異世界で穴掘ってます！

第３章

異変

　朝目覚めるとモナが隣でしかも裸で寝ている。
　一瞬混乱した。状況が理解できなかったのだ。
　冷静になり、記憶を辿るとなんとなく思い出してきた。
　そう、モナが愛おしくなり妻にし、初夜を過ごしたと。起き抜けに冷水を一杯飲み、深呼吸すると、昨夜の情事が思い出されて、何があったか思い出した。

　モナは見た目の派手さとは裏腹に本来はおしとやかで女らしい女だ。
　今まで娶らずにいた事を後悔したくらいだ。
　改めて愛していたのだと気が付いた。散々からかったり、強気で当たっていたが、男勝りな振る舞いは男兄弟に囲まれて乱雑に扱われていたのと、己の弱さを隠す隠れ蓑でしかないのだ。

　モナも目が覚めて、もじもじしていて愛しかった。
　キスをしてぎゅっと抱きしめていた。今まで乱暴に扱っていたが、今は壊れそうな位に思えた。彼女は筋肉がしっかりついているが、かなり細身だ。俺と同じで無駄な脂肪がないのだ。なので引き締まっている体は見ていて心地よい。多分一緒にマラソンしたら結構付いてこれるんだろうなあと感じていた。

　俺は鍛えられた体を見るのが好きだ。脹脛を見れば大体鍛え方がわかるのだ。
　彼女は今日一日は辛いだろう。意外なのはあの美貌と派手さとは裏腹に身持ちが良かった。この世界の貞操観念を持ち合わせており、結婚するまでは、体の関係にならないのが常識でモナもそうだった。

　今一度愛を囁き、彼女を後ろから抱きしめて彼女の温もりと心臓の鼓動をただただ感じていたが、いきなりそれは来た。
　最初は気のせいか？と思ったが、一瞬建物が揺れると、窓から見ると世界樹が光り出したのが分かり、モナをお姫様抱っこで窓辺に行き、その様子を二人で見つめていてキスをしていたら、急に激しく揺れた。
　さっきのは気のせいではなく前触れだったのだ。
　驚いた事に世界樹の枝が屋敷を覆っている。こんなに柔軟な木なんだ？と思うのと、おそらく今だけ樹高が伸びたのだろうと感じた。
　そして机が倒れたりしだし、立っていられなくなり、俺はモナに覆い被さる。
　震度６前後の揺れだ。
　揺れが収まるとまずモナを確認した。無事だ。部屋は壁の一部に亀裂が入っているが健在だ。世界樹は元の大きさに戻り光も消えた。

　外を見ると建物のいくつかは倒壊しているのが分かる。耐震性が無かったのだろう。
　俺達は急ぎ冒険者の格好をし、大声で招集をかけた！外に出ろと。

　すぐに全員が出てきて、美菜達に馬を見させた。
　メイド長に使用人の安否を確認させ、執事長には怪我人を俺の所に連れてくるように指示をし、メイドを伴い全員の体をチェックするようにと。
　ユリシーズ以外は全員無事だった。転倒して打ち身が数人居た程度だ。
　ユリシーズが居ないので俺は慌ててユリシーズの部屋に入る。彼女は震えて泣いていた。
　普段裸で寝るといい、裸だった。その裸体は破壊力があり過ぎて理性を飛ばす程だが、今は興奮していて、性的な目で見ないですんだ。

　ユリシーズ「ああ、聡太様、異変が、異変が始まりました！急ぐのです！聡太様が召喚された場所に、私を伴って！」

　俺はどうするか決断した。
　城に行かねばなるまいと。
　そして急ぎドロップ品一式を出して着させた。震えていて着れないので俺が着せた。
　だんだん落ち着いてきたが、歩けそうにないので
　お姫様抱っこで外に向かうのであった。