エラーから始まる異世界生活

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第5章

終息とアリア

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 兵の見回りの結果小規模な魔物が居るが、20体以上いるのは見掛けなかったと報告を受けた。

 その為俺はほぼ終息したとみなしていた。

 クロエによると常時依頼で討伐を出すという。
 死者の問題は国王側でどうにかするべき案件だが2日後追悼式を行う事となった。
 また今回のスタンピートの対処は依頼扱いとなり、最終的に
 俺がSSS、オリヴィアがSS、アリゾナがS、ホーネット、シカゴ、オリンズがA
 セチアとユリア、アリアがBに認定されるという。
 この大陸でSSSは現在2人しかいなくて俺が3人目と言う。
 魔石の換金がダンジョンの分が4500万、スタンピートの分が1億8千万
 しかも今日の分は入っていない。
 その為、今日の分は王都の復興資金または死亡者に対する見舞金に充てるようお願いした。

 それと追悼式の後に俺への王権譲渡を行い、その後カービング帝国に兵2万を率いてロトナを伴い出立する事になりそうだった。
 既に今回のスタンピートと王権移譲の手紙をドロシーに持たせて先行する事となった。
 まずは兵5千を先行で付ける事となり明日出立だ。また使者としてロトナが俺と同行する為に名代として先遣隊にアリアが加わっての派遣となった。


 その為俺への戴冠式にはロトナが三宝姫では唯一参加する事となった。

 いよいよ大陸制覇に乗り出さざるを得なくなったのだが、取り敢えずは皇帝を名乗る事になりそうだった。それとこの展開は絶対”愛の覇者”が関係していると思いつつも怖くて、見たくなくて逃げていてギフトを確認していなかったが、もう逃げるわけには行かなくなった。

 ギフトの詳細は

 異性で有り純粋な好意の持ち主(甲)が、ギフト主(乙)に触れると乙に対する甲の純粋な好意が100倍になり、乙もも好意を持っていれば甲に対する好感度が100倍になる。添い遂げる事が可能な相手にしか発動しない。
 また好感を持っている権力者に純粋な好意を持たれて己より実力が上と判断すれば自ら求めて従属する

 うーん凄すぎる能力だ。オリヴィアに聞くと本来付与できないギフトの一種と言う。
 オリヴィアの能力がまだ封印中の為ある程度の事しかわからないが、チートどころではないのだ。
 この大陸だとバルバロッサ以外は従属するのじゃないかと思えてきた。
 今までに触れた女性に対する愛情が膨れ上がったのはこれの影響なのだろうが、邪な好感では発動しないのが幸いだと思った。

 それと2日後の王権譲渡の時に、アリアとロトナの俺への婚姻(ハーレム入り)が正式発表となると。
 俺の屋敷は皇帝の屋敷としては不適切と言うので別の所に新築で建てるそうだ。王城の直ぐ近くになるので、今の屋敷は仮の屋敷の扱いとなる。

 おそらく各国に皇帝の居を構え、バルバロッサを直轄領として治める事になりそうだ。
 それと気が早いが大陸一つを1国家とする事になるので、首都を決めないといけなくなるにだろうな。
 現在の各国は国王を大公に任命して州のような扱いとなりそうだった。この辺りはおいおい決めなくてはいけないっぽいので、アリアに要相談だった。

 今後の事を考えると国の運営なんかはとてもじゃないが無理だ。
 おそらくカービングにドローシーを、ワーグナーにロトナを残してアリアは同行してアドバイスを貰う事になるように調整するつもりだ。

 どうしてこうなったと俺は叫ばずにはいられなかった。

 夕刻にアリアは俺の所に現れていきなり刻印をとお願いされた。明日から別れての行動の為に今晩刻印をと希望されたのだ。しかも国王と王妃まで来てお願いされてしまったけど、アリアは不安なのだろう。
 俺の身近な者としてセチアを同行させるようにした。いつもセチアは俺といるばかりだから良い機会だし少しは自立して欲しい所ではある。

 それとは別にアリアと食事をする事にした。

 クロエの御用達の食堂に敢えてした。まだ今ならそんなに顔が知られていないからアリアに冒険者が着る服を着せて市井に紛れさせている。

 孤児院に行っている時は孤児院にて出される昼食を食べていたが、何故かここの定食より上等のが出ていると言う。
 アリアに酷な事実を伝える事にした。
「残念だけどね城の誰かが手を回していて、アリアが行く日だけ普段と違うのを出している筈だよ。孤児院でここのより良いのが出る訳がないんだ。それにここのは庶民的だけど決して安いわけじゃないんだよ。まあ高くもないけどね」

「それじゃあ私が今まで食べたり見たりしていたのは全て嘘偽りなのでしょうか?」

「ううんそれは違うよ。料理はそうだけどアリアが着ていた服は粗末な修道院や孤児院のそれだよ。まあ職員の中に護衛が紛れているとは思うけど、
 それ以外は真実だよ。少なくとも子供の行動は大きく干渉できないからね。
 料理はどこかの貴族の雇われの調理人が作っていたのだろうけどね」

「結局私の行って来た事は意味が無かったのでしょうか?聖女とか言われもてはやされていましたが」

「それも違うよ。市民の評価は厳しいんだよ。王族が粗末な服を着て孤児院に侍女も連れずに来ていると、上辺だけじゃないと評価されてるから人気があるんるんだよ。それに俺は貴女の勇気ある行動に感服したんだよ。俺が見たのはそんな子供を庇った一人の女性であって王女を見たんじゃないんだ。それに第三王女を好きになったんじゃない。子供を庇った勇気ある心の綺麗なレディーに惚れたんだ。アリアを、ただのアリアを愛してる」

 アリアは泣いていた。
 確かにダンジョンで命を預けた仲だが今までアリアには第三王女の肩書が常に付いてきていた。言い寄る者が全て第三王女と言うまでもなく肩書があるからだった。

「偶々ランスロット様に出会えて嬉しかったんです。第三王女と知らずに一人の女として接してくれた殿方は初めてだったんです。私も勇者ランスロットではなくただのランスロット様をお慕い申し上げております!」

「暫く会えなくなり寂しくなるよ。お互い立場を知らず一人の男と女の、身分の無い出逢い方で良かった。お互い王女様だの勇者様だの位で呼び合わなくて済むからね。それともう様はよしてねランスかランスロットと。それか志郎で」

「ふふふ。そうですよね。時に志郎というのは?」

「転移前の元の世界の本名だよ」

 急にアリアの表情が一変し真剣な顔になった

「ファミリーネームをこちらの世界に来てから名乗りましたか?」

「一緒に召喚された婚約中の聖女に求婚をした時に一度だけ」

「では本名は封印してください。その方にも可能なら口外しない様に申し付けて下さい」


「何かあるのかい?向こうからの召喚者はユリアもそうだよ。しかもユリアは本名だよ。もちろんファミリーネームも知っている」

「出来ればすぐにでも偽名に改名してください。他に転移者に知り合いがいたら本名をお互い名乗らないとしてください。霊食いに魂を吸い取られ最悪は死に至ります。転移者に有効で本名が必要ですし、悪意ある者に知られたらアウトです」

「分かった。かなり重要な情報だな。何とか念話が可能なので対処するよ。確か俺だけはバルバロッサに本名を知られていないんだ。ステータスカードには本名じゃなくランスロツトと有ったからその名前しか知らないはずだけどそれだと他の者は全て知られているな」

「良かったです。多分バルバロッサはあ奴らを使役してきます。本名を知られているメンバーはバルバロッサとの戦からは外してください。あのハーレム王の寿命はかの者に半分以上吸われて、130歳しか生きられなかったと聞きます」

[了解だ。アリアは頼りになるな。やはりアリアも真名は別にあるのか?]

「はい、ありますわ。幼名がそうですわ」

 俺達の食事は終わったので話もそこそこに食堂を出て、先日のメイドさん達に色々教えて貰った中の1つに小高い見晴らしの良い公園が有るのでゲートで移動した。城からそこそこ離れていて眼下に湖が見える。街明かりが幻想的な所で周りには誰もいなかった。

 暫く二人で景色を眺め、どちらからともなく唇を重ねるのだった。

 王妃に渡された婚姻の贈り物を渡す事になった。今回のスタンピードのお礼として三人に渡すネックレスを買って置いてくれたのだ。恐らく買いに行く時間が取れないと見ていたのだろう。

 俺は片膝を付き

「勇者たるランスロットが貴女に求める。汝、聖なる乙女にして王家に名を連なる淑女アリアに我が妻となりて生涯の伴侶となりて添い遂げん事を!。ここに私ランスロットは清らかなる乙女アリアに結婚を申し込みます」

 どこから出るのか俺はいつも不思議なのだがこういった言葉がスラスラ出てくる。
 プレゼントを差し出し頭を垂れる。そうするとアリアはプレゼントを受け取り中を出し、俺の手を取りネックレスを握らせた。そして背を向けて髪をかきあげてその首を俺に向けたのだ。俺はそっとそのなんとも色っぽい首にネックレスを付けた。アリアはそしてただただ頷き涙を流した。

 その後少しいちゃいちゃしてから城に向かい、アリアを一旦送り届けてから屋敷に戻り風呂に入った。刻印の儀をどこで行いたいか聞くとアリアの部屋を希望したので、屋敷のメンバーに今日は城に泊まる旨を伝えて、城の風呂場の出口にてアリアの出るのを待っていた。

 暫くすると出てきたのでお姫様抱っこで部屋まで連れて行ったが途中王妃様に出くわしたが泣いて感謝をされてしまった。

 部屋で改めて刻印の儀式を開始する事を伝えて、了承をされたのであった。
 アリアは美しかった。外観もそうだが何より内面が美しい。体も芸術品と言う感じでそのまま部屋に飾りたい位の美しさだった。

 お互いに愛していると、この危機を愛の力で打ち勝とうと結構恥ずかし事を言いながらやがて一つになっていき、二人の濃密な時間が過ぎていき、やがて眠りに落ちていったのだった。





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