62 / 527
第4章
ダンジョン七日目
しおりを挟む
day23
目覚めると、やはりセリカが俺の頭を抱えて撫でていた。
心臓の鼓動が力強い
起きようとするが、がっちりホールドされていて起きられない。
セリカが寝ている振りをしているのは分かっているが、やたらと抱えて、撫でてきている。おまけにチューをしてくるのだ。
流石にそろそろ起きたいので、セリカを起こす。
「おはようセリカ。そろそろ起きたいんだけどいいかな?」
そう聞くと恥ずかしそうに
「あらやだ、志朗さんを抱き締めていたんですね。おはようございます!」
絶対中毒の所為にして、大胆行動を誤魔化す気だな。まあいいか?
彼女には優しい俺である。
起きたら下着だけだったので、ゆびを指すと
「キャーなんで私ったら服を着てないの?」
そう言うが、先程自分から脱いでいたのを俺は知っている。
「さあ、寝ぼけてて脱いだんじゃないのかな?自宅にいる夢でも見たのかい?」
俺は助け船を出した。
「そ、そうだよね。寝ぼけてたんだよね。私ったらはしたないね。ねえ志朗さん、こんな私を嫌いにならないでね」
そう言い背中を向けて服を着だす。
「セリカの事を嫌いになるなんてあり得ないよ。でも、朝から良い目の保養になったよ」
「ばかばかばかばか!志朗さんのむっつりすけべ」
顔を赤くして俺の胸をぽかぽか叩く。
可愛いな。愛おしく思える。むっつりスケベって、今の若い子も言うんだなと思いつつ頭を撫でて、
「じゃあ目の保養になったし、朝食の準備と行きますか。セリカ、手伝ってくれないか?」
と言うとパッと明るくなり、俺の服を掴んで外についてきた。何処かで似たような事が有ったな。
皆で楽しく食事を頂き、ダンジョンに繰り出す準備を始める。
ようやく訪れた、なんの変哲のない日常のひとこまだが、俺には眩しかった。皆が生き生きとしている姿が嬉しかった。
26階からのスタートだ。セリカが自分も戦うといい、槍を欲しがった。そこで俺の槍を与えた。何でも薙刀部に所属していると言う。それで背筋が良く凛としてるのかな。
薙刀と槍とは違うけど、剣よりは使えそうと言うので様子を見る。
まず出てきたのは蠍の大型な奴で、、中型バイク位の大きさだ。
「きもいよー」
と言うがセリカは薙ぎ払いであっさり葬り、次に五匹同時に来るが
「いやー気持ち悪いの無理だよー」
と言いつつ五連撃の突きにてあっさり倒す。
俺はセリカの護衛で隣にいるが出番はない。
次に蛙の頭を持ったオークチックな奴。
スパーンと首を刎ねる。凛として格好いい。
薙ぎ払う時の顔が物凄く様になっていて、正に女神で有る。
思わず見とれてしまった。
難なくフロアボスとご対面。
カマキリだった。と言ってもポニー位の大きさなのでキモイ。
セリカが果敢に攻めるが、腕に切り傷を負い、槍をあっさりはじき飛ばされた。
鎌が振られ、セリカが立ち竦んでいる所に、カマキリの鎌がセリカの細い首に向かっている。俺は転移してその鎌の付け根を切り落とした。しかし腕その物はセリカに当たり、セリカは吹き飛ばされた。
俺は怒りに我を忘れてひたすら切り結んだ。40合位だろうか、動きを見切って両腕を根元から切断し、遂に頭部を切断した。
ドロップは薙刀だ。
早速カマキリの魔石で強化を行う。
+12になった。付与した能力は80%の確率で気絶させる。それと自動修復。120%の強度と攻撃力アップ。ミスリル製だ。
又もや凄い事になった。早速強化した薙刀をセリカに渡す。
強化をする所を全員がじっと見ていて、恥ずかしかった。
「俺なんか見てても面白くないだろう?」
と言うと全員がジト目だ。
「いえ、ランスロット様の真剣なお姿を見ていたいんです」
と言うような事を口走る。どうやら薮蛇だったようだ。
セリカは薙刀を受け取ってから何度か振ったり構えたりして、感覚を確認していたようだ。暫くすると頷いていた。それを見ていた何人かが
「流石勇者様のお一人だ」
と呟くのが聞こえた。周りからすると見た事も無い不思議な武器を、初見で華麗に操っているのだから驚くよな。
そしてダンジョンをさくさく進む。
27階はブラックスワン、28階はムーンストーン、29階はセリカを含めたブラックオニキスで、各々のチーム主体で連携を含めた戦闘を行っていった。
そしていよいよ30階だ。
15時頃なので、おやつタイムにして、甘味店で買い溜めしたスイーツを振る舞い景気づけを行った。
30分程休んだ後、ボス部屋に挑んでいった。
部屋は直径80m位だろうか。円形の部屋で高さは10m位有る。
出てきたのはハイオーク。オークの上位種だ。
ざっくり評価するとオークジェネラル以上キング以下だ。
先ずはレフトアイとフレデリカ、シェリーの3人が斬りかかった。
シェリーは蹴られて飛んでいき、フレデリカは3合打ち合うと、頭を剣で打たれ転倒して気絶する。レフトアイは腹を刺され後退してきた。倒れ込んでおり、セリカが慌てて治療する。
フレデリカに追撃しようとするのでアイスウォールを展開して、更に転移にてレフトアイとフレデリカを安全な所まで連れてくる。
ナンシーが弓を、他のメンバーは各々魔法を放った。トリシアとクレアが斬りかかり、トリシアが足を切られ皮一枚で繋がった状態で吹き飛ばされて、のたうち回っている。クレアは右肘から先を切断されてしまった。あっという間に俺以外の前衛衆が全滅だ。
クレアは絶叫していて、ニーベリングが抱えて下がらせた。
俺が怒りに震えていると、奴はクレアの腕を食べ始めて、少しかじると魔法で灰にしてきた。これで腕をくっつける事が出来ない。
俺はアンタレスに魔力を大きく込めて奴に斬り掛かり、腹にアイスアローをぶち込んで後方に飛ばす。飛んでいった先に転移して首を刎ねに行くも、腕でガードされ左手を切断するに留まった。俺は右手を殴られ、剣を落とした。楯を放り出して、奴に肉弾戦を挑んだ。
隙を突き内股を決めて、豪快に床に叩き付けた。
「グオーーー」
と雄叫びを上げて立ち上がり悶絶しながら頭を振っている。
俺は剣を拾って握りしめ、奴の胸に剣を突き立てた。追撃を放ちアースランスで胸を串刺しにする。まだ生きているので後ろに転移して首を刎ねて、ボスを倒し勝利した。ゲートのスキルを取得した。
これはスキル取得後一度でも行った事が有る場所で有れば、ゲートを開き、瞬間的に移動できると言う待ちに待ったスキルだ。ゲートを開いている間は誰でも往き来出来る。敵でもだ。
有るとは聞いていたが遂に来た。ただし、あくまで取得後なので一気に今すぐ家には帰れない。
ドロップはアダマンタイトメイルと聖女の衣。そして奴隷引換券。俺は絶句した。
二つ共に異世界者専用装備と有る。
俺はクレアの所に行く。既にセリカが止血してくれているが右手を失ってしまった。クレアは申し訳なさそうにしている。他のメンバーは意識を取り戻し順次セリカが治療してくれていた。
一旦ボス部屋を出る事にした。ボスを倒すと別の扉が開いていたからだ。
そこには部屋の中央に大きな魔石が有った。恐らくダンジョンコアだ。
俺はクレアを抱き寄せた。
「腕を再生させよう。痛かったろう。俺がお前をちゃんとした体に戻してやる!」
といい俺は座り、クレアを俺の前に座らせた。左手を彼女の服に手を入れて左胸を摑む。ちょっとだけ揉んじゃったけど何も言ってこないし、ちょっとだけだから良いよね?。心臓の辺りに手を置く必要が有ると直感的に分かった為だ。彼女の右腕にに掌を当て欠損修復を始めた。
腕の方では無く、左手から心臓に向かって魔力が流れていく。そうすると徐々に腕は傷口から再生されていく。
魔力切れは起こさなかったが、かなり吸い取られた。
お陰で腕が再生して、クレアが泣いて抱き付いてきた。
お礼を言われて背中をさすってから俺は腕をひたすら触り異常が無いか確認していった。彼女の腕はしなやかで柔らかく心地良い。
次の心配事がコアだ
『さてこのコアをどうしようか』と自問した。
まず触れてみる。
特に何も起こらない。魔力を流すも反応が無い。仕方が無いので、収納に入れると入った。そうすると辺りがまばゆく光り、ふと気づくと全員が外に居た。ナンシーによると、ダンジョンのコアは破壊するか取り除くとダンジョンが維持できず、魔物以外の生き物は全て入り口の有った所に転移されて何事もなかったかのようにダンジョンが消えるという。
今回がそれだ。周辺の気配を探るが特に何も無い。
俺はセリカに告げた。指輪に魔力を込めて変身するようにと。
早速セリカの姿が変わった。名前を偽装して呼び名も変える事にした。仮称で使った名の「セレナ」にすると伝え、了承された。何故か泣いていたのだが、その意味は後日知る事になる。
ナンシーが用意してくれたギルドカードも、ステータスカードの名前も偽装した。
これで王城にセリカの事は簡単にはばれないだろう。と、この時は思っていたのだ。
ダンジョンを攻略出来たので、周辺の魔物もダンジョンからは新たに湧き出ないだろう。
そうして、志郎達は一路街に向かった。
街に着いたのは19時頃だろうか。
いつもの宿の食堂で夕食を食べた。
そして俺とセリカは支払いをしてから帰ってくれと言われ、他のメンバーは先に帰っていった。気を遣ってくれたようだ。
セリカは俺に甘えてきている。どうやら何の奇跡か、絶世の美少女が俺に好意を持ってくれている。ダンジョンで感じた事は間違いなかった。俺はほんまものの女子高生の心をゲットしてしまった。
腕を組み恋人のように歩く。
近いので程なく屋敷に着き、屋敷の敷地に入り、建物の入り口前まで来ていた。
「セレナ、家に帰ってきたよ」
「志郎さんってここで下宿してるんですか?そう言えば私って今日の宿はどうすれば良いのでしょうか?」
そう聞かれ、そう言えば屋敷の事は話してなかったと気が付き、
「ここは俺が買った屋敷だよ。まだ全部の部屋に家具は揃っていないけど、客間も十分有るし、良かったらここに住まないか?ナンシーはもうじき引っ越してくるけど、他のメンバーは既に屋敷の住人だよ」
と言うと絶句してジト目をされれた。
可愛すぎてドキドキしてしまったのだ。
「うん、その、行く当てもないし、お世話になろうかな。私の事守って下さいね!」
と言うと俺の方を上目遣いで見たと思ったら、目を瞑ってきた。キスをして欲しいサインだろう。
俺は彼女の細い肩を優しく摑み、そっとキスをした。
一度口を離してお互い見つめ合う。
「セレナいやセリカ、君の事が好きだ」
「私も志郎さんの事を愛してるの。大好きです。好きになってしまったんです。私の事を大事にしてくれますか?他の子と結婚するのは知っているし、私もそのうち、その中の一人になるのかもだけど、私とお付き合いをして下さい。愛しの志郎さん」
と言うとキスをしてきた。今度は長く。
今までにしてきたどのキスよりも、心が昂ぶりつい胸にタッチしたが、彼女はその手に自らの手を重ねてきた。お触りOKでした。キスの後
「志郎さんのエッチ」
そう言うと、くるっと一回転してお辞儀をして
「じゃあ、我が家に案内して下さいね」
といい一緒に玄関をくぐった。
刻印の気配から分かっては居たが、全員がミニスカメイドで並んでおり
「お帰りなさいませご主人様セレナ様」
と横から悪感のしそうな、圧巻のお出迎えをしてくれた。
セリカは屋敷に入ってから、興奮してはしゃいでいた。
城から開放されて、安全な居場所をようやく手に入れたんだから、仕方の無い事だ。
セリカを客間に案内した。予め買って置いた服もクローゼットに入れておいて貰った。
お風呂に入り今日は皆さん寝る事となった。
俺が横になっているとセリカが寝室に来た。
一人だと怖くて寝れないというので、一緒に寝て欲しいと真っ赤になってお願いしてきた。
俺は黙って抱き締めてフトンに入れた。
俺はゲスだが彼女には紳士でいるつもりだ。
致す事を本当はしたいが、我慢で有る。今はまだ彼女の心は準備できていない。
「添い寝だけだよ。エッチな事はしないから安心してね」
セリカは耳まで真っ赤にして
「志郎さんにならその、あの、良いの。でも志郎さんを信用しています。今日は添い寝をお願いします」
と言うので一緒に寝る事にした。彼女の頭を俺の胸に抱き寄せたら
「志郎さんの心臓の音を感じるの。落ち着くね。あいつらから救ってくれてありがとう」
そう言うと程なくして彼女は寝ていった。この子を一生掛けて守ろう。どうやら俺の心も既に奪われたようだ。助け出せて良かった。彼女の純潔を守れて良かった。そしてちょっとゲスり、彼女の純潔は俺が頂くのさ!と心に決め、俺も寝顔を見つめている間に眠りに落ちていくのだった。
目覚めると、やはりセリカが俺の頭を抱えて撫でていた。
心臓の鼓動が力強い
起きようとするが、がっちりホールドされていて起きられない。
セリカが寝ている振りをしているのは分かっているが、やたらと抱えて、撫でてきている。おまけにチューをしてくるのだ。
流石にそろそろ起きたいので、セリカを起こす。
「おはようセリカ。そろそろ起きたいんだけどいいかな?」
そう聞くと恥ずかしそうに
「あらやだ、志朗さんを抱き締めていたんですね。おはようございます!」
絶対中毒の所為にして、大胆行動を誤魔化す気だな。まあいいか?
彼女には優しい俺である。
起きたら下着だけだったので、ゆびを指すと
「キャーなんで私ったら服を着てないの?」
そう言うが、先程自分から脱いでいたのを俺は知っている。
「さあ、寝ぼけてて脱いだんじゃないのかな?自宅にいる夢でも見たのかい?」
俺は助け船を出した。
「そ、そうだよね。寝ぼけてたんだよね。私ったらはしたないね。ねえ志朗さん、こんな私を嫌いにならないでね」
そう言い背中を向けて服を着だす。
「セリカの事を嫌いになるなんてあり得ないよ。でも、朝から良い目の保養になったよ」
「ばかばかばかばか!志朗さんのむっつりすけべ」
顔を赤くして俺の胸をぽかぽか叩く。
可愛いな。愛おしく思える。むっつりスケベって、今の若い子も言うんだなと思いつつ頭を撫でて、
「じゃあ目の保養になったし、朝食の準備と行きますか。セリカ、手伝ってくれないか?」
と言うとパッと明るくなり、俺の服を掴んで外についてきた。何処かで似たような事が有ったな。
皆で楽しく食事を頂き、ダンジョンに繰り出す準備を始める。
ようやく訪れた、なんの変哲のない日常のひとこまだが、俺には眩しかった。皆が生き生きとしている姿が嬉しかった。
26階からのスタートだ。セリカが自分も戦うといい、槍を欲しがった。そこで俺の槍を与えた。何でも薙刀部に所属していると言う。それで背筋が良く凛としてるのかな。
薙刀と槍とは違うけど、剣よりは使えそうと言うので様子を見る。
まず出てきたのは蠍の大型な奴で、、中型バイク位の大きさだ。
「きもいよー」
と言うがセリカは薙ぎ払いであっさり葬り、次に五匹同時に来るが
「いやー気持ち悪いの無理だよー」
と言いつつ五連撃の突きにてあっさり倒す。
俺はセリカの護衛で隣にいるが出番はない。
次に蛙の頭を持ったオークチックな奴。
スパーンと首を刎ねる。凛として格好いい。
薙ぎ払う時の顔が物凄く様になっていて、正に女神で有る。
思わず見とれてしまった。
難なくフロアボスとご対面。
カマキリだった。と言ってもポニー位の大きさなのでキモイ。
セリカが果敢に攻めるが、腕に切り傷を負い、槍をあっさりはじき飛ばされた。
鎌が振られ、セリカが立ち竦んでいる所に、カマキリの鎌がセリカの細い首に向かっている。俺は転移してその鎌の付け根を切り落とした。しかし腕その物はセリカに当たり、セリカは吹き飛ばされた。
俺は怒りに我を忘れてひたすら切り結んだ。40合位だろうか、動きを見切って両腕を根元から切断し、遂に頭部を切断した。
ドロップは薙刀だ。
早速カマキリの魔石で強化を行う。
+12になった。付与した能力は80%の確率で気絶させる。それと自動修復。120%の強度と攻撃力アップ。ミスリル製だ。
又もや凄い事になった。早速強化した薙刀をセリカに渡す。
強化をする所を全員がじっと見ていて、恥ずかしかった。
「俺なんか見てても面白くないだろう?」
と言うと全員がジト目だ。
「いえ、ランスロット様の真剣なお姿を見ていたいんです」
と言うような事を口走る。どうやら薮蛇だったようだ。
セリカは薙刀を受け取ってから何度か振ったり構えたりして、感覚を確認していたようだ。暫くすると頷いていた。それを見ていた何人かが
「流石勇者様のお一人だ」
と呟くのが聞こえた。周りからすると見た事も無い不思議な武器を、初見で華麗に操っているのだから驚くよな。
そしてダンジョンをさくさく進む。
27階はブラックスワン、28階はムーンストーン、29階はセリカを含めたブラックオニキスで、各々のチーム主体で連携を含めた戦闘を行っていった。
そしていよいよ30階だ。
15時頃なので、おやつタイムにして、甘味店で買い溜めしたスイーツを振る舞い景気づけを行った。
30分程休んだ後、ボス部屋に挑んでいった。
部屋は直径80m位だろうか。円形の部屋で高さは10m位有る。
出てきたのはハイオーク。オークの上位種だ。
ざっくり評価するとオークジェネラル以上キング以下だ。
先ずはレフトアイとフレデリカ、シェリーの3人が斬りかかった。
シェリーは蹴られて飛んでいき、フレデリカは3合打ち合うと、頭を剣で打たれ転倒して気絶する。レフトアイは腹を刺され後退してきた。倒れ込んでおり、セリカが慌てて治療する。
フレデリカに追撃しようとするのでアイスウォールを展開して、更に転移にてレフトアイとフレデリカを安全な所まで連れてくる。
ナンシーが弓を、他のメンバーは各々魔法を放った。トリシアとクレアが斬りかかり、トリシアが足を切られ皮一枚で繋がった状態で吹き飛ばされて、のたうち回っている。クレアは右肘から先を切断されてしまった。あっという間に俺以外の前衛衆が全滅だ。
クレアは絶叫していて、ニーベリングが抱えて下がらせた。
俺が怒りに震えていると、奴はクレアの腕を食べ始めて、少しかじると魔法で灰にしてきた。これで腕をくっつける事が出来ない。
俺はアンタレスに魔力を大きく込めて奴に斬り掛かり、腹にアイスアローをぶち込んで後方に飛ばす。飛んでいった先に転移して首を刎ねに行くも、腕でガードされ左手を切断するに留まった。俺は右手を殴られ、剣を落とした。楯を放り出して、奴に肉弾戦を挑んだ。
隙を突き内股を決めて、豪快に床に叩き付けた。
「グオーーー」
と雄叫びを上げて立ち上がり悶絶しながら頭を振っている。
俺は剣を拾って握りしめ、奴の胸に剣を突き立てた。追撃を放ちアースランスで胸を串刺しにする。まだ生きているので後ろに転移して首を刎ねて、ボスを倒し勝利した。ゲートのスキルを取得した。
これはスキル取得後一度でも行った事が有る場所で有れば、ゲートを開き、瞬間的に移動できると言う待ちに待ったスキルだ。ゲートを開いている間は誰でも往き来出来る。敵でもだ。
有るとは聞いていたが遂に来た。ただし、あくまで取得後なので一気に今すぐ家には帰れない。
ドロップはアダマンタイトメイルと聖女の衣。そして奴隷引換券。俺は絶句した。
二つ共に異世界者専用装備と有る。
俺はクレアの所に行く。既にセリカが止血してくれているが右手を失ってしまった。クレアは申し訳なさそうにしている。他のメンバーは意識を取り戻し順次セリカが治療してくれていた。
一旦ボス部屋を出る事にした。ボスを倒すと別の扉が開いていたからだ。
そこには部屋の中央に大きな魔石が有った。恐らくダンジョンコアだ。
俺はクレアを抱き寄せた。
「腕を再生させよう。痛かったろう。俺がお前をちゃんとした体に戻してやる!」
といい俺は座り、クレアを俺の前に座らせた。左手を彼女の服に手を入れて左胸を摑む。ちょっとだけ揉んじゃったけど何も言ってこないし、ちょっとだけだから良いよね?。心臓の辺りに手を置く必要が有ると直感的に分かった為だ。彼女の右腕にに掌を当て欠損修復を始めた。
腕の方では無く、左手から心臓に向かって魔力が流れていく。そうすると徐々に腕は傷口から再生されていく。
魔力切れは起こさなかったが、かなり吸い取られた。
お陰で腕が再生して、クレアが泣いて抱き付いてきた。
お礼を言われて背中をさすってから俺は腕をひたすら触り異常が無いか確認していった。彼女の腕はしなやかで柔らかく心地良い。
次の心配事がコアだ
『さてこのコアをどうしようか』と自問した。
まず触れてみる。
特に何も起こらない。魔力を流すも反応が無い。仕方が無いので、収納に入れると入った。そうすると辺りがまばゆく光り、ふと気づくと全員が外に居た。ナンシーによると、ダンジョンのコアは破壊するか取り除くとダンジョンが維持できず、魔物以外の生き物は全て入り口の有った所に転移されて何事もなかったかのようにダンジョンが消えるという。
今回がそれだ。周辺の気配を探るが特に何も無い。
俺はセリカに告げた。指輪に魔力を込めて変身するようにと。
早速セリカの姿が変わった。名前を偽装して呼び名も変える事にした。仮称で使った名の「セレナ」にすると伝え、了承された。何故か泣いていたのだが、その意味は後日知る事になる。
ナンシーが用意してくれたギルドカードも、ステータスカードの名前も偽装した。
これで王城にセリカの事は簡単にはばれないだろう。と、この時は思っていたのだ。
ダンジョンを攻略出来たので、周辺の魔物もダンジョンからは新たに湧き出ないだろう。
そうして、志郎達は一路街に向かった。
街に着いたのは19時頃だろうか。
いつもの宿の食堂で夕食を食べた。
そして俺とセリカは支払いをしてから帰ってくれと言われ、他のメンバーは先に帰っていった。気を遣ってくれたようだ。
セリカは俺に甘えてきている。どうやら何の奇跡か、絶世の美少女が俺に好意を持ってくれている。ダンジョンで感じた事は間違いなかった。俺はほんまものの女子高生の心をゲットしてしまった。
腕を組み恋人のように歩く。
近いので程なく屋敷に着き、屋敷の敷地に入り、建物の入り口前まで来ていた。
「セレナ、家に帰ってきたよ」
「志郎さんってここで下宿してるんですか?そう言えば私って今日の宿はどうすれば良いのでしょうか?」
そう聞かれ、そう言えば屋敷の事は話してなかったと気が付き、
「ここは俺が買った屋敷だよ。まだ全部の部屋に家具は揃っていないけど、客間も十分有るし、良かったらここに住まないか?ナンシーはもうじき引っ越してくるけど、他のメンバーは既に屋敷の住人だよ」
と言うと絶句してジト目をされれた。
可愛すぎてドキドキしてしまったのだ。
「うん、その、行く当てもないし、お世話になろうかな。私の事守って下さいね!」
と言うと俺の方を上目遣いで見たと思ったら、目を瞑ってきた。キスをして欲しいサインだろう。
俺は彼女の細い肩を優しく摑み、そっとキスをした。
一度口を離してお互い見つめ合う。
「セレナいやセリカ、君の事が好きだ」
「私も志郎さんの事を愛してるの。大好きです。好きになってしまったんです。私の事を大事にしてくれますか?他の子と結婚するのは知っているし、私もそのうち、その中の一人になるのかもだけど、私とお付き合いをして下さい。愛しの志郎さん」
と言うとキスをしてきた。今度は長く。
今までにしてきたどのキスよりも、心が昂ぶりつい胸にタッチしたが、彼女はその手に自らの手を重ねてきた。お触りOKでした。キスの後
「志郎さんのエッチ」
そう言うと、くるっと一回転してお辞儀をして
「じゃあ、我が家に案内して下さいね」
といい一緒に玄関をくぐった。
刻印の気配から分かっては居たが、全員がミニスカメイドで並んでおり
「お帰りなさいませご主人様セレナ様」
と横から悪感のしそうな、圧巻のお出迎えをしてくれた。
セリカは屋敷に入ってから、興奮してはしゃいでいた。
城から開放されて、安全な居場所をようやく手に入れたんだから、仕方の無い事だ。
セリカを客間に案内した。予め買って置いた服もクローゼットに入れておいて貰った。
お風呂に入り今日は皆さん寝る事となった。
俺が横になっているとセリカが寝室に来た。
一人だと怖くて寝れないというので、一緒に寝て欲しいと真っ赤になってお願いしてきた。
俺は黙って抱き締めてフトンに入れた。
俺はゲスだが彼女には紳士でいるつもりだ。
致す事を本当はしたいが、我慢で有る。今はまだ彼女の心は準備できていない。
「添い寝だけだよ。エッチな事はしないから安心してね」
セリカは耳まで真っ赤にして
「志郎さんにならその、あの、良いの。でも志郎さんを信用しています。今日は添い寝をお願いします」
と言うので一緒に寝る事にした。彼女の頭を俺の胸に抱き寄せたら
「志郎さんの心臓の音を感じるの。落ち着くね。あいつらから救ってくれてありがとう」
そう言うと程なくして彼女は寝ていった。この子を一生掛けて守ろう。どうやら俺の心も既に奪われたようだ。助け出せて良かった。彼女の純潔を守れて良かった。そしてちょっとゲスり、彼女の純潔は俺が頂くのさ!と心に決め、俺も寝顔を見つめている間に眠りに落ちていくのだった。
4
お気に入りに追加
4,393
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜
KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。
主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。
ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。
果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる