エラーから始まる異世界生活

第５章

街

　俺とヒナタが街に着くと当然の事ながら大騒ぎになった。予定されていない訪問だからである。街の広場に着地し、ヒナタは頭を下げ俺がその背中から頭を伝い地上に降り立った。

　そうすると兵士のような者が一人出てきて

「これはドラゴン様。本日はどう致しましたか？またその者は？」

「彼の者は我が主なり。彼の者の言葉は我が言葉とし、しかと聞くが良い」

「今日は普段とは別の用事で来た。見ての通りこのドラゴンは俺の配下にある。街の代表者を連れてきてくれ。大至急だ！誰かを連れ去る為に来たのではなく、このドラゴンが今までに連れて行った女性達を街に返したい。その為の話だ。急げ！」


　そう言うとその兵士は慌ててどこかに行った。暫くすると街の責任者と思われるものが慌てで現れた。

「此度はいかが致しましたでしょうか？」

「ああ、そうだな、立ち話もなんだから、一旦彼女には人の姿になって貰い、一度その為に離れて、直ぐに戻ってくる。その間に話し合いをする場所を確保してくれ。人間の姿で可能な場所でよい。それと次に俺が連れて来る女性がこのドラゴンが人の姿になったヒナタという女性だ。いいな？」


「ははー、かしこまりました」

「すぐに戻ってくるから、案内役の者を一人はここに残し、打ち合わせの場所をセットしといてくれ。おそらく10分ぐらいで戻ってくると思う」

「ははーわかりました」

　俺はすぐ戻るとだけ言い、ヒナタの背に乗り、

「ヒナタ、一旦人の姿になるのと着替えに行くぞ。知覚で良い」

「かしこまりました我が主よ」

　そうして飛び立って街を離れた。そして街を少し出た所でヒナタが人の姿に戻り、俺はこ日向に服を着せてあげた。

　そしてそこから先程の広間へゲートを繫げ、ヒナタを連れて現れた。

　そうするとそこには先程の男がいた

「待たせたな。彼女が先程のドラゴンが人の姿になったヒナタだ」

「ははー、畏まりました。ちなみに貴殿はどういった御立場の方でありましょうか？」

「ヒナタを従えし大天使だ。でそっちは？」

「はい、私はこの町の首席顧問をしております。つまり今現在私がこの町の責任者をしております」


「そうか。なら話は早い。とりあえず席に案内してくれ。話はそれからだ」

「ははー。畏まりました」

 　首席顧問とやらの屋敷と思われるところに着いて、そのまま応接室に通された。俺はは当然の事ながら上座に座る。屋敷の主が座ろうとしないので

「さあ、いつまでも立っていないで座って話をしようか」

　そう言うとそろりそろりと座る。周りには何人かの者がいる。秘書だとか書記だとか、アドバイザーの類のような者もいる。そして話を始めようとした途端にドアがノックされ「失礼します」とメイド服を着たメイドさんが茶菓子とお茶を持ってきた。黙々と落ち着いて準備をしていたので、おそらくヒナタが何者なのかを聞かされず、ただ大事なお客様が来たからもてなすようにと言われて来ただけなのだろうと思い、俺は素直にメイドさんにありがとうとだけ言った。

　茶をすすりながら、顧問が話し始めた　

「本日はどのようなご用件でしたでしょうか？」

「そうだな。月に1度ヒナタに差し出されていた女性達を、15歳未満の若年層を町にまずは返そうと思う。詳しい話はこれからするが、ヒナタはこの町を、いやこの世界をおそらく離れる事になる。別のドラゴンに屋敷を襲われてな、彼女の屋敷が使い物にならなくなったんだ。彼女達にはちゃんとした所で休ませてあげたいんだ。また襲ってきたドラゴンは俺が倒し、奴隷にした。何れこの町の守護者として、この町の防衛を命じるつもりだ。この街は基本的に人のモノになった。このヒナタも俺の配下にいる。屋敷が襲われていなくても近いうちに女性達を返すつもりだったんだ。基本的に彼女達にはこのヒナタがきちんとした教育をしていて、皆立派なレディーだ。ただ屋敷を襲われてしまった時に皆の服がは殆どを燃えていて、着替えがないんだ。特に若年層の小さな服がない。急ぎ十歳から15歳の女の子が着れるような服を用意してあげてほしい」

「ははー、畏まりました」

「段階的に女性達を返すが、孤児などであったりして親元で生活できない者もいるだろうから、返す女性達で暫らく住むような場所も確保したい。皆無害で善良な者だ。ただ、ヒナタが男は獣だと繰り返し教えていたから、長くヒナタといたものば、男性を恐れるかもだ」

　そうやって話し合いがスタートしたのであった。