エラーから始まる異世界生活

第1章

異変と敗戦

　４０階層の部屋は他の部屋と同じで、何の変哲も無いボス部屋だった。

　全員が入るとドアが消えた。これも他と変わりない。

　変わった事と言えば、この部屋に入ってからドアが消えてからというもの、急激に嫌な予感がした事だろうか。そうしていると、部屋の中央に光の玉が現れ、ボスが顕現を始めた。

　やがてそれは一体の魔物に変わった。ここまでは嫌な予感がする以外、異常はなかった。

　そこに現れたのはカマキリのような魔物だったが、鎌が六本あった。

　40階層のボスと対峙してすぐに異変を感じた。久し振りに頭にアナウンスが来たのだ。

「レジスット失敗」

　焦った。レジストに失敗したようだが、何か分からない。
　だが、相変わらずレジスットだった。50年経過しても変わらない物がそこにあった。いや違うだろうと思うが俺は叫んだ。

「今までと違うぞ！何かをされているぞ！レジストが失敗した！悪いが全員で掛かれ!」

　皆頷いて斬り掛かった。
　しかしアトランジェの右腕があっさりと切断されたので俺はなっ！と唸った。

　歯が立たなかった。
　俺も必死にくらいつくも鎌に邪魔されて傷を与えられない。

　おかしい、何かがおかしいと思うも何故か攻撃を読まれる。動きを追えているのにだ。

　いつの間にか攻撃のターゲットが水樹とクレアに向いた。そう、弱い者から倒す事にしたようだ。

　俺も左腕を切断されたが、お泥いた事に欠損修復が出来ない。

　そうして先ず水樹の首が刎ねられ、クレアも殺られた。そして無我夢中で戦っていたのだが、気が付けば動いているのはボスと俺だけになっており、皆屍を晒していた。俺は涙を流しながら右腕でアンタレスを必死に振るった。

　時間停止や次元刀も働かない。そのうえ転移をしても読まれており、攻撃が全く当たらないのだ。何故そうなるのか訳が分からなかった。そうして絶望に打ちひしがれていたが、遂に俺は首を刎ねられたのであった。