エラーから始まる異世界生活

第３章

探索

　購入した地図の中に世界地図があり、アルヒオーネやヘイラニアの姿がかなり正確に描かれているのと、地図は活版印刷だろうか、ワーグナー等で見る木版印刷と比べ遥かに進んだ印刷物だった。勿論現代社会のそれではないが、全体的な文明レベルが13から15世紀位に感じる。

　しかしアルヒオーネやヘイラニアは10世紀に満たなく、文明レベルの差に改めて志郎は違和感を感じていた。

　今はクロエと街を探索と言う名のデートをしていた。
　元々のこの世界で生を受けた妻達の中で一番頭が切れるからだ。

「うふふ。ランスと二人でお出掛けなんて久し振りね」

　妖艶な笑みを浮かべるクロエは妻の中で一番のお色気担当だ。相変わらずの色気にくらくらする。

「うん。久し振りだね。たまにしか二人きりになれなくて辛くないか？」

　首を振り腕を組んでデートだ。
　いや違う、この国の調査だ。建物の作りも進んでいる感じで時代が明らかに違う。
　あちこち見て回ったがクロエが

「変ね。冒険者が居なくてよ。それとカンパニーって何かしら？ギルドらしき物も無いわね」

　俺は本気でクロエとのデートを愉しんでいたが、確かに周りの人々の服装も違う。クロエはちゃんと周りを見てくれていたのだ。

　俺は相変わらずの事だが字が読めない。どうやら看板にＸＸカンパニーとあるらしく、向こうと違い会社があり、運用されているようだった。

　俺はタブレットで街の写真を撮っていた。死んだ高校生の中の数人が太陽光で発電する充電器を持っていたのだ。それらを大事に使わせて貰っている。

　音楽もパスワードを掛けていなかったスマホにあるのを音楽家に聞かせて楽譜を起こしていたりする。

　クラシックが好きな者のスマホからはPDFファイルにしてあるいくつかの楽譜があり、写しを取り音楽の世界に革命が起こっていた。

　調査の一環で今日はこの街の宿に泊まる事にした。
　怪しまれないように中級宿だ。

　宿は大して向うと変わらないが、風呂が違う。お湯は蛇口を捻れば出る。
　どうやらボイラーかタンクがあり、街の様子からお湯は木や油、固形燃料などを燃やしてお湯を得ている感じだ。

　単純に数世紀前の地球の文明文明レベルであるように感じた。ワーグナーなどのように魔法を使っていて、魔石などを使う魔道具などの独自の文化が見られなかったからそういう判断になる。皆が引き上げた後に地図を見ていたクロエが驚きをもって呟いた。

　ワーグナーの方面にある記載に

【古来の実験地に付き無許可での渡航禁止】

　とあると言われ、衝撃を受けるのであった。

　久し振りにクロエと二人の時間を愉しんでいて、遅くまで街について話し込んでいたのであった。