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第1章
低層階
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今までのダンジョンとの違いが一つあった。俺達が入るとダンジョンの入り口が消えてしまったのだ。
あっ!と唸ったが、どうせ先に進むのだからと、ダンジョン探索を途中で断念して戻るにも同じ道を戻るしかない為、先に進む方が得策となるケースの方が多い。その為留意するのは留意するが、敢えて気にしない事にした。食料は子の人数だと年単位で持つのだから心配しても仕方がない。
戦力的に守らなければならないのはクレアと水樹である。実際は水樹もそこそこ戦えるようにはなっているが、トリシア達に比べると一段落ちる。彼女はどちらかと言うと研究者の部類に入る。ダンジョンについて研究しているが、ダンジョンに入る為にそこそこのレベルで魔法と剣術を訓練していたに過ぎない。
彼女が悪い訳ではないが、自衛できる事を目的としており、100階層クラスのダンジョンのボスと単独で戦うだけの力はない。なので水樹はオリヴィアに、そして俺はクレアを守る。他の者達は自身の力で何とでもなる。俺はそういうふうに判断をしていた。
10階層までは正直小手調べだというよりも、最初に入ったダンジョンと何ら遜色がない。水樹に確認すると、恐らく40階層のボスを倒す迄は何の変哲もないごく普通のダンジョンに見えるのではないかと言う。
以前のダンジョンも基本的にはメインのダンジョンの上層階の方と、衛星ダンジョンと何ら遜色がなかったらしい。
俺は弾き飛ばされてしまったので、そのダンジョンについては聞かされた話しか知らない。
最も水樹の言うには事例が少ないので、断言はできないと言っていたが、今の状況が同じだという事を物語っていると判断をせざるを得ない。
低層階は基本的に戦闘力の弱い者の戦闘感や経験を養う為にフォローしつつ戦わせる事にしていた。
アトランジェについては特に心配しなかった。槍を持たせれば俺よりも強いからだ。但し剣で打ち合えば俺の方が遥かに強いのだが。
今回心強いのは妻達の中で一番ダンジョンに詳しい水樹を連れて来ている事だ。戦力で言うと正直に言うとお荷物でしかない。
たが、本来未知の世界の冒険や探索というのはそういうものである。戦闘に長けた者だけが行っても意味をなさない。ジャッジできる者、それが何かを判断出来る者、決断を下す者に適切に指示や報告を出す者、それらがいなければ探索をする事自体意味がない。脳筋ばかりが集まっても結局罠に嵌ったり道に迷ったりして最終的に目的地に辿り着かない。食料や荷物の関係で人数に制約があるので、探索するメンバー選びが大事で、メンバーが決まった段階で半分程成否が決まると言っても過言ではない。そういった意味では今回はかなり考え抜いた人選だ。本当はレニスを連れて行きたかったが、向こうの守りの要であるから仕方がない。不安があるとしたら弱いメンバーの比率が高い事か。
単純に強い魔物と戦う腕試しをするのであれば別であるが、今回はそうではない。クレアに憑依しているあの女神イリスの本体を探し出して解放しなければならない。
正直言うと危険を犯す義理はないのだが、あの女神は神であるにも関わらず泣いていたのだ。それだけで俺にとっては十分だ。
だが妻達は女神が泣こうかどうでも良い。ただ、クレアが困っているから助けてくれる!そんな感じだ。それにダンジョンを放置すると、この世界に甚大な被害を及ぼす可能性もある。そんな感じであったが、本当はそうでもないのだろう。俺の役に立ちたい、単純にそれだけなのだろうと思うがそれでも文句一つ言わないのだから感謝しなければだ。
そうしてダンジョン本体の攻略を開始したのであった。
新小説投函しています。
勇者はいいですって言ったよね!~死地のダンジョンから幼馴染を救え!勇者?いらないです!僕は好きな女性を守りたいだけだから!~
です。
URLはこちらです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/440688029/875578657
ブクマをして頂けると幸いです
あっ!と唸ったが、どうせ先に進むのだからと、ダンジョン探索を途中で断念して戻るにも同じ道を戻るしかない為、先に進む方が得策となるケースの方が多い。その為留意するのは留意するが、敢えて気にしない事にした。食料は子の人数だと年単位で持つのだから心配しても仕方がない。
戦力的に守らなければならないのはクレアと水樹である。実際は水樹もそこそこ戦えるようにはなっているが、トリシア達に比べると一段落ちる。彼女はどちらかと言うと研究者の部類に入る。ダンジョンについて研究しているが、ダンジョンに入る為にそこそこのレベルで魔法と剣術を訓練していたに過ぎない。
彼女が悪い訳ではないが、自衛できる事を目的としており、100階層クラスのダンジョンのボスと単独で戦うだけの力はない。なので水樹はオリヴィアに、そして俺はクレアを守る。他の者達は自身の力で何とでもなる。俺はそういうふうに判断をしていた。
10階層までは正直小手調べだというよりも、最初に入ったダンジョンと何ら遜色がない。水樹に確認すると、恐らく40階層のボスを倒す迄は何の変哲もないごく普通のダンジョンに見えるのではないかと言う。
以前のダンジョンも基本的にはメインのダンジョンの上層階の方と、衛星ダンジョンと何ら遜色がなかったらしい。
俺は弾き飛ばされてしまったので、そのダンジョンについては聞かされた話しか知らない。
最も水樹の言うには事例が少ないので、断言はできないと言っていたが、今の状況が同じだという事を物語っていると判断をせざるを得ない。
低層階は基本的に戦闘力の弱い者の戦闘感や経験を養う為にフォローしつつ戦わせる事にしていた。
アトランジェについては特に心配しなかった。槍を持たせれば俺よりも強いからだ。但し剣で打ち合えば俺の方が遥かに強いのだが。
今回心強いのは妻達の中で一番ダンジョンに詳しい水樹を連れて来ている事だ。戦力で言うと正直に言うとお荷物でしかない。
たが、本来未知の世界の冒険や探索というのはそういうものである。戦闘に長けた者だけが行っても意味をなさない。ジャッジできる者、それが何かを判断出来る者、決断を下す者に適切に指示や報告を出す者、それらがいなければ探索をする事自体意味がない。脳筋ばかりが集まっても結局罠に嵌ったり道に迷ったりして最終的に目的地に辿り着かない。食料や荷物の関係で人数に制約があるので、探索するメンバー選びが大事で、メンバーが決まった段階で半分程成否が決まると言っても過言ではない。そういった意味では今回はかなり考え抜いた人選だ。本当はレニスを連れて行きたかったが、向こうの守りの要であるから仕方がない。不安があるとしたら弱いメンバーの比率が高い事か。
単純に強い魔物と戦う腕試しをするのであれば別であるが、今回はそうではない。クレアに憑依しているあの女神イリスの本体を探し出して解放しなければならない。
正直言うと危険を犯す義理はないのだが、あの女神は神であるにも関わらず泣いていたのだ。それだけで俺にとっては十分だ。
だが妻達は女神が泣こうかどうでも良い。ただ、クレアが困っているから助けてくれる!そんな感じだ。それにダンジョンを放置すると、この世界に甚大な被害を及ぼす可能性もある。そんな感じであったが、本当はそうでもないのだろう。俺の役に立ちたい、単純にそれだけなのだろうと思うがそれでも文句一つ言わないのだから感謝しなければだ。
そうしてダンジョン本体の攻略を開始したのであった。
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