となると、魔法寄りのマルチを目指すか。
 そんなふうに考えながら歩いていると、目の前に女性の顔があった。
 ヒィーと唸り後退ったが、レイラが不思議そうな顔をしていた。

「ちょっと!?ヒィーじゃないわよ。君、大丈夫?ブツブツ言いながら宿の前を通り過ぎたわよ」

 レイラさんの姿は眩しかった。
 ビキニアーマーを着ており、一応パレオのようなスカートにシャツのようなのを羽織ってはいるが、谷間がよく見える。目の保養にはなるが、無駄にセクシーだな。実際はその上にマントを羽織っているから、近くにいないと谷間は見えない。

「悪い悪い。考え事をしていたんだ」

「もう気を付けなさいよ」

 そうして合流してから道具屋に行き、テントと毛布、鍋と皿と木のコップやスプーン等、2人分を買う。一応2人が寝泊まり出来そうなのを買いトニーが背嚢に括り付けた。
 代わりに剣をストレージに入れたので、これで少しは歩き易くなった。

 保存食と着替えをお互い買い、背嚢に仕舞う。勿論即ストレージ行きだ。

 店を出て目的地を目指す。
 町を出るとトニーはレイラに、いや自分にかもだが、語りかけた。

「ここから俺の、いや、俺達の冒険が始まる。始まりの町で初の冒険だ。死なないように頑張ろう!改めて宜しくな!」

「改まってどうしたの?」

「なんか、ちゃんとしなきゃなって自分に言い聞かせたんだ。知らない世界だけど、俺はこの世界で生き抜いてやるってな!」

「こちらこそ宜しくね。トニーは異世界人なの?」

「えっ?」

「違うの?今この世界でと、知らない世界だけどって言ったわよ?」

「そりゃあ、掃除人の世界は知らないさ。何せ初めての冒険だからさ」

「変な事を聞いたわね。さあ行きましょう!」

 俺はヤバイヤバイと、言葉を選ばないとな、こいつ何気に頭が切れて鋭いよな?と気を引き締めなきゃと言い聞かせた。だがやはり、天然さんのようであれで躱せられた事に驚いた。

 この人はやはり異世界人ね。間違いないわ。常識が無さ過ぎるし、手も綺麗。やはりこの人が私の?この人天然かな?あれで私が気が付いていないと思ったのかな?でもこの人について行けば、私は剣姫になれる気がする。頭が良いし、言葉も丁寧よね。暫くは様子見かしら。取り敢えずは嫌われないようにしないとね。それに彼、私の胸元に釘付けよね。分かり易いわね。恥ずかしいけど、頑張った甲斐があったわ。それにしてもスキルポイントなんて凄いわね。ふふふ。変な人だけど、ちょっと好きになったかも?ううん。少し気になるだけよ。う…ん?

 レイラにはしっかりバレていたりする。

 そうして歩いてダンジョンへ向かっていたが、早々に引き離されてきた。
 レイラが早いのだ。いや違う!俺が遅いのだ。体力の無さが顕著に現れてきた。

「トニー、何をしているの!遅いわよ!」

「ちょっ、ちょっと待って!」

 俺はテント等をストレージに入れた。

「ふう。テントが邪魔だったんだよな。よくみんなこんなん背負って歩く事が出来るよな。ふう」

 レイラのジト目が痛い。

「ちょっと、トニーは何者なのよ!強いんじゃないの?それとも体調が悪いの?体力が無さ過ぎるわよ」

 俺は押し黙った。
 そしてこの子に嫌われて捨てられると、そうしたら生きていくのは厳しいと焦ってきた。

「うん。元々こういう事をする筈じゃなかったんだ。だから体も鍛えていないし、体力が無いんだ。ごめん」

「まあ、魔法使いってこんなにも体力が無いのだなんて知らなかったわ。はぁ。馬車を借りるのだったわね。ごめんなさい。近接戦闘の私の体力で考えていたわ。それはそうよね。魔法使いは体力が少ないのよね?」

「う、うん。もう少しゆっくり歩いてくれると有り難いかな」

 レイラは頷き、時折トニーの様子を見ていた。

 俺は思う。隠し通せない。ちゃんと打ち明けておかないと、意図せずに知られたくない者に知られるのではないのかと恐れた。

 だが、元々近かったので程なくしてダンジョンの入口に着いたので、この問題は先送りだ。ふうと一息入れていたが、ここは祠のようになっていて、その先はスロープになっておりどうやら地下型のダンジョンだ。

「トニー、大丈夫?」

「うん。少し休んだから大丈夫かな。体力が無いな。鍛えないとだな。ごめん。足を引っ張っているよな」

「ねぇ、ヒールを使っても変わらないの?」

「へっ?」

「へっ?じゃないの。試しに使ってみたら?」

 俺は言われるがままに使ってみたが、疲れが一気に取れた。

「うおぉ!スゲェ!こんな使い方も有るのか!流石にゲームじゃないから気が付かないな」

「ゲーム?」

「何でもないよ。こっちの話。そっか。疲れたらこうすれば良いんだね」

「それよりもここは近いけれども、やっぱり馬車がいるわよね?」

「でもさ、下手したら数日籠もるんだよ?車体は良いけど、馬はどうすんだっけ?」

「あっ!そうだよね。木に繋げておくと餓死しちゃうよね」

 ははははと2人は笑った後、ダンジョンの入口を見てため息をつく。

「これどうすれば良いんだ?」
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