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第57話 2階層
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放課後、教室のドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、今にも飛びついてきそうな浅香の姿だった。
「銀治先輩! 今日もよろしく――!」
勢いよく駆け寄ってくる彼女に慌てたが、その瞬間、背後から猛スピードで追いついた弘美が浅香の首根っこを掴んで制止する。
「ちょっと、浅香! 先輩にいきなり飛びつくとか、何考えてるの!」
「あいたたた! 弘美、引っ張らないでよ~!」
浅香は手をバタバタさせながら抗議するが、弘美はきっぱりと「ダメ!」と言い切った。
苦笑しながら、「まあまあ、二人とも落ち着いて」と声をかける。
「あら弘美さん、浅香さん、早かったわね」
その場が少し落ち着いたところで、弘美がふと手を挙げた。
「あの、銀治先輩。それから友理奈先輩も、私たちのことは呼び捨てでお願いします。」
少し戸惑いつつも、「いいの? でも、そっちがそれでいいならそうするよ。」と答える。
それを聞いた友理奈が、軽く笑みを浮かべながら口を開いた。「じゃあ、私と銀治のことも呼び捨てで――」
言いかけた瞬間、浅香が慌てて友理奈の言葉を遮った。
「それはダメです! 私は先輩って呼びたいんです! 先輩って響きが好きなんです!」
「分かったわ。私の呼び方は好きにすればいいわよ」
その場の空気が少し和らぎ、友理奈は肩をすくめて苦笑しながら返事を返す。
そんな様子を見ながら心の中でふと思った。 (そういえば、いつの間にか俺も2人のこともと友理奈のことも呼び捨てにしてたな…。でも、あの感じなら問題なさそうでよかった。変に気まずくならなくて助かったな。)
・
・
・
ダンジョンの入り口に到着し、全員を集めてもう一度スキル使用のルールを説明する。
「よし、もう一度確認しておくよ。スキルは1回だけ自由に使っていい。それ以外は、ボス戦か誰かが本当に危ない状況になったときだけ使うこと。それ以外は自分たちの力で戦うことを意識して欲しい。」
浅香は元気よく手を挙げ、「了解! でも、その1回は全力で使っていいんだよね?」
頷きながら、「そうだね。ただ、その1回が無駄にならないように、ちゃんと状況を見て使うことと、ある程度は余力を残しておくように」
弘美は真剣な表情で敬礼をし俺は苦笑する。
「分かりました。スキルは慎重に使います。」
「了解!無駄にしないように頑張りまーす」浅香も返答し、全員がルールを再確認した。
「よし、それじゃ行くぞ。」
俺の掛け声で、全員が2階層へと足を踏み入れた。勿論転移板を使って2階層に出ている。
今日もそれぞれの担当へ指導を行いながら戦闘を進める。
「今日は浅香は弘美とツーマンセルを組むことを意識して。でも友理奈が弘美の代わりに盾役をやるよ。浅香は友理奈の動きをよく見て学ぶように」
浅香はハンマーを構えながら、「分かった! 今日もしっかり吸収するよ!」と意気込む。
友理奈は軽く浅香に視線を送り、さっそく指示を出す。
「じゃあ、私が引きつけるから、その隙に攻撃してね。」
戦闘が始まると、友理奈は巧みに盾を使って敵の注意を引きつけ、浅香がその隙をついてハンマーを振り下ろす。
「よっしゃー! やっぱりこのハンマー強いっしょ!」と浅香は満面の笑みを浮かべる。
「次が来るわよ、油断しないで!」
友理奈は冷静に警戒を促す。
一方で、弘美もスルメイラの誘導に従って戦闘をこなしていく。俺の指示を守って実践し、どんどん吸収する。
そんな彼女たちの様子を見守りながら、必要に応じて指示を出していた。
探索を進める中、スルメイラがふわりと現れて索敵情報を伝える。
「前方に敵が2体、ラットタイプ。距離は15メートル。」
その姿を見た弘美が、ふと話しかけた。
「あの・・・そう言えばスルメイラさんってこの前助けてもらったときにも見たんですけど、何者なんですか?」
「そうそう! ねえ、貴女いつの間に湧いてきたの?」
浅香も興味津々な表情で今更なことを尋ねた。
スルメイラは少し不機嫌そうに口を開いた。
「湧いてきたって・・・私はご主人様より召喚された存在よ。」
俺は苦笑しながら軽く流す。
「まあ、今は気にしないでいい。スルメイラは俺の仲間だ。それだけ分かってくれればいいよ。」
「ふーん、まあ頼れるならいっか!」と浅香はあっさり納得し、弘美も微笑む。
「分かりました。でも、また教えてくださいね」
2階層を踏破し、その後無事にボスを討伐して3階層の転移板で1階層へ戻った。
ギルドに到着し、水木さんに迎えられながら換金作業を終えると、全員で今日の報酬を分配することに。
浅香は「まだまだ役に立ってないし、私、報酬なんていらない!」と話すが、弘美が「そんなこと言わないで。みんなで頑張ったんだから分けるべきです!」と真剣に説得する。
2人のやり取りを見て、苦笑しながら提案した。「じゃあ、弘美に少し多めに渡して、残りを浅香と友理奈で分ける。それでいいだろ?」
無理やり分配を終えると、浅香は少し気まずそうに「ありがとう、銀治先輩。でも次はもっと頑張るから!」とお礼を言い、弘美も「ありがとうございます。次もよろしくお願いします。」と深々と頭を下げた。
「次回も頑張ろうな」
軽く肩をすくめて声をかけたが、2日連続同じことをしてるなぁとため息が出た?
「銀治先輩! 今日もよろしく――!」
勢いよく駆け寄ってくる彼女に慌てたが、その瞬間、背後から猛スピードで追いついた弘美が浅香の首根っこを掴んで制止する。
「ちょっと、浅香! 先輩にいきなり飛びつくとか、何考えてるの!」
「あいたたた! 弘美、引っ張らないでよ~!」
浅香は手をバタバタさせながら抗議するが、弘美はきっぱりと「ダメ!」と言い切った。
苦笑しながら、「まあまあ、二人とも落ち着いて」と声をかける。
「あら弘美さん、浅香さん、早かったわね」
その場が少し落ち着いたところで、弘美がふと手を挙げた。
「あの、銀治先輩。それから友理奈先輩も、私たちのことは呼び捨てでお願いします。」
少し戸惑いつつも、「いいの? でも、そっちがそれでいいならそうするよ。」と答える。
それを聞いた友理奈が、軽く笑みを浮かべながら口を開いた。「じゃあ、私と銀治のことも呼び捨てで――」
言いかけた瞬間、浅香が慌てて友理奈の言葉を遮った。
「それはダメです! 私は先輩って呼びたいんです! 先輩って響きが好きなんです!」
「分かったわ。私の呼び方は好きにすればいいわよ」
その場の空気が少し和らぎ、友理奈は肩をすくめて苦笑しながら返事を返す。
そんな様子を見ながら心の中でふと思った。 (そういえば、いつの間にか俺も2人のこともと友理奈のことも呼び捨てにしてたな…。でも、あの感じなら問題なさそうでよかった。変に気まずくならなくて助かったな。)
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ダンジョンの入り口に到着し、全員を集めてもう一度スキル使用のルールを説明する。
「よし、もう一度確認しておくよ。スキルは1回だけ自由に使っていい。それ以外は、ボス戦か誰かが本当に危ない状況になったときだけ使うこと。それ以外は自分たちの力で戦うことを意識して欲しい。」
浅香は元気よく手を挙げ、「了解! でも、その1回は全力で使っていいんだよね?」
頷きながら、「そうだね。ただ、その1回が無駄にならないように、ちゃんと状況を見て使うことと、ある程度は余力を残しておくように」
弘美は真剣な表情で敬礼をし俺は苦笑する。
「分かりました。スキルは慎重に使います。」
「了解!無駄にしないように頑張りまーす」浅香も返答し、全員がルールを再確認した。
「よし、それじゃ行くぞ。」
俺の掛け声で、全員が2階層へと足を踏み入れた。勿論転移板を使って2階層に出ている。
今日もそれぞれの担当へ指導を行いながら戦闘を進める。
「今日は浅香は弘美とツーマンセルを組むことを意識して。でも友理奈が弘美の代わりに盾役をやるよ。浅香は友理奈の動きをよく見て学ぶように」
浅香はハンマーを構えながら、「分かった! 今日もしっかり吸収するよ!」と意気込む。
友理奈は軽く浅香に視線を送り、さっそく指示を出す。
「じゃあ、私が引きつけるから、その隙に攻撃してね。」
戦闘が始まると、友理奈は巧みに盾を使って敵の注意を引きつけ、浅香がその隙をついてハンマーを振り下ろす。
「よっしゃー! やっぱりこのハンマー強いっしょ!」と浅香は満面の笑みを浮かべる。
「次が来るわよ、油断しないで!」
友理奈は冷静に警戒を促す。
一方で、弘美もスルメイラの誘導に従って戦闘をこなしていく。俺の指示を守って実践し、どんどん吸収する。
そんな彼女たちの様子を見守りながら、必要に応じて指示を出していた。
探索を進める中、スルメイラがふわりと現れて索敵情報を伝える。
「前方に敵が2体、ラットタイプ。距離は15メートル。」
その姿を見た弘美が、ふと話しかけた。
「あの・・・そう言えばスルメイラさんってこの前助けてもらったときにも見たんですけど、何者なんですか?」
「そうそう! ねえ、貴女いつの間に湧いてきたの?」
浅香も興味津々な表情で今更なことを尋ねた。
スルメイラは少し不機嫌そうに口を開いた。
「湧いてきたって・・・私はご主人様より召喚された存在よ。」
俺は苦笑しながら軽く流す。
「まあ、今は気にしないでいい。スルメイラは俺の仲間だ。それだけ分かってくれればいいよ。」
「ふーん、まあ頼れるならいっか!」と浅香はあっさり納得し、弘美も微笑む。
「分かりました。でも、また教えてくださいね」
2階層を踏破し、その後無事にボスを討伐して3階層の転移板で1階層へ戻った。
ギルドに到着し、水木さんに迎えられながら換金作業を終えると、全員で今日の報酬を分配することに。
浅香は「まだまだ役に立ってないし、私、報酬なんていらない!」と話すが、弘美が「そんなこと言わないで。みんなで頑張ったんだから分けるべきです!」と真剣に説得する。
2人のやり取りを見て、苦笑しながら提案した。「じゃあ、弘美に少し多めに渡して、残りを浅香と友理奈で分ける。それでいいだろ?」
無理やり分配を終えると、浅香は少し気まずそうに「ありがとう、銀治先輩。でも次はもっと頑張るから!」とお礼を言い、弘美も「ありがとうございます。次もよろしくお願いします。」と深々と頭を下げた。
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