エラーから始まる異世界生活

第５章

言葉が

　俺達は色々聞き込みをしようとしていた。まずここの行政府や街を守っている者、もしくは街を統治している者達、そういう支配階級の者はどこにいるのか？要望等をどこに出しに行けばいいのかを聞いて回っていた。

　極普通の男性に

「あのすいません。私達この町に来たばかりでよくわからないのですが、外から来た者達が住民登録などをする所だとか、そういう手続きをする所はないのでしょうか？」

　その男性は大いに驚いていた。

「君は何を言っているんだい。嘘だろ。他の街から来れるわけがないだろう？頭大丈夫か？」

　そんな感じで相手にしてくれなかった。

「俺の頭が大丈夫って何なんだろうね」


「あの人はというか、話が分かったのですか？」

　ライトアイが驚き、

「あのねランス。ランスは会話ができるのよね？私には何を言っているのかさっぱり分からなかったわ」

「えっ？」

　俺は情けなく間抜けな驚きの声を上げた。という事は俺は普通に会話ができているけども、レフトアイ達には分からなかったようだ。

「それが不思議なのです。ランスは普通に会話をしていますが、私達にはさっぱりで、何を言っているのか判らなかったのですよ」


　今少し考え込み

「うーん。多分俺の持っている能力というのは、バルバロッサで召喚された時に授かった翻訳能力なんだろうな。という事は暫くは君達だけでは街中には繰り出せないという事になるな。さてはて困ったもんだな。」

　その後何人かに同じような質問をするが皆何をバカな事を言ってるの？と相手にされなかった。仕方がないので、自らの足でそれっぽい建物を探さなければならなくなってしまった。

　街を探索しているとレフトアイが聞いてきた

「あのランス、気付いていますか？人の往来は多いのですが、先程から一人も子供を見掛けません。」

「言われてみれば確かにそうだな。子供を全く見ないな。話し掛ければ丁寧に応えてはくれるが、どうやら面倒くさそうに答えている節があるな」

　異様さの正体はこれだったのだ。何かこの街はおかしい、そうおかしいと思っていたのだが、高い壁があるわけでもない。申し訳程度の柵がある位だ。犬とか狼がいるのかわからないが、もしそれらの獣がいたとして、街の中に入って来ないようにする為の物で、ここから先は街の中だという事を知らせ、人の住まう場所を外と遮る為の申し訳程度の柵しかないのだ。

　この辺りには魔物がいないのかな？そんな事を思っていたりしたのである。街の中を探すと色々な店があるのが分かるが、残念ながらここで使えるお金を当然ながら持ち合わせていない。

　その為買い物ができないのだ。さてお金をどうやって工面するか？そんな事を考えていた。冒険者ギルドみたいなものが有れば良いのだがとは思うが、それらしい建物が見当たらないのだ。そうして違和感に苛まされながら街中をブラブラしていたのだが、街の入り口の方からけたたましく鐘の音が鳴り始めた。するとそれまで街中にいた人々が一斉にどこかに逃げるかのように消えてい行き、1分もすればまるでここはゴーストタウンだというような位になり、開いていた店は全て閉められ、店先に出されていた果物などの陳列されていた商品等が建物中にいそいそとしまわれ、固くドアを閉じている感じであった。

　俺も警戒しているが既にブラックスワン達全員も警戒をしていた。そして街の入り口の方からギャオーと大きな咆哮が聞こえ始めたのであった。