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第69話 ボス
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巨体の魔物が咆哮とともに動き出した。空気が震え、圧倒的な殺気が辺りを支配する。俺たちは逃げ場を失い、戦うしかなかった。
最初に狙われたのは弘美だった。
「くっ、来るなぁぁぁッ!」
態勢が整っていない弘美が辛うじて警棒を振り上げた瞬間、魔物の鋭い腕が空間を裂くように襲いかかる。
「くそがぁッ!」
俺は咄嗟に彼女の前に飛び込み、盾を構えた。しかし、魔物は俺の動きを見切っていた。
ドゴォッ!!
俺の左腕ごと盾が吹き飛び、壁に叩きつけられる。激痛とともに全身が燃えるような感覚に包まれ、視界が一瞬で暗転した。
薄れる意識の中で目を開けると、満身創痍のスルメイラがたった一人で魔物に挑んでいた。
彼女は血まみれの姿で、まるで狂気じみた執念で魔物の猛攻をかわし、攻撃を繰り出している。しかし、動きには明らかにキレがない。魔力も底を突いたのか、手に持つ短剣に頼っているようだった。
「スルメイラ・・・!」
俺は声を出そうとするが、喉が焼けついて音にならないうえ、立ち上がろうとしても体が言うことを聞かない。
このままではスルメイラもやられる・・・それだけは絶対にさせてはならない。
他の面々が生きていると祈るしかない。幸い誰かの首が転がっていたり、串刺しにされて壁に縫い付けられていたりするのではなく、単に壁際で倒れているように見える。
血の海は見えない・・・服に血がついているから怪我はしているようだが、今は気絶しているだけと祈るしかない。
ふと視線を巡らせると、近くに転がる槍が目に入る。
「動け・・・このクソったれがッ・・・!」
俺は残った右手で槍を掴み、膝をつきながら必死に体を起こす。バランスが悪く倒れそうになるも、直ぐに立て直す。
スルメイラの背後に巨大な腕が迫る。
「スルメイラァァァッ!」
咆哮とともに全身の力を右腕に込め、渾身の力で槍を投げ放つ。槍は空気を切り裂き、一直線に魔物の胸部へと突き刺さった。
ズガァァンッ!
魔物が咆哮を上げながらのけ反り、その巨体が吹き飛ぷ。魔物は壁に縫い付けられ、槍が俺の方にリターンすると、その場に力なく崩れ落ちる。
スルメイラがふらつきながら振り返る。その瞳には驚きと安堵、そして怒りにも似た感情が滲んでいた。
「ご主人様・・・無茶をしすぎです!」
彼女が俺に駆け寄るが、その手前で膝をつき、肩で息をするが、それは俺のセリフだとは今は言えなかった。
俺は口元に笑みを浮かべながらも、再生途中の体が痛みで震えていた。
「スルメイラと俺が・・・やらなきゃ、終わってた。これで・・・全部終わりだろ?」
スルメイラが苦笑を浮かべる。
「残念ながら、この先にまだ“扉”がありますよ。でも・・・ありがとう。ご主人様のおかげで、ここは超えられました」
浅香や弘美、友理奈も意識があったのか傷だらけの姿ではあるものの、何とか体を起こして近寄ってくる。
全員が無事であることを確認し、いや、五体満足じゃないのが約1名だが、それは俺だからノーカウント・・・俺たちは次の扉を見据える。だが、心の中にはひたすら警戒が渦巻いていた。この先に何があるのか、それを知るのは俺たちだけだ・・・。
最初に狙われたのは弘美だった。
「くっ、来るなぁぁぁッ!」
態勢が整っていない弘美が辛うじて警棒を振り上げた瞬間、魔物の鋭い腕が空間を裂くように襲いかかる。
「くそがぁッ!」
俺は咄嗟に彼女の前に飛び込み、盾を構えた。しかし、魔物は俺の動きを見切っていた。
ドゴォッ!!
俺の左腕ごと盾が吹き飛び、壁に叩きつけられる。激痛とともに全身が燃えるような感覚に包まれ、視界が一瞬で暗転した。
薄れる意識の中で目を開けると、満身創痍のスルメイラがたった一人で魔物に挑んでいた。
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俺は声を出そうとするが、喉が焼けついて音にならないうえ、立ち上がろうとしても体が言うことを聞かない。
このままではスルメイラもやられる・・・それだけは絶対にさせてはならない。
他の面々が生きていると祈るしかない。幸い誰かの首が転がっていたり、串刺しにされて壁に縫い付けられていたりするのではなく、単に壁際で倒れているように見える。
血の海は見えない・・・服に血がついているから怪我はしているようだが、今は気絶しているだけと祈るしかない。
ふと視線を巡らせると、近くに転がる槍が目に入る。
「動け・・・このクソったれがッ・・・!」
俺は残った右手で槍を掴み、膝をつきながら必死に体を起こす。バランスが悪く倒れそうになるも、直ぐに立て直す。
スルメイラの背後に巨大な腕が迫る。
「スルメイラァァァッ!」
咆哮とともに全身の力を右腕に込め、渾身の力で槍を投げ放つ。槍は空気を切り裂き、一直線に魔物の胸部へと突き刺さった。
ズガァァンッ!
魔物が咆哮を上げながらのけ反り、その巨体が吹き飛ぷ。魔物は壁に縫い付けられ、槍が俺の方にリターンすると、その場に力なく崩れ落ちる。
スルメイラがふらつきながら振り返る。その瞳には驚きと安堵、そして怒りにも似た感情が滲んでいた。
「ご主人様・・・無茶をしすぎです!」
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俺は口元に笑みを浮かべながらも、再生途中の体が痛みで震えていた。
「スルメイラと俺が・・・やらなきゃ、終わってた。これで・・・全部終わりだろ?」
スルメイラが苦笑を浮かべる。
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全員が無事であることを確認し、いや、五体満足じゃないのが約1名だが、それは俺だからノーカウント・・・俺たちは次の扉を見据える。だが、心の中にはひたすら警戒が渦巻いていた。この先に何があるのか、それを知るのは俺たちだけだ・・・。
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