エラーから始まる異世界生活

第1章

額の魔石

　アトランジェは俺が契約の話をした時に、即答で契約者になると言ってくれた。彼女は俺と契約した後、かなり驚いており、身体能力が格段に上がっていると言うのだ。

　剣が得意だというので、レフトアイと軽く模擬戦をして貰う事になった。勿論木剣を使ってだ。

　レフトアイはそこそこの剣の腕前がある。3 S 級の冒険者としての実力が十分あるのだが、そんな彼女と互角だったのだ。5分程打ち合っていても決着がつかず、一旦そこで終わりにした。

　真っ直ぐで綺麗な闘い方をする彼女をレフトアイは気に入り、模擬戦を終了すると言うと、アトランジェに抱き付き、すごいすごいとはしゃいでいた。

　アトランジェは嬉し恥ずかといった感じで照れていた。

　まだ言葉を覚えている最中の為、レフトアイがセレーシャ経由で、朝練について伝えて貰った。

「毎朝剣の稽古をやっているので、一緒に稽古をしないかと言っているけど、どうする？」

「はい。レフトアイ 様のように私と実力の拮抗した方と出会ったのは久し振りでした。勿論お願いしたいです。どうぞこちらこそよろしくお願いいたします」

　そんな感じだった。

　彼女の喋り方が硬いのか、翻訳能力がそうさせているのかは正直分からない。ただ、彼女の仕草などを見ている限りでは騎士道のそれをなぞっているように思える。なのでおそらく喋り方なども実際に硬いのだろう。セレーシャの事もセレーシャ様と言っているのだ。俺に至ってはランスロット様と言うのを一向にやめなく、皆にも様つけである。

　アトランジェは日に日に妻達と打ち解けてきており、言葉も片言だが段々と話せるようになってきたようだ。

　話せるようになってきたようだと言うのは、俺には転移時に植え付けらるた翻訳機能があり、彼女の言っている言葉が日本語で聞こえてくるからだ。この国の言葉だろうが、故郷のかは関係ない。

　言葉の習熟状況についてはレフトアイ達に聞いて初めて分かる。

　状況を確認するのは非常に微睡こしいのである。
　また、どうにか彼女がいた星の自転周期や公転周期、一日の時間を確認すると、1日の長さや公転周期がこちらより短い事が判明した。


　その為ざっくりとだが彼女の年齢を計算し直すと、何と15歳であった。誤差を考えても16歳程度だ。

　年齢の割に妙にあどけなさが残るなとは思っていたが、じっさいにあどけないねんれいだったのだ。

　20歳を超えていれば別だったが、俺は彼女を抱いて寝ていたとは言ってもセックスの事ではない。ぎゅっと抱きしめる方の抱きしめるだ

　彼女が色々不安そうにしているので、添い寝をする事にしたのだ 。レフトアイもその必要性を確認しており今日は彼女を優しく抱きしめ、人の温もりを感じてもらう事にした。

　アトランジェは自分の身も心も命を救ってくれたというより、生き返らせてくれた俺のものだと主張し、既に体を捧げていると言っていた。

　だが俺がかたくなに二十歳になるまではだめだと言ったのだが、どうも自分の事が嫌いなのかと、俺に嫌われると居場所がないと泣き始めたのだ。狼狽えてしまった俺は、そんな事はないと、アトランジェは俺にとって大事な人の一人だと言った。彼女は私の事を抱いてくれと必死に訴えていた。

　彼女はセックスの事を言っていたのだが、俺は今からベッドに行こうと言って、抱いてくれと言った言葉通りにただ単にぎゅっと抱きしめてあげた。

「その、ランスロット様、そうじゃないのです」

「何を求めているのかは分かっているが、俺の都合だ。まだ君を君の求める意味の抱く事はができないが、こうやって抱きしめる事はできるぞ。君は俺に抱かれる事で俺の女となり、そうしないと居場所がないと思っているならば、それは杞憂だ。君は好きなだけ俺の所にいても良いんだよ」　　

　彼女の体をさすっていたが、彼女の体の色が濃い青色からだんだん白っぽく移り変わっていた。彼女の肌は精神状態によって色が変わるのだ。極度の緊張状態や興奮状態になると真っ青なブルーるが、緊張が解けリラックスするにしたがって白っぽくなっていくのだ。

　肌の色から今の精神状態が相手に分かってしまう為、大人になるとあまりよろしくない為に、一族の秘技を使い、額に魔石を埋め込むという。

　そうする事によって結婚適齢期が来た頃には花肌の色を自分の意思でコントロールできるようになるという。その為に必要なのがこの額の魔石であり、この魔石が体に馴染み、己の制御下に入るまで数年の時がかかると言うのであった。