エラーから始まる異世界生活

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第4章

ダンジョン六日目

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 day22

 朝起きると両隣にフレデリカとシェリーが居た。
 俺はそっと起きると見張りの様子を見に行った。魔石を10個程持っていたので受け取って収納に入れた。

 テントに戻り早朝稽古を始めて、朝食を皆と食べて、セリカの様子を見る。
 どうやら薬の影響から抜けきったようだ。ニーベリングももう大丈夫だろうという。
 念の為精神回復を施すが特に変化は無い。

 セリカに声を掛ける

「おはようセリカ。今朝の気分は?」

 と聞くと颯爽と答える。

「あっ、その、あの、志郎さんおはようございます。セリカは元気ですよ?」

 と何か変な事を聞いたかのような返答だった。

「うん、元気が一番だよね。ダンジョンは進めそうかな?」

 俺は言葉を慎重に選んだ。彼女が恥ずかしいそうに喋らないからだ。ひょっとすると禁断症状の時に言った事ややった事覚えていないのかな。

 念話でニーベリングに聞くと憶えているはずだという。殆どの人が憶えていたと言う。セリカは

「うん、大丈夫です。行けますよ」

 とその場で一回転して屈伸して体を確かめている。
 どうやら体は大丈夫そうだ。しかし、昨日の事を黙っているわけにはいかな。黙って心に秘めるよりも、衆目に晒してあっさり終わる方が精神的ダメージが少ないのは、今までに経験した人生の中で学習してきた経験値だ。

「なあセリカ、昨日は縛って悪かったな。君は麻薬を城で盛られていて、禁断症状が出たんだ。かなり暴れて叫んでたりして危険なのと、薬を抜く治療方法が暴れないように縛り舌を噛まないように猿ぐつわをするしかなくやむを得ずやったんだ。辛かったろう。よく頑張ったね」

 と言いセリカを抱きしめて頭を撫でるとセリカが

「あっそにょ、あにょ、志郎さん、は、恥ずかしいんですけれども」

 と顔を真っ赤にして呂律が回っていなかった。可愛い。

「あっごめんごめん。無事治ったようでついつい嬉しくて可愛いセリカを抱きしめちゃった」

 と言うと更に耳まで赤くなり俯いてクネクネしている

「うん、ちょっとびっくりしただけですから。その、ご迷惑をお掛けしました。また救ってくれて有難うございます。後ねそのね、私にエッチな事出来たのにしないでくれてありがとう」

 と俺の頬にキスをしてきた。本来純情で素直な娘なんだろうな。王城の初日の彼女はもう少しきりっとしていたと思うが、異常事態で気が張っていて、今の彼女が本来の姿なんだろうな。

「うん、君が正常な状態で無かったのは重々理解していたからね。心の通っていない状態で女性を抱くなんてそんな失礼な事はしたくないし、セリカは絶世のと言っても良い位の美女だけれども、そこまで女性に飢えてないからね。もし縁があって君を抱くとしたらお互い愛し合ってちゃんと将来の事を見据える事ができて、心が一つになった時かな。俺はセリカの心が欲しい。欲望の捌け口として体が欲しいんじゃないんだよ。」

 と言うと泣きながら

「志郎さんずるいよ。そんな事言われると私、私志郎さんの事好きになっちゃうじゃないですか。何でそんなに紳士なんですか?」

 と胸に飛び込んできて泣きじゃくった。

「君の事は俺が命に替えても守ってやる。可能なら君を元の世界に返してあげたい。それが敵わないならずっと俺が守ってやる。だから俺に付いてくこい。愛している」

 あっこれいかんいかん殆どプロポーズやん。つい勢い余って口走ってしまった。セリカは驚いていた

「志郎さん有難うございます。是非是非守って下さい。私の白馬に乗った王子様」

 と目を閉じ上目遣いで此方を向いている。やっぱりキスだよね。彼女の顎を軽く摘まんでキスをする。彼女はとろけるような表情をして答えた。

「あの、セリカのねファーストキスなんだからね。」

 とテントを慌てて出ていった。
 ニーベリングに聞くと

「記憶が混乱しているんです。たまにいます。キスをしていたと言うのが夢と思っているんです。薬で実際正気じゃなかったのでキスした記憶が無いのか、記憶を心が蓋をしたかも分かりませんね。どちらにしろ今のが彼女とのファーストキスにしてあげて下さい。辛い記憶を嬉しい事で上書きする方が幸せだと思います」

 そうなんだろうな。後は彼女が今までの事と向かい合う必要が有るんだよな。
 グズグズしていても仕方が無いので食事をして冒険に出よう。

 病み上がりのセリカに無理をさせられない。なので隊列の中央で俺とクレアの間に挟まれてガードしている。
 腕を組んでくるでも無く普通に歩いている。

 出てくる魔物はオーク系とオオカミ系が中心でで時々鳥型も出てくる。

 元々このフロアの魔物はテントに引き寄せられていて殆ど駆除しているのでさくさく進みフロアボスを退治した。
 ミノタウロスだ。
 俺は手出しせずに皆にやらせた。倒れて虫の息になったので俺がトドメを刺した。

 その後23階まで順調に進み昼休憩を行った。
 23階から勝手が変わり石のダンジョンから草原や所々木が見えた。

 出る魔物は代わり映えせず25階のボス部屋までさくっと辿りついた。

 ボスはひときわ大きなミノタウロスだ。体が赤い。
 強かった。前衛衆4人が同時に攻めたがあっさり蹴散らされて吹き飛んでいく。

 俺はアイスアローを大量に飛ばした瞬間に後ろに飛んで首を刎ねに行き半分も斬れずに殴られて吹き飛んだ。

 後衛が魔法とナンシーが弓で応戦しミノタウロスがナンシー目掛けて駆けるので目の前に強めのアイスウォールを出すとぶつかり頭をしこたまぶつけ尻餅を着いた。

 すかさずアイスアローを40発程ぶつけてずたずたにしてから今度は首を跳ねて勝利した。

 ドロップは大剣だ。それとチェーンメイルだ。これはフレデリカに装着させる。

 26階に降りて本日の野営をスタートする。

 セリカは皆と楽しそうに話をしている。笑顔が戻った。
 就寝時間になりセリカが横に来たので

「いいのか?襲っちゃうかもしれないよ」

 と言うとすかさず

「大丈夫だもん。志郎さんってそんな事しないでしょう。それに志郎さんだったら良いの」

 と最後の方が小さくて聞き間違いかなと思うがセリカが元気になって嬉しかった。

 セリカが俺の頭を抱き寄せた。

「ありがとう志郎さん。私の王子様。好きです」

 と俺がもう寝ていると思い呟いている。どうやら彼女の心も既にゲットしちゃったぽい。聞かなかった事にして暫くの間彼女の鼓動の音に癒やされようとしていたが、あっという間に深い眠りに落ちていった。

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