エラーから始まる異世界生活

第2章

救えた命救えなかった命

　俺は失敗した。
　ゲートを閉じるタイミングが遅く、その為にゲートへ１機のドローンが突っ込んむのを止められず、集落への侵入を許してしまった。２機目はゲートが閉じた時に、機体の半分通過した時点の為、真っ二つになっていた。

　ドローンが集落を蹂躙していく。
　俺の目の前で罪のない子供達がレーザーに焼かれたり、銃撃を食らってその短い人生の幕を閉じていった。

　俺は涙を流しながらドローンに駆けていった。
　凄惨な光景だ。血を出して子供達が倒れ、痛みに呻いていたり、苦悶の表情で目を見開いて力尽きている者・・・俺はグアアアアア！と叫びアンタレスで斬り裂いた。
　斬った所が不味かった。エネルギーパックを斬ったようで爆発した。

　俺は瓦礫の中に半ば埋まっていた。辛うじて生きていたが、誰かが足を引っ張り瓦礫から引きずり出してくれた。

　ヒールを使い体を治す。
　地面に多くの子供達が寝かされていた。

　俺はハッとなり死者蘇生を使おうとした。しかし、対象リストには対象が０とある。

　顎に手をやると髭の長さがかなり長い。俺が気絶してから丸一日以上経過している事を示す。

　俺はごめんな！助けられなかった！と子供達に謝るしかなかった。泣け叫び血の涙を流していた。

「ス！ランス！お願い起きて！」

　誰かが俺の名を呼んでいる。
　頼むからまだ寝かせてくれ。それよりも、何やら騒がしいな。全く、人が寝ているところで騒ぐなって、あれ程近所の子供達を叱りつけたのに、騒がしい。それとも、また隣の部屋のやつが、女連れ込んで激しくやっとるのか？壁を叩くぞ！・・・

　？？何の事だ？
　子供達の声がするが、何を言っているのか分からん。

　誰かが俺を呼んでいる。耳鳴りがする。取り敢えずヒールっと。

　目を開けると洞窟の中にいる？意味が分からん。

　俺が目を開くと、膝枕をしてくれている水樹が大粒の涙を流している。

　急激に意識がはっきりしてきた。
　ガバッと起き上がり、周りを見る。

　俺を見ている複数の視線が気になる。キョロキョロと周りを見渡すと、破壊尽くされたそれではなく、朝のままだ。

「水樹、死んだ者達はどこだ？」

「何を言っているの？怪我人は数人出たけど、向こうの子達は全員無事に来れたのよ」

「ここにあのドローンが入ってきただろう？」

「夢でも見たのか、頭が打ったのではないの？勿論ドローンは来なかったわよ」

「良かった。そうか夢か。ふう」

　その後何があったかのかは、俺が起きた事を見たアトランジェが駆け付け、説明してくれた。

　β集落は完全に潰されたが、奇跡的に全員助かったと。尤も俺が助けに入った時点で、既に5人が死んでいたが、それからは誰も死なせてはいない。α集落に辿り着いた時に俺を始め何人かがβ集落が崩落した時の破片で怪我をした。俺もそのうちの１人で、俺はゲートを出た時に頭を打ち、気絶した途端にゲートも消えたとの事だったが、救った者は20名との事だった。

　ただ、俺は頭を強く打ち付けており、丸一日以上意識を取り戻す事が出来なかったし、そうでなくとも、大量の岩石に埋もれた死体を短時間で探し出す事は現実的に無理と言わざるを得なかった。