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第38話 森雪友梨奈

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 友理奈の父親である森雪泰三はかつてB級ハンターとして活動していた。万年C級ハンターとしてぼちぼちやっていたが、運良くレイド戦で得たドロップ品によって新たな攻撃スキルを身につけ、その結果B級ハンターに昇格した。その後、怪我が原因で引退したが、B級になってからの功績から現在はハンター協会の役人として勤めている。

 彼は娘である友理奈のハンターとしての成長を期待してはいるが、心のどこかで彼女が母親の看病に専念できるような日常に戻ることを望んでいる。

 家族の中で特に上の兄は、女性がハンターとして戦うことを嫌っており、友理奈に対して何かと辛く当たっていた。上の兄はB級の実力を持つエリートハンターであり、戦いにおいては冷静で実力主義。しかし、彼女がハンターを目指すことに対しては厳しく、時にはあからさまに非難することもあった。
 一方で下の兄は友理奈に対して優しく接し、彼女をかばうことも多い。彼は彼女がハンターとして成長していく姿を応援しており、彼女に寄り添う存在だった。

 友理奈の母親は不治の病にかかっており、その病気はダンジョンから溢れる魔力によって10万人に1人が発症するというものだ。病気の進行を抑えるのが精一杯で、治すことはできない。家族の稼ぎのほとんどは、母親の治療費に充てられている。

 友理奈は10回潰されたダンジョンの最下層ボスがドロップするのでは?と言われているエリクサーやそれに類する秘薬を手に入れるため、家族の反対を押し切ってハンターになった。しかし、彼女が得たのは回復特化の能力だけだった。かなり希少な人材ではあるが、戦闘力には限りがある。

 そんな中、友理奈はFランクの銀治と出会う。彼の朴訥とした性格や、どこか無骨で飾り気のない服装に目を留めるようになる。銀治の姿は一見すると他のハンターたちに比べ、あまりにも貧相に映るため、友理奈は心配する。

 ある日、友理奈がビキニアーマーをプレゼントされた際、そのお礼も兼ねて銀治にお礼として何かをプレゼントしようと決心する。ビキニアーマーは銀治と一緒にダンジョンに入った時にイレギュラーが発生し、銀治が倒したミノタウロスからドロップした装備品だった。女性用だからと銀治は友理奈にプレゼントしたのだ。そこで、彼女は下の兄と一緒にショッピングセンターへ行くことにした。先日装備を買いに行った時の服装があまりにも酷く、一緒に買い物をしたが荷物が多いので少ししか買えなかった。 
 経済的に苦しいと聞いていたから、服にお金をかけられないのだと理解し、服のセンスが悪いのはその所為だと思っていた。

 兄に銀治のことを話しながら、彼がどれほど一生懸命に家族のために働いているか、どんなに危険な状況でも諦めずに戦っているかを語る。兄は友理奈の話を聞いて微笑み、彼のために何かしてあげたいという彼女の気持ちを理解する。

 ショッピングセンターでは、銀治に似合いそうな服やアクセサリーを二人で探すことに。友理奈は彼の実直で優しい性格を考えながら、彼に相応しい服を選び始める。そして、選んだ服は彼の粗野な印象を和らげるようなシンプルで実用的なデザインのものだった。兄はそんな彼女の姿を見て、「銀治くんって、いい子なんだね。近いうちに会いたいものだ」とほっこりとした表情を浮かべる。

 こうして、友理奈は銀治に贈るための服を購入し、少しずつ彼との距離を縮めていくのだった。彼女にとって、銀治との関係はこれまで感じたことのない安心感をもたらし、少しずつ心を開いていく過程でもあった。
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