エラーから始まる異世界生活

KeyBow

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第1章

日常

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 アトランジェが来てから早一月ぐらいが経っていた。

 さすがに俺と一緒に寝るのは一週間程前から終わっていた。彼女にもきちんと個室を与えている。ただレフトアイの布団に忍び込んでいると言っていた。

 レフトアイが俺と一緒に夜を過ごす番の時に困った事が発生した。アトランジェがレフから離れようとしないのだ。これから何をするのかを言い聞かせたが、構わないからと言っていた。後学の為に見学するとも言っていた。よくよく話を聞くと、ある程度の年齢になると先輩夫婦の夜の営みを見学し、性の知識を植え付けられると言っていた。なので俺がレフと愛し合っている様を見ても大丈夫だと言っていた。恥ずかしいとは思うらしいが、そういう風習で育ったので違和感はないと言っていた。問題は俺の方である。レフは俺達の合体する様子を見られても良いと言ってくれたが、俺はオロオロしていた。結局見せたか見せなかったかは皆の想像にお任せする。アトランジェ談・・・想像を絶する日だったと。

 そんな事もあったが、とある日の早朝の武術鍛錬をしている時の事だ。ふと思うところがあり、いつもの剣ではなく、たまには槍を出してみた。意外なことではあるが、セレナが得意だったりする。尤も薙刀をやっていたので、槍を薙刀の代わりに使うような使い方だ。かなりイレギュラーではあるが、そんなセレナよりも圧倒的にアトランジェの方が強かったのだ。

 槍の使い手は正直少ない。元々この世界でも槍を使う者はいたが、投擲するか戦争で使う。3メートル以上の長い槍を突進してくる騎馬に対し目前で持ち上げ、刺すような槍として使うことが多く、剣の代わりに手持ち武器として使う者は少なかった。

 俺も油断していたのもあり、なんと一本目はアトランジェに敗れてしまった。彼女は剣の実力はそこそこだったが、元々槍を得意としていたようだ。

 驚いた事に彼女の槍の実力は俺とほぼ互角だった。尤も純粋な槍のみの場合はアトランジェの方が上だったが、あくまで槍だけの話だ。転移などのスキルを使えば間違いなく俺の方が強いんだ。スキルを混ぜて練習しても意味がないので、純粋に今は武器のみの稽古である。俺は俺と互角の槍の使い手が目の前にいることに心が踊った。彼女の今の肉体年齢は15歳ぐらいである。そんな15歳の成長中の彼女の今の成長しきっていない体での実力である。これが体力が大幅に向上をし、18歳ぐらいになれば俺の実力を軽く超えるのではないかと思うぐらい槍捌きは見事だった。

 俺もついつい熱くなってしまい、食事の準備ができたと言われても止めなかった。見兼ねた誰かが俺達の所にフライパンを投げてきた。俺がそれを掴む形で朝練が終わった。

 俺がやりを繰り出しながら後ろ手で見もせずにフライパンを掴んだものだから、皆からおお!と歓声が上がっていたのであった。
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