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第58話 呼び出された
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今日は水曜日の放課後。
つまりダンジョン探索の休養日だ。そんな日は早めに家に帰ってのんびりするのが日課になっている。いや、友理奈とパーティーを組んでからはまだ休みはない。
友理奈と校舎を出るべく、俺が教室から廊下を恐る恐る覗き込む姿を見て、友理奈がクスクス笑う。
「何よ、銀治。そんなにビクビクして。今日は休養日なんだから、誰も追いかけてこないわよ。」
その言葉に安心して友理奈と共にクラスメイトと別れて教室を出ようとした。
「じゃあまた明日」
軽く手を振るが――その瞬間。
「だーれだっ!」
背後から突然目隠しされ、浅香の元気な声が響いた。
「浅香、何やってんだよ!」
文句を言いつつ手を振り払うと――
目の前には・・・確かに浅香がいた。
「あれ?」
困惑する俺に、浅香はニヤリと笑い指を振ってどやる。
「ぶぶー、ざーんねんでした!」
そして追撃だ。
「先輩、マック行きましょうよ!」
悪い笑みを浮かべる浅香。
「じゃあ、誰だ?」
恐る恐る振り向くと――そこには頬をポリポリ掻いている弘美の姿があった。
「え、弘美?」
浅香なら確かに背が低くて届かないが、弘美なら届く。いや、そういう問題じゃないだろ?と一人ツッコミを入れる。
それに、弘美ってこんなことをするようなヤツだったか?カタブツだと思っていたんだがと呟いた瞬間、浅香と弘美がハイタッチを交わしているのが見えた。
「なんか妙に気まずい……」と思ったのも束の間、弘美が「ごめんなさい」と小さな声で謝ってきた。
そこに友理奈も加わり、「マック、いいわね」と賛成。
「昨日、銀治からもらったお金があるし、奢るわよ」
友理奈がさらっと言い出すが、俺があげたんじゃなく稼ぎを分配しただけなんだが・・・
仕方がないので4人で食べに行くことになった。妙に楽しそうにしている3人を見ながら、俺は気が進まない気持ちを抱えつつ、校門を出る。
校門を出てスマホの電源を入れると、水木さんからLINEが届いていた。
「市河様、ギルドマスターが魔石の売買についてお話があるとのことです。なるべく早めにいらしてください。」
画面を覗き込んでいた弘美が、「早速スマホ使ってるんですね」と微笑む。
「ギルドマスターから呼び出されたみたいだ」
3人に画面を見せると、浅香が手を叩く。
「じゃあ4人でギルドに行こうよ!」
提案すると、3人は頷く。
俺は少し嫌な予感を覚えつつぼそっと呟く。
「今回のギルドマスターからの呼び出しって普通俺が1人で行くんじゃないのか?」
そう呟くが、浅香と友理奈に手を引っ張られ、弘美に肩を押された。ほれもあり、まあいいっかと、4人でギルドに向かうことに。
ギルドに到着すると、水木さんが笑顔で迎えてくれた。
「市河様、こちらへどうぞ。」
奥の部屋に通され、ギルドマスターから本題を切り出される。
「魔石の売買についての確認だが、今回の分は税金20%を差し引いても、最終的に3,000万円ちょいになる。」
一瞬、空気が凍る。
「3…3000万?」
俺が呟くと、友理奈、浅香、弘美の3人も固まっていた。
ギルドマスターが手際よく書類を出してくると、浅香が「これ、冗談じゃないですよね?」と目を丸くする。
友理奈も驚きを隠せなかった。「3…3000万…そんなの、初めて見たわ」と呟く。
俺自身も頭が追いつかず、「これで家買えるよな……」と無意識に口にしていた・・・
つまりダンジョン探索の休養日だ。そんな日は早めに家に帰ってのんびりするのが日課になっている。いや、友理奈とパーティーを組んでからはまだ休みはない。
友理奈と校舎を出るべく、俺が教室から廊下を恐る恐る覗き込む姿を見て、友理奈がクスクス笑う。
「何よ、銀治。そんなにビクビクして。今日は休養日なんだから、誰も追いかけてこないわよ。」
その言葉に安心して友理奈と共にクラスメイトと別れて教室を出ようとした。
「じゃあまた明日」
軽く手を振るが――その瞬間。
「だーれだっ!」
背後から突然目隠しされ、浅香の元気な声が響いた。
「浅香、何やってんだよ!」
文句を言いつつ手を振り払うと――
目の前には・・・確かに浅香がいた。
「あれ?」
困惑する俺に、浅香はニヤリと笑い指を振ってどやる。
「ぶぶー、ざーんねんでした!」
そして追撃だ。
「先輩、マック行きましょうよ!」
悪い笑みを浮かべる浅香。
「じゃあ、誰だ?」
恐る恐る振り向くと――そこには頬をポリポリ掻いている弘美の姿があった。
「え、弘美?」
浅香なら確かに背が低くて届かないが、弘美なら届く。いや、そういう問題じゃないだろ?と一人ツッコミを入れる。
それに、弘美ってこんなことをするようなヤツだったか?カタブツだと思っていたんだがと呟いた瞬間、浅香と弘美がハイタッチを交わしているのが見えた。
「なんか妙に気まずい……」と思ったのも束の間、弘美が「ごめんなさい」と小さな声で謝ってきた。
そこに友理奈も加わり、「マック、いいわね」と賛成。
「昨日、銀治からもらったお金があるし、奢るわよ」
友理奈がさらっと言い出すが、俺があげたんじゃなく稼ぎを分配しただけなんだが・・・
仕方がないので4人で食べに行くことになった。妙に楽しそうにしている3人を見ながら、俺は気が進まない気持ちを抱えつつ、校門を出る。
校門を出てスマホの電源を入れると、水木さんからLINEが届いていた。
「市河様、ギルドマスターが魔石の売買についてお話があるとのことです。なるべく早めにいらしてください。」
画面を覗き込んでいた弘美が、「早速スマホ使ってるんですね」と微笑む。
「ギルドマスターから呼び出されたみたいだ」
3人に画面を見せると、浅香が手を叩く。
「じゃあ4人でギルドに行こうよ!」
提案すると、3人は頷く。
俺は少し嫌な予感を覚えつつぼそっと呟く。
「今回のギルドマスターからの呼び出しって普通俺が1人で行くんじゃないのか?」
そう呟くが、浅香と友理奈に手を引っ張られ、弘美に肩を押された。ほれもあり、まあいいっかと、4人でギルドに向かうことに。
ギルドに到着すると、水木さんが笑顔で迎えてくれた。
「市河様、こちらへどうぞ。」
奥の部屋に通され、ギルドマスターから本題を切り出される。
「魔石の売買についての確認だが、今回の分は税金20%を差し引いても、最終的に3,000万円ちょいになる。」
一瞬、空気が凍る。
「3…3000万?」
俺が呟くと、友理奈、浅香、弘美の3人も固まっていた。
ギルドマスターが手際よく書類を出してくると、浅香が「これ、冗談じゃないですよね?」と目を丸くする。
友理奈も驚きを隠せなかった。「3…3000万…そんなの、初めて見たわ」と呟く。
俺自身も頭が追いつかず、「これで家買えるよな……」と無意識に口にしていた・・・
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