二桁等級の成り上がり〜僕だけステータス操作(体重)出来る件〜

KeyBow

文字の大きさ
上 下
27 / 66
第一章

第26話 光明

しおりを挟む
 奴隷商から言われた500万G【標準家庭が必要とする年収は100万G】を用意する期限まであと4日。
 これまでに集めることができたのは300万Gで、あと200万Gも足りず、かなり焦っている。

 そんな中、ゾーイさんに娼館に連れられ、そこにいる人をターゲットにして体重操作で稼ごうとしたんだ。

 しかし、僕は見てしまった・・・あの子は泣いていた・・・。初床を7日後に控え、700万Gの身請け金がなければあの子は名実ともに遊女となり、見知らぬ男たちの慰み物になる。

 ただただ、そんな理不尽な状況から救いたいと思った。
 下心なんてない。
 なんならその場で解放し、バイバイすることも厭わない。
 でも、もし助けられたのならば、生活の糧を見つけるまで面倒を見るつもりだけど、現実は厳しい。
 まだ奴隷商から少女を救えてさえいないのに、別の女性も救いたいだなんて、ゾーイさんに言われた通り僕は御し難いバカだ。

 時間さえあれば間違いなくお金はできる。
 あの剣がオークションで売れたら万事解決も、次回オークションは1ヶ月も先なんだ。
 だから当てにはできない。
 あの大剣はシンディーさんに丁度よいし、そろそろ武器を替えたいようなことをちらりと言っていたけど、買ってくれないよね・・・流石にあの子たちを救うだけの額、持ち合わせがある訳ではないだろうし、虫の良い話だ。

 体重操作は娼館でもあまり食いつかなかった。つまり手詰まりになりつつある。
 宣伝と口コミがあれば徐々に稼ぐことが可能になっていくと思うけど、残念ながらそれを待つ時間的余裕はない。
 僕は皆に黙って古のダンジョンに賭けることにし、翌日、朝早くからダンジョンに入った。

 ギリギリまで粘り、多くの魔核とアイテムをゲットし、先ずは残り200万Gをと焦っていたんだ。3階層までは問題なく進んでおり、本来ソロだと厳しいが、無理に下へ下へと向かう。
 そして僕は5階層でオーガに囲まれた。

 僕はオーガたちに囲まれ逃げることもできなくなり、1人で立ち向かざるを得なくなった。奴らは巨大で力強い。
 僕の剣はただの鉄の塊に過ぎなかったけど、生活魔法のファイヤを剣に纏わせることにした。

 僕の使える魔法は生活魔法のファイヤとウォーターのみ。
 これを付与魔法の代わりに使う。

 炎は僕の剣を包み込み、オーガたちに対する僕の攻撃を強化した。しかし、生活魔法をこのように使う場合、燃費がすこぶる悪く、1秒に1の魔力を消費する。僕の魔力は急速に減少していったが、それでも僕は戦い続けた。

 僕は短期決戦を図り、オーガたちに立ち向かった。炎を纏った剣はオーガたちの肉を焼き、彼らの動きを鈍らせた。僕は彼らの隙をつき、一撃ごとにオーガを焼き、1体、また1体と倒していった。
 戦いは激しく、僕の体力と魔力は限界に近付いていた。

 最後のオーガが倒れた時、僕はほとんど魔力を使い果たしていた。しかし、僕は勝利し、オーガたちが落としたアイテムを集め、ギルドに持ち帰ることができた。それらのアイテムを売れば目標に達するだろう!そう確信した。

 僕は最終日の夕方、意気揚々とギルドに行くも、総買取額は140万G・・・あと60万G足りない・・・

 高額になると思ったアイテムのレア度が低く、予測を大幅に下回り僕の頭の中は真っ白になる。

 夕方にも関わらずお金が足りず、金策に走らざるを得なくなり、貴族街や商店等の商会主の屋敷を回る。

 時間が遅く、夕食の時間に差し掛かってからだったのもあり、用が有るなら日を改めろと相手にされなかった。
 話すら聞いてもらえず、扉や門は僕には開かれなかった。

 何の成果もなく、ただただ無駄に時間だけが過ぎていく。

 23時頃ギルドに行くと、この4日間会うことがなかったミスティックさんの面々がおり、疲れ果てた表情を浮かべてテーブルに腰掛けていた。

 大剣使いのシンディさんは、申し訳なさそうに僕に話しかけてきた。

「ごめんよ・・・アタシらも何とかしようとしたけどさ、1000万Gしか用意できなかったんだ・・・」

 僕にはその言葉の意図が分からなかった。
 どういうことかと聞いたら、彼女はオークションでいくら安く見積もっても1500万G以上で売れると言われている大剣を買い取るため、不足しているお金を何とかすべくダンジョンに挑んでいたとのことだった。

「何でそんなことまでしてくれるんですか?僕もその額で買って頂けるならありがたいですが・・・」

「相変わらずこまけぇこと気にする奴だな。てめぇは助けたいのか?助けたくないのか?金が惜しいのか?どうなんだ?」

「助けられるなら一文無しになるのは厭わないです」

「だったら四の五の言わずその女を助けてやれよ!つう訳だからよ、シンディーも大丈夫だな?娼館の方もよ、明日駆け引きしたいんだが、これで身請け金は出来んだろ!俺もついてってやるからさ」

「ではシンディーさん、取り敢えず60万Gあれば500万Gになるので、残りは明日で良いので頂けませんか?」

 すると、夜中なのにアイシアさんとギルドマスターが現れた。

「ほら、これが預かっていた武器と金だ。引き出すんだろ?」

 僕は大金貨5枚を受け取った。

「残りはこいつらからの金をお前さんの残高に入れておくから行って来い。儂も初回無料で良いんだな?もちろん明日で良いぞ」

 なぜか事情を知っているギルドマスター。
 ウインクをするアイシアさん。
 多分ギルドマスターに、『お腹を引っ込めるチャンスですよ』とか言って残って貰ったのだと思う。

 疑問はなぜミスティックの面々が協力してくれたかだ。

「お前よぉ、何で俺等が協力してくれるのかな?とか思っていないか?俺の理由は別だが、まあ、シンディーがお前さんの武器を欲しがったから皆で金策をしたということにしとけ!」

 僕は深々とお辞儀をし、奴隷商に向かって全力で駆け出したんだ。ゾーイさんが密かに後ろをつけているのは分かったけど、何かあったら助けてくれるのに動いたようだった。

 僕以上にお人好しだ・・・
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...