エラーから始まる異世界生活

第1章

２つのダンジョン発見

　最後のダンジョン攻略の時には、おそらくクレアをイリーナの本体が封印されている所に連れて行く必要があると思った。

　その体からイリーナの魂を取り出し、イリーナの本体に入れなければならない。つまりその場で死者蘇生をせねばならぬのではないかと感じていた。

　魂を取り出した時にどうなるのか正直わからない。取り出し方法は嫌な予感しかしない。おそらく一度クレアを殺さねばならないのだろうと感じている。もう一度イリーナが出てきてくれればどうすれば良いのかを教えてくれるのだろうが、もし来なければそれを実行する事になりそうだ。

　そう考えると俺がその場にいないとクレアを復活させられない。成程、ふむふむと考えを巡らせ、その考えをクレアに伝えると頷き、自分もそう思っていて、俺に1度生き返らせてもらわなければならないというのを言いづらく、どうやって伝えてようかと悩やんでいて、俺の方からその事について言及されたのでほっとしたと言っていた。

　もちろん俺が直接殺すわけではない。俺が殺してしまうとスキルを奪ってしまうからだ。しかも多分予知になる。なので同行した誰かに眠らせたクレアを一旦殺してもらう事になる。

　その事について話し込んでいると、そろそろ起きてお昼をと言われてしまった。そう完全に朝食の時間をスルーしてしまい、もう昼食の時間になってしまっていたのだ。

　食堂に着くとレニスを始め、戦闘系の主だった者と、向こうの世界から来た妻の一部がいないかった。

「あれ？何人かいないが何かあったのか？」
　
　そう聞くとクロエが伝えてきた。

「ええ。ダンジョンの調査に行っているからなの。だから少ないのよ」

「あーなるほどね。」

　俺はダンジョンがどこにあるのかを調査する為、皆で手分けしてあちこち探しに行ったものだと考えていた。また、念話は邪魔する事になるかもと控えていた。特にセレナがいないから気が気じゃなかったが、我慢である。

　そうセレナが皆をあちこちに連れて行き、そこから広域で捜索をしているのかなと思っていた。その日俺は皆の予備武器やメインになる装備に念入りに強化や能力付与を行っていた。イリーナの件があるので、最後に入るであろうメインのダンジョンを攻略する時に、その時の攻略メンバーに持たせなければならない。

　攻略メンバーを誰にするか頭の痛いところである。

　あまり普段はクレアを戦闘の場には連れて行けないんだが、今回は鉄板だ。

　なのでアトランジェとクレアを連れて行くのは決定事項である。残りの人数や人員をどうするかと、こちらに残す守護人をどうする？といったところであろうか。

　そうこう考えていると夕食前にクロエから報告を受けた。

「そうそう、先程伝え忘れたけれども、そう言えばダンジョンが二つ発見されたの」

　俺はその言葉を聞いて冷や汗が出たのであった。