二桁等級の成り上がり〜僕だけステータス操作(体重)出来る件〜

KeyBow

文字の大きさ
上 下
55 / 66
第二章

第54話 ナリアナの初ダンジョン

しおりを挟む
 僕たちはダンジョンの入口に到着した。しかし、期待していたよりも寂れた雰囲気だった。入口には申し訳程度の兵士が1人、ぼんやりと見張りをしているだけだった。
 それとすぐ近くに小屋があり、そこで数人が待機しているっぽい。

「ここがダンジョンか・・・思ってたよりも閑散としてるな」

 僕は呟いた。

「兵士が数人しかいないなんて、どうして?」

 ナリアナが不安げに尋ねた。

「最近、このダンジョンの攻略が停滞しているんだ。サニタルの場合ランク5級の冒険者が最高で、それ以上の冒険者がいないんだ。だから未踏破の階層が多いんだよ」

 僕は説明していったが、どうやら再到達階層が6階層で、5級の場合そこより先は命がけで、恐らく討伐隊送られるまで攻略は無理っぽい。3階層から5階層のドロップがそこそこ美味しいらしい。

 僕たちは早速ダンジョンに挑むことにした。

「今日はちょっとだけ中を覗いてみよう。ナリアナには戦闘の様子を見てもらって、可能なら実際に戦ってみる機会を作るつもりだ」

 僕は続けた。

「了解。慎重に行動しましょう」とラファエルが頷いた。

「楽しみだわ。私の弓の腕前を見せる時が来たわね」

 アレクシアが意気込む。

 ダンジョンの1階層へ足を踏み入れたけど、ダンジョンの中は薄暗く、冷たい空気が漂っており、僕たちは慎重に進んで行く。最初の階層はゴブリンやトレントが出現する程度だと聞いていたが、油断は禁物だ。

「ナリアナ、僕たちの動きをよく見ておいて。今はまだ使えないけど、君がどのタイミングで魔法を使うべきかを考えながら」

 僕は彼女に声をかけると、ナリアナは緊張した面持ちで頷いた。

 数分進んだところで、突然「ぎゃー!」と叫びながら逃げてくる冒険者に出くわした。彼の顔は恐怖で歪んでいた。

「ミ、ミノタウロスが・・・!こんなところで出るなんて・・・!」

 彼は叫びながら僕たちの横を通り過ぎていった。

「ミノタウロス?それって本来、5階層で出現するはずじゃ・・・?」
 メリッサが驚いた声を上げた。

 その瞬間、巨大なミノタウロスが僕たちの前に姿を現した。圧倒的な存在感と共に、咆哮を上げた。

「みんな、戦闘準備だ!」

 僕は叫んだが、他のメンバーは恐怖でへたり込んでしまった。

「落ち着いて、僕が前に出る!」

 僕は告げるとブロードソードを構え、ミノタウロスに向かって突進した。

 ラファエルが大盾を構えた。

「私が盾になる、主殿、攻撃を頼まます!」

 声をかけてくれた。彼女の重装備が頼もしい。

「アレクシア、弓を構えて!遠距離から援護して!」

 僕は指示を飛ばした。

「了解!」アレクシアは素早く弓を引き絞り、矢を放った。

 ナリアナは恐怖に震えながらも、必死に僕たちの動きを見守っていた。彼女の目には不安が浮かんでいたが、僕たちの連携を見て少しずつ落ち着きを取り戻しているようだった。

 ミンディーもバトルナイフを構え、機を見て迅速に攻撃を仕掛けていた。俊敏な動きがミノタウロスを混乱させている。

「メリッサ、魔法で支援を!」

 僕が叫ぶと、メリッサは冷静に魔法を詠唱し、炎の矢を放った。

 僕たちはなんとかミノタウロスを倒し、無事に初戦を終えた。しかし、このダンジョンの難易度が予想以上に高いことを痛感した。

「この先も気を引き締めて行こう。ナリアナ、今日はここまでにしておくか?」

 僕はナリアナに尋ねると、決意を込めた目で答えた。

「いえ、私も戦いたいです」と答えた。

「よし、ならば次の戦いでは君も加わってみよう。みんな、引き続き協力して進もう」

 僕は声をかけ、仲間たちはそれぞれ頷いた。

 僕たちは再び隊列を整え、次の階層へと進む準備を整えた。ナリアナも新たな冒険への決意を胸に、僕たちの後に続いた。未知の危険が待つダンジョンで、僕たちはそれぞれの力を発揮し、未来への一歩を踏み出していくのだった。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜

KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。 主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。 ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。 果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...