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第53話 社会の・・・

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 話がまとまると、俺が忘れていたことを友理奈が気が付いた。

「じゃあ、明日から本格的にダンジョンに入ろうか?」

 友理奈が提案すると、俺はハッとなった。

「そうしよう!」

 俺が頷くと、弘美と浅香も嬉しそうにうなずいた。

「それなら、今日のうちにパーティーの手続きをしにギルドへ行こう」と友理奈が言い、俺たちはギルドに向かうことになった。


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 ギルドに到着し、パーティーの手続きについて水木さんに相談すると、手際よく書類を出してくれる。

「市河様、また可愛い方々とパーティーを組むんですね?」

 水木さんが少し冗談めかした口調で言う。

「いや、そんなんじゃなくて・・・ただの仲間、後輩ですよ」

 照れ臭く答える俺を、弘美と浅香が不思議そうに見つめている。

 水木さんはにっこり笑いながら、「それで、稼ぎの配分はどうされますか?」と聞いてきた。

 俺は迷いなく「経費を引いた残りを、人数で均等に割る感じで」と答えると、浅香が目を丸くして「えっ? 本当にそれでいいんですか?」と驚きの声をあげた。

「当たり前だろ? みんなで稼いだ分は平等に分けるのが筋ってもんだし」

 その言葉に浅香は少し安心したように頷き、弘美も満足そうな笑顔を浮かべた。


 ---

 手続きを終えて、ギルドを出ようと踵を返した瞬間、ギルドマスターがトイレから出てきたところにばったり遭遇した。まるで待ち伏せしていたかのように、こちらに気づくとニヤリと笑う。

「おお、お前らか。ちょうど良かった、話がある」

「ギルドマスター、どうかしましたか?」

「お前が以前拾った10階層のボス魔石、調べてみたら少なくとも2000万の価値がある代物だったぞ」

「…2000万ですか!?」思わず声が大きくなってしまう。

「まあな。そういう高価なものは早めに売却して、資金にしたほうがいいだろう」と言うギルドマスターにお礼を言おうとすると、ふと目に入ったものがあった。

「…ギルドマスター、社会の窓が開いてますよ」

「な、何っ!?」ギルドマスターは慌ててジッパーを確認し、顔を赤くしながら咳払いをして「こ、こほん…いいか、ボス魔石はちゃんと売っとけよ」と言ってそそくさと去っていった。

 少し吹き出しそうになるのをこらえつつ、俺たちはギルドを出ることにした。


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 その後、友理奈を家まで送り届けた後、俺は自分のアパートに急ぎ、押し入れに雑に入れてあった例の魔石を取り出して、再びギルドへ戻る。

 ギルドマスターに正式に魔石を渡し、売却手続きを済ませる。

「これで君の活動資金も潤うだろうな」

 そう言われ、俺は思いがけない資金を得ることになった。明日からの冒険がますます楽しみだが、結局あのボス魔石は俺のものと正式になっていたことを思い知らされた。

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