エラーから始まる異世界生活

第1章

水樹

　俺の自室に戻ったが誰もいなかった。但し机の上には手紙というか、メモが置いてあった。それは水樹からのものであった。要はセレナの部屋にいるのでそちらに迎えに来て欲しいという内容であった。どうしたのだろうとは思いつつ、手紙を読み進めていたが、水樹の部屋は今現在修繕改修中にあり、この1日2日では急ぎ部屋を直しても、臭いまで取れないのでこの一週間ばかりセレナの部屋に転がり込んで一緒に寝ていると言う。部屋は余りがあるが、こういう時はペアを組んでいる相手の部屋に行くのだそうだ。

　その為、刻印の儀は俺の部屋で行いたいという事であった。なるほどと思う。この屋敷の年数を考えると、順次部屋の大改修をしていてもおかしくはないからだ。元々数百年持つような頑丈な作りだが、勿論都度改修は必要だ。

　急ぎセレナの部屋に行くと丁度二人が談笑をしているところで、部屋の外に笑い声が聞こえた。俺を見ると水樹はセレナに行ってきますと言い、セレナに可愛がってもらうのよわいがって貰うのよと送り出されていく。

　水樹の3姿は白無垢であった。粋な事をするなと思いつつも、セレナに別れを告げ、水樹お姫様抱っこで部屋に連れて行った。お姫様抱っこは儀式の一連の所作にされているのだ。元々俺の趣味で始めたのだが、いつの間にか決まり事になっていたのだ。

　部屋に連れて行く床に正座し、そこからふかぶかと手を付き不束者ですがよろしくお願いいたしますと言い始めた。俺もつい正座し、丁寧にこちらこそよろしくなと言った。そんな形で思わず返事を返してしまった。

　水樹はおそらくナンシーよりも胸が大きい。奴隷商でオークションにかけられていた時はまだあどけない少女だったが、当時既に体の成長が著しかったのが成長するとかなりのわがままボディになったのだ。

　また見た目というのはキャリアウーマン的な感じである。キリッとして美人で隙がない、そんな感じであり、おまけにメガネまでかけている。メガネはと言うとファッションであり、度は入っていないと言っていた。

　ベッドに入るまでは堂々としていたが、ベットに入ると急にしおらしくなり、その変貌ぶりに俺は萌えてしまった。覚えているのは激しく求めたという事であるが、彼女はそれはそれは嬉しがり、恍惚に顔が歪んでいたのにはため息しか出なかった。ナンシーのお友達である。


　刻印が刻まれるまでのインターバル中の水樹との話は、主に発明品の話である。こちらの世界ではセレナを中心に開発が行われていたが、開発チームは2チームあり、そのうちの一つを取仕切っていた。

　元々本を読むのが好きで、日本にいた時もかなりの本を読み漁り、豊富な知識があった。

　俺も俺の持ってる限りの知識を使い、向こうで色々開発していたので、また後日開発した物を見せ合おうなと言うと、それはそれは喜んでいた。

　水樹には申し訳ない事をしたとしか言いようがなかった。それは奴隷から解放した時にはまだ中学生だった。まだ思春期の状態で、俺が目の前からいなくなったからだ。最初こそかなり警戒していたと言うが、俺が水樹に触れた頃には既に俺の事をヒーローだと思い、好きになっていたと言っていた。

　子供の頃の話も聞きたかったのだが、それは今度デートをした時にしたいと言い、今日は話してくれなかった。だが、あっという間に4時間が過ぎ、彼女が刻印者になったことを確認した。

　水樹がきちんと刻印者となった旨をセレナに報告すると
　持っていくといい数分後にシェリーと現れた。

　セレナが水樹に付き添うというので、俺は眠い目をこすりながらシェリーと食堂に朝食をとるために向かっていくのであった。