エラーから始まる異世界生活

第1章

碧き彼女

　俺が回復するのをみんながじっと待っていてくれた。

　今この目の前にいる謎の碧き 女性について、少しずつ思い出してきた。

　確か上空から落ちてきて、落下時はまだ生きていた筈で、ここで死んだ筈なのだ。ただ、死んでからまだ丸1日経過していなかったので、死者蘇生をして事情を聴く事にしたのだと思い出してきた。

　なんとなくだが、まず思い出したのは、死者蘇生を実行し、心臓が鼓動を開始した時に見始めた幻影にて、見た事のない魔物と言うか生物と、以前どこかで見たような気がする魔人のような者に対峙していた。そう、彼女と共に戦っている幻影だ。ただ、幻影を見始めた途端に死者蘇生によるブラックアウトがあり、幻影を最後までは見れなかった。その為、幻影の事は彼女に聞くしかないが、今までの経験上、必ず起こる事だ。多分彼女をいずれ娶るのだろう。従って彼女は大切に扱う事になる。

　そして俺は僅かに見れた幻影の中で、彼女を信頼していたのだというのを思い出してきた。

　とりあえずこの町での調査を終わらせ、引き取った死体を屋敷に持って帰り、屋敷にて詳しく調査をするとした。今後の事は俺達が引き受けるとして、領主に建物の使用許可を出した。また、相応のお金を渡し、破損した建物の修繕をするように指示を出し、早急に店が再開できるよう便宜をはかるようにとも伝えておいた。

　その後は、まずゲートを出して屋敷に戻り、俺の執務室で碧き彼女を含め妻達と今後のことについて話をする事になった。

　調査に加わっていたメンバーに加え、地球から来た者達を呼び寄せている。セレーシャの話によると、俺達は異世界から来た時に授かっている翻訳機能で碧き彼女と話ができるが、ナンシー達現地の者はそうはいかなかった。その為、セレナ達に翻訳と通訳を頼んだのだ。

　碧き彼女はセレーシャの腕を掴み、決して側から離れようとしなかった。先程からセレーシャが唯一会話できる者であったからだ。言葉が通じない者が怖かったようだ。お互いに敵意は感じられないようだが、それでも何を言っているのか分からないのだ。そんな中で一人ぽつんといるのは不安があるだろう。セレーシャが俺がブラックアウトしてからの事を教えてくれた。彼女を発見してから蘇生する迄の概要は彼女に概ね既に伝えてくれていた。また、俺の事も概ねだが既に話してくれていると言っていた。手間が省ける。だが、それでもちゃんと挨拶をしておきたかった。

「初めまして。まず私が君を蘇生したランスロットです。私の言っている事は聞こえているだろうか？うん大丈夫そうだね。まず君の安全は俺の命に代えてでも守ると約束しよう。ここにいる妻達も君から危害を加えさえしなければ誰も君を攻撃しないよ。だから安心して欲しい。っていきなり信じろってのも無理だよな。そうだな、君の安全を守る為に一つしなければならない事がある。もう説明を受けているだろうか？そう、俺と主従契約を結ぶんだ。これは君の能力を上げたり、君自身が身を守る為の力を得る為にある。そして俺の庇護下の者という証になる。制約は俺に悪意ある攻撃が出来なくなる位だ。ただし、俺が君に不埒な事をして、例えばいきなりお尻を撫でたりしたら、このスケベとか言いながら平手打ちをするのはちゃんと当たるし、もし俺が先に君を攻撃したら、反撃もできる。そしていつでも君の方から一方的に契約破棄をできるようにするそれと君の名前を教えて欲しい」

　急激に彼女の事が愛おしくなってきた。先程からドキドキしていたが、いつもの事だが、惚れてしまった。妻達もそうだろうと分かっており、妻の一人に迎えるに相応しいか否か、何を教えねばならぬ者かを見ているようだった。そして彼女の声を漸く聞けるので俺はその声が美声である事を半ば期待するのであった。