エラーから始まる異世界生活

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第1章

バブる

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 俺が異世界に飛ばされた後の50年に起こった事を学んでいたのだが、そんな中ナンシーにお願いして確かめたい事が一つあった。向こうの世界で最後にバブったのが約30年前だ。

 しばらく時間をおけばバブる事がなくなるのではないかという話になり、まず1年程時間をおいて試したが何も変わっていなかった。

 そこからはこちらの世界に戻るまでの間は俺がバブらないように皆の協力を取り付けてやっていたが、帰ってきたのもあり、約30年経って変化があったかどうかをそろそろ確認する事になった。

 元々こちらに戻ってきたら変化があるかどうかを確かめる事にしていたのだが、忙しく忘れていたのだ。

 結果は何も変わっていなかった。そう30年前と全く変わっていないのだ。つまりバブる事は時間とは関係ないのだ。

 ある程度の時間が経てばこの呪いとおさらばできるという期待はあっさり打ち破られてしまった。

 意識が戻り、無駄だったと気が付いた時に、俺は恥ずかしげもなく涙を流した。

 誰かの乳首を赤ん坊のように吸っている情けない姿の己の状態を認識した時であった。
 悲しいかなチュパチュパは止まらなかった。

 その後俺は一週間ほどひ酷い落ち込みに陥っており、部屋に引きこもっていた。トリシアですら俺に声をかけられなかったと言う。

 それでも何とか一週間後には日常生活に戻っていた。俺のお願いとして、余程の事がない限り、俺がバブらないように気をつけて欲しいとお願いをした。

 俺の落胆の激しさから妻達は受け入れてくれていた。 

 俺が正気に、戻った後は、俺を飛ばした転生者が行った悪事の痕跡を辿る事にした。

 あの核爆発を起こされたところも既に放射性物質が殆どない事が確認できた。一時的にはあったのだが、半減期がかなり速い種類だったようで、長期の汚染地帯にはなっておらず、再び街が作られたり小さな集落がポツポツとある感じであった。

 調査した結果はほぼ元の状態に戻りつつあるという事だ。それとこちら側と俺達のいる国とでは文明のレベルが開きつつある事が実感できた。

 一番感じられるのは紙である。

 元々羊皮紙のような物が使われていたのだが、こちらでは神の進歩がなかったようだ。ただ俺達の方はそうではない。妻達が進んだ紙を世の中に出したのだ。

 ただ、残念ながら製紙業界に詳しい者がおらず、今のパルプでの紙の製造方法が分からなかった。ただセレナ達日本人は和紙の作り方を知っており、パルプでの紙製造の研究開発をするとともに、和紙の普及を図っていた。羊皮紙よりは遥かに作りやすく、材料も豊富で安価である。もちろんパルプで作った紙の方が品質も良く、最終的にはコストが安いのだが、現段階での技術レベルではそれが限界であった。この世界の住人に発明してもらうのだ。

 また、俺は俺で新たな帳面にこちらに帰ってきてからの日記をつけ始ていた。特にこの50年の世の中の移り変わりが緩やかに変わってきているため、妻達には大きく変わったという実感があまりなかったようだ。 

 だが俺のように50年ぶりに戻ってきた者から見ると大いに変わっており、その記録を残していたのであった。

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