エラーから始まる異世界生活

第５章

混乱を避けたい

　メイド服を着た女性達が俺の周りに群がってきて、俺をベタベタと触り始めた。

　これが大人の男なんだ！というような事を言いながらあちこち触る。中にはどさくさにまみれ、股間に触る者もいたが、流石にヒナタに窘められていた。

「いくらこの御方が紳士様でいらっしゃっても、男性の象徴を刺激するなど男性に対して挑発行為に該当する事を致しますと流石に理性が飛びますわ。そこはお止めなさい。はしたないですよ」

　そんな形で止めに入っていた。微妙な止め方ではあったが、その後応接室に案内された。まずはおくつろぎくださいというのだ。皆を連れて参りますとも言っていた。何人かのメイドが残ったが、大多数の者達はどこかに消えていった。

　ヒナタも俺に挨拶をした


「我が主よ。この屋敷に住まう者達に主様の事を伝えねばなりませぬ。無用の混乱を避ける為にです。先程のメイド服を着た者達が御主人様方をお世話を致します故、今暫くの間こちらでお待ち下さいますよう宜しくお願い致します」

「あー、分かった。先程の状態からすると確かに俺の姿を見ると混乱をするようだな。俺も無用な混乱は好まないからきちんと説明し、不安がらないようにしてやってくれ」

「分かりましてございます。やはり御主人様はお優しいのですわね。それでは失礼致します」

　そうやってヒナタは出て行った。

　ヒナタが残りの者全員をホールに集めている間、俺達は案内された部屋で待機するしかなかった。

　俺も不本位ながら混乱を避ける為にはじっと我慢して応接室でおとなしくしているしかなかった。

　皆を集める場所は、屋敷には舞踏会が開けられるようなホールがあるといい、人数が多いのでホールになった。ヒナタがこの街に来てから約20年、その間に毎月一人ずつ女性を差し出させていた為、最年長の者は先程見たメイド達を率いるメイド長で、30歳だと言っていた。公転や自転周期が分からないが、翻訳機能から決めつけて単純計算する。1年が360日前後として、年間12人と仮定すると、ここには約240名の女性達が暮らしている事になる。先程いたのは30人位がいたので、210人前後いる事になる。

　30分程すると先程のメイドの一人が俺達を呼びに来た。

「準備が整いましてございます。ヒナタ様が丁度妹達にランスロット様の事を伝え始めて、説明の最中でございます。やはり皆多少は混乱はしておりますが、私達の時のようなパニックにはならないと思います。お手数ですが私を伴い妹達の前に行って頂けませんでしょうか？先程対面した妹達の何人かが一緒に行かなければ、場が混乱するとヒナタ様がおっしゃっております」

「俺は分かった」

　一言発すると、一人の女の子が俺の背中に乗って来た。そう先月連れてこられた1番下の10歳の女の子だ。

　その後ひょいひょいと俺の背中を駆け上がり、皆が唖然としている中俺の肩に乗っかってきて、肩車の状態になった。まあいいかと俺も思う。

「危ないからしっかり掴まっているんだぞ」

「はいランスロット様」

　そういうわけで両手をメイドさんに組まれ、一人の女の子を肩車しホールに入るのであった。