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第40話 呼び捨てと封鎖

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 森雪さんとの楽しい買い物も終わりに近づいていた。二人でいろんな店を渡り歩き、服や新しい装備である槍や盾を買い揃えたけど、これって主にハンター活動に必要な買い物とはいえ、ある意味デートだよね?

 森雪さんは自然な感じで微笑みながら俺を見つめてくる。その雰囲気がなんだか少し変わったような気がした。

「銀治くん、私、お願いがあるんだけど・・・」森雪さんがふと足を止め、少し照れくさそうに言った。

「どうしたの?」

 不思議に思って問いかけると、森雪さんは頬を赤らめて続けた。

「私のこと、下の名前で呼んでほしいなって・・・」

「えっ・・・」

 驚いてしまい少し戸惑いながら、ぎこちなく応える。

「ゆ、友理奈さん・・・?」

 森雪さんは目が笑っていない微妙な笑顔を見せ、首を横に振った。

「友理奈、って呼んでほしいの。もっと・・・親しくね」

「そ、そうか。じゃあ・・・友理奈」

 少し恥ずかしそうに彼女の名前を呼んでみると、森雪さんはさらに柔らかい笑顔を返してくれた。

「うん、ありがとう」

 俺は少し照れくさそうに続けた。

「森じゃなくて友理奈・・・そのさ、俺のことも呼び捨てで呼んでほしいんだ。」

 森雪さんは一瞬驚いたが、すぐに笑みを浮かべた。

「うん、わかった・・・銀治!」

「そ、そう。ありがとう・・・」

 銀治と言われ俺は少し照れくさそうに笑った。

 そのまま歩き続けると、森雪さんがふと思い出したように話し出した。

「銀治、実は私ね、パーティーを正式に抜けることが決まったの。春森くんがああなっちゃって、パーティーが解散しちゃったから・・・」

 驚きつつも、何か察したように頷いた。

「そうなんだ!うん、良かったね」

 森雪さんは少し照れながら、俺の方を見つめて続けた。

「それで、もしよかったら・・・お試しじゃなくて、正式にパーティーを組まない?」

 一瞬大きく目を開き、すぐに嬉しそうに満面の笑顔を向けた。

「もちろん!喜んで!」

 その言葉に森雪さんも笑顔を浮かべ、俺と森雪さんの間にはさらに親しみが芽生えていたと思う。買い物を終えて新しい服や槍と盾を抱えた俺は嬉しさのあまり「やっほー!」と勢いよくジャンプして、森雪さんを驚かせた。

「もう銀治ったらびっくりしたじゃない!」

 森雪さんの笑顔はプライスレスだ!

 俺と森雪さんは、これから新しい未来を共に歩む準備が整ったかのように電車に乗り帰路についたのだった。


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 一方、霧ケ崎ダンジョンの最深部では、A級ハンターのパーティー「暁の戦鎚」が調査を進めていた。リーダーの邑神重俊を中心とした6人、男3人、女3人の精鋭たちがダンジョンの9階層の最奥くまで到達していた。彼らは、通常なら9階層にいるはずのフロアボス、レッサーサイクロプスが不在であることに気づいた。最下層の10階層のボス部屋ももぬけの殻。ボスがいないという異常事態に、邑神は冷静に判断を下した。

「これは・・・イレギュラーボスが10階層に現れて、他の階層のボスを追い出したんだな」と邑神は呟き、パーティーに8階層へ上がるよう指示した。

 彼らが8階層に到達すると、そこにいたのは本来9階層のフロアボスであるレッサーサイクロプスだった。「ここで別のボスがいるなんて、やっぱりギルドマスターの言っていた通りだ」

 邑神は冷静に状況を把握していた。暁の戦鎚の精鋭たちは、レッサーサイクロプスをすぐに倒した。戦いの後、彼らは魔石を拾い上げ、それが通常の9階層ボスのものであることを確認した。

「やっぱり、下の階のボスの魔石で間違いないな・・・」とパーティーメンバーの一人が呟いた。その魔石は約640万円相当のものだった。

 さらに、彼らは転移板を使って階層を上がり、7階層へと移動した。そこには8階層のフロアボスであるジャイアントオーガが待ち構えていた。「ここは任せて」と女性ハンターたちが声を合わせ、オーガを迅速に倒す。その後、転移板を使い、各階層を確認しながら、6階層以上にはボスがいないことを確認した。彼らは、最終的に調査費200万円と、約1000万円相当の魔石やドロップアイテムを手に入れた。

 この調査結果をギルドに報告し、日本で年に一度ほど発生するイレギュラーな現象と判断され、ダンジョンの封鎖は解かれた・・・
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