エラーから始まる異世界生活

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第1章

突然の終わり

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 俺は己の首が跳ねられ、その首が地面に向けて落下している落下感に見舞われていた。そして落下している最中に、ああ死んだ!くそっ!そう思った次の瞬間、俺の意識がはっきりした。そう立っている状態の己の足が見えていた。つまり立った状態で首だけ下に向けている感じではっとなったのだ。

 そして前方を向くと、首から上が無くなっているボスだと思われる魔物がそこにいた。数秒間体をゆらゆらと揺らした後、どさっと倒れた。そして体をピクピクとさせた後死んだというのが分かった。

 そうボスを倒したと分かるのは、魔石を残して霧散したのと、ボスを倒した後の部屋の状態になったからだ。

 実にあっけなかったが、恐ろしい敵でもあった。

 妻達を見ると、全員倒れていた。ピクピクと痙攣し、口から泡を吹いてのたうち回っていたのだ。一人一人に回復魔法を掛けていき、起こしていった。

 立ち直りが早かったのはオリヴィアだった。

「ねえランス、いったい何が起こったの?」

 皆混乱していた。俺が回復させた後周りを見るも、既にボスがいなかったからだ。

 俺自身も何が起こったかよく判らなかったが、一つ言えるのはレジストに失敗するような強力な幻覚を見せられたと言う事だ。体の自由を奪い、俺を殺しに来たのだろう。おそらく俺の持っているヘルムの力を知らずに、俺が首を項垂れているところへ頭をかち割ろうとして、ヘルムに攻撃したのだろうと。そしてヘルムからの反撃にて頭部が吹き飛び、幻影が解除されたと。

 このボスを倒した時に得られたスキルは絶望の淵という幻覚の最上級のスキルだった。これを得たおかげで、今後この手の幻覚にはもう俺自体は掛からないだろうと認識した。

 そして全員に回復とクリーンを掛けて順次起こしていったのだが、アトランジェは大いに泣いていた。この手の精神攻撃を食らった事がないからだろう。スキル名が指すように、絶望に打ちひしがれる幻影を見せる、そういう能力だろう。俺の場合ここで戦っていて、妻達が一人、二人とどんどん殺されていく。そういう絶望に打ちひしがれていまうのには十分な幻覚を見せられたのだ。

 危なかった。こいつが正面からではなく、上から俺の首を刎ねに来ていたら俺は本当に首を刎ねられていただろう。尤もワンちゃんは有った。予め己自身に死者蘇生を掛けてある。重ね掛けはできないが、己自身に掛けた死者蘇生が発動すると、数秒間だけだが、活動できるのだ。ただその数秒で倒しきれないと、今度は気絶してしまう為、その間に殺されるだろう。

 なので本当にワンちゃんなのだ。蘇生したその瞬間はありとあらゆる状態異常が一旦解除されるからだ。

 皆に何が起こったのかを伝え、この日は40階層のボス部屋を終点とし、ゆっくりと休憩を取る事にしたのであった。



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