エラーから始まる異世界生活

KeyBow

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第5章

異変

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 ナタリーより生き返らせて貰ってから丸1日が経ったと告げられた。皆と会話を楽しんでいたようで俺はほっこりと見ていたが、ナタリーは時間を気にしていたようだ。

 何度目だろうか、体調に異常はないかを確認するが、今のところは大丈夫であり、気遣ってくれてありがとうというような事を言われ、感謝をされていた。そうして一旦お開きにしたが、十分歩く事が出来るのと、そろそろ自分の足で歩きたいと言うのでナタリーと二人して、あの5人のいる部屋に行こうとした。

 そう、行こうとしたのだ。しかし、二人して行こうとしたにも関わらず、何処に行けばよいか分からなかった。どこに行けば良いのかをお互いが理解しているものだと思い込んでいて、曲がる所の指示が無い事に疑問を感じつつ屋敷の中を無駄にうろついてしまった。周りからは俺がナタリーの歩行訓練を行っているのだろうとしか見ていなかったようで恥をかかずにすんだ。やがて2人共目的の場所の位置を知らない事が分かり、2人して笑っていた。

 よくよく考えると別に歩いて行く必要がない。

「ナタリー、ここで俺のゲートというやつを見せてあげるよ。」

 ゲートで部屋の入り口の前に行ったが、ただ部屋の中が騒がしかったのだ。扉を開けて部屋に入る。

 そうすると3人は普通に寝ていたが2人の様子がおかしかった。そうレフトアイとライトアイが心臓マッサージをしていたのだ。それも2人に。
 俺の妻達には心臓マッサージや人工呼吸のやり方を教えていて、トリシアとリギアも代わる代わる心臓マッサージを行っている感じだ。

 俺とナタリーはえっ?っとなった。

 確か切羽詰まった者はいないと言っていた筈なのだが、そこにいる者に聞いた。

「何が有った?」

 そうするとメイド服を着た者が泣きながら

「はい。その、2人が時を同じくして突然苦しみ出して、口から血を吐いたかと思うと心臓が止まってしまったんです。ほんの5分程前の事です」

 俺は彼女達が既に死んでいるのかを確認する為に、発動まではしないが死者蘇生を唱えてみた。すると驚いた事に死者蘇生のレベルが上がったようで、今までには無かった複数人を同時に選択できるようになっていた。それはさて置き、既に2人共死んでいる事が分かった。

  ただ、周りと違い俺だけは楽観モードだった為に、ついつい小躍りしながら

「2人共一緒に生き返らせるぞ!死者蘇生のレベルがどうやら上がったから2人共行けるぞ!誰かヒナタを呼んで来てくれ」

 そう言うと誰かが慌てて、

「きゃしこまりましましました」

 と舌を噛みながら出て行った。

 そうと分かれば話は早い。何人同時に行けるのかは今は分からなかったが、少なく共2人は行ける筈だという事は分かった。

「よし、君達を必ず生き返らせてやるからな」

 もう死んでいるのが分かっているので、

「今からこの子達の体を作る。まずは体を作ってあげないと死者蘇生ができないからね。今から体を切り刻むが、見るに耐えられそうに無い者は出て行った方が良い」

 そう言うと皆首を振る。また、ナタリーは何故か落ち着いていて、俺の後ろに控えていた

「ランスロット様、どうかこの2人をお願いします。2人 がまだランスロット様に名を名乗っておりませんから、今は名を呼びません。私は彼女達が直接ランスロット様に名を告げる事を確信しております」

「勿論彼女達の口からちゃんと名前を聞くさ。だから誰も名前を言うなよ。直接聞きたいんだ」

 誰も口にするなよと俺が言うと、周りの者達が涙を流して頷いていた。それはともかくとして、ベッドの並びは年齢順だと言っていたので、年齢の高い子の方から体を切り刻み欠損修復し、即時修復した部分を切り、予備の体を作っていった。やはり、彼女達の体はナタリーと似たりよったりの生きる屍と化してかなり酷かった。

 普通であればやはり服を着せてあげる余裕があったのだろうが、誰も余裕がなかった。同じ人物の体が2体寝かされているシュールな状況だ。元の体は既に俺の収納の中だ。

 先程死者蘇生を試みる前段階で一度2人を触っているのだが、その時に幻影が見えていた。今作った体というのは、その時に幻影で見た彼女達をイメージしながら作ったので、幻影で見た通りの彼女達が出来上がった。やはり俺の欲望サイズで、ナタリーを含めると俺の好みの範囲での大中小といった感じになっていた。

 俺は新たな体の出来栄えに満足し、これなら彼女達も喜ぶとニコニコしながら、よし!と頷き

「彼女達の服を持って来てくれ」

 そう言い、準備された服を受け取ると、先に収納に入れて置く方用の彼女達の体に服を着せて行く。メイド達は泣いており、とてもじゃないが服を着せて行く事が困難だった。その為に俺が一人で着せていくのだが、相変わらず自らの意思で動く事のない体に服を着せるのは大変だった。

 そして服を着せた後、一体ずつ収納に入れて行った。そして今回は余裕がなかった為、蘇生させる体には服を着せていなかった。蘇生したら皆が面倒を見てくれるし、自分で着られるだろうとそのままにしていた。そして新たな体を2体共俺の前に座らせる形で置き、各々の左胸を鷲掴みにした。

「もう少しの辛抱だからな」

 既に元々の体は収納に入れてあるので準備完了で、ヒナタが来るのを待つ。そうしていると慌てたヒナタが丁度入って来た。レイナ達等も一緒にいたようで入って来た。2人が死んでいる状況に彼女達は狼狽えて泣き始めたので

「気が散るから黙るんだ。落ち着け。2人同時に死者蘇生が可能だから。彼女達が生きている幻影を見たから必ず成功するんだ。お前達も彼女達の元気な姿を見たのだろう?俺を信じろ!」

 一人はフランス人としか思えないようなそういう外観の女性だ。もう一人はどう見ても日本人だよな?というような外観だった。

「それじゃあいつもの如く気絶した俺を宜しく頼むよ」

 皆が頷いている。そして俺は死者蘇生と唱えた。名前が分からなかったからか、2人は死者Aと死者Bとなっており、蘇生対象として2人を選択し、2人がちゃんと選択されている事を確認し、死者蘇生を実行した。すると、やはり魔力が一気に持っていかれて行くのを感じ取る。まあいつもの事だよなと思いつつ、気持ち悪くなり、やがて限界が来たのが分かった。

「頑張って生き返るんだ!」

 そう2人に告げ、俺は口から血を吐き出しながら意識を手放したのであった。

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