エラーから始まる異世界生活

第1章

事情

　俺は目覚めた時にパニックになった。何せ窒息していたのだ。それも己の嘔吐物でだ。

　気絶していたところ突如吐いて喉を詰まらせゴホゴホとあがいていたところ、周りにいた妻達が慌てて俺をうつ伏せにして喉に手を突っ込み、詰まった嘔吐物を取ってくれていた。そして胃の中が空っぽになるまで吐いていた。最悪の気分である。頭が痛かったり寒気がしたりするからまたもや死者蘇生を使ったようで、その後遺症のようだが、いつにも増して症状が重かった。

　そして吐いている最中に意識を失ったというよりもバブっていた。後から聞いた妻達の話によると俺は背中をさすられている最中に視界に映った誰かの所に飛びつき、一気に上半身を裸にし、その胸を吸っていたと言う。慌てた妻達が俺を引き離したが、俺がバブった相手はよりによって今回助けた女性であった。

　彼女はパニックになっていたそうだが、俺は引き離され妻達が代わる代わる俺をバブらせ、正気に戻るのを待っていたらしい。いつもより長く激しかったらしいがその後落ち付いた俺は再び意識を失い、2時間後に漸く目覚めた。それが今である。もう吐く物が無いので吐きようが無かったが、気持ち悪く二日酔いを更に酷くした気分だった。

　大丈夫と誰かが声を掛けてきたが、状況がよくわからなかった。俺の体は拭かれていたようだったが、少し臭うので俺は己と部屋にクリーンを掛けた。誰かが出してきてくれたグラスを受け取り、一気に飲み干した。暫くすると漸く意識もはっきりしてきたので問うた。

「すまないまた誰かを死者蘇生したようだが、一体何が有った？まだ意識が混濁していて何が有ったのかよく分からないんだ」

　すると一人の見た事のない青いが綺麗な女性というか美少女を俺の目の前にセレーシャが連れてきた。セレーシャの後ろに隠れているようで、彼女が応対をしているようだ。

「ねえ志郎さん。この子を生き返らせたのを覚えているかしら？」

　俺はその時は見覚えがなかったが、その女性を見ると顔や肌は青いがかなり整った顔立ちで、１６から２０歳の間だろうか、美女と言うか美少女である。額にアクセサリーか何か分からないが、特徴的な小さな角があった。背丈はセレーシャと同じくらいだろうか。それと大きくもなく小さくもなく俺好みの程よいサイズだ。あくまでも俺の好みのサイズである。何って？それはどこかと言うと、胸に決まっている。

　ぶっちゃけ顔も俺の好みである。俺は無性に思った。今は見た覚えがないが、妻の一人に加えたいと。というよりも無性に愛おしくて仕方がなかった。何故この見た事のない女性を好きなのだろうか？一目惚れしたのだろうかと。そのように思ったが俺が見覚えが無く戸惑っていて首を振っていたのだが、ナンシーが声を掛けてきた。

「ランス、あなたはこの子を生き返らせたの。この子が空から落ちてきてその調査を行っていた時に彼女を生き返らせたのよ。そして気絶し今漸く目覚めたの。死者蘇生を使った後の記憶の混乱で彼女の事を覚えていないと思うけれども、暫くすると思い出す筈よ」

　俺は思い出すまで青き娘をじっと見詰めていたのであった。