34 / 76
第34話 換金
しおりを挟む
日曜日に装備を更新すべく、隣の瑞川市に買い物に出かける話をしたが、森雪さんは少し考えたあと照れくさそうに話し始めた。
「迷惑じゃなければ、私も一緒に行ってもいいかな?」
遠慮がちに一緒に行きたいと言ってくれたので、俺は即座に答える。
「迷惑なんてことないよ!むしろ一緒に来てくれたら心強いきて嬉しいよ!」
その瞬間、俺は何気なく呟いてしまった。
「デート・・・かも?」
自分で言っておいて、慌ててその言葉を飲み込もうとしたが、聞き返してこないから聞こえなかったよね?
森雪さんが少し驚いた表情をして耳を赤く染めていた。
「え?う、うん。た、確かにデ、デート・・・よね?」
小さな声で呟いた後、「よし、気合を入れなきゃ!」と決意を固めたような声がかすかに聞こえた。
・・・まさか、そんなことないよな?俺は一瞬聞き間違えたかと思いつつも、森雪さんの真剣な顔を見て、心の中でますます混乱した。
「いや、たぶん・・・普通に買い物の手伝いって意味だよな」
自分に言い聞かせながら、俺はその日曜が少し特別なものになりそうだと、期待半分、不安半分の気持ちで考えていた。
その日は森雪さんを家の前までタクシーで送り届けた。彼女の家はやはり豪邸で、門の前で別れ際に驚いたと言うか、ヘタレな俺には不可能な提案をしてきた。
「寄っていく?」
家に入るように誘ってくれたが、俺は断るしか無かった。
「今日は家族に美味しいものを食べさせたいから」
苦しい言い訳をして断った。森雪さんも納得してくれたが、少し寂しそうに見えたのは気のせいじゃなかったかもしれない。
家に帰ると、今回の稼ぎの一部である300万を家のお金に入れ、少しでも家族の生活を楽にしたいと思った。残りは装備などの強化に使うつもりで、特に明日は500万を剣の購入に使おうと考えていた。そんなことを思いながらベッドに腰掛け、これまでのダンジョンでの戦いと、その結果として得たものを思い返し、まとめてみることにした。
ダンジョンでの稼ぎの記録
1回目: ピグミーバット、ビッグラット狩り
ドロップ: 魔石×5(500円×5=2500円)
その他: 小型の爪や羽(換金不可)
2回目: レイド戦参加(春森新司たちとのダンジョン)
ドロップ:ボスの魔石・レイド戦で10階層のボス分(押し入れの中・未鑑定)
ボスドロップ: 黒い外套(未鑑定・かなりの防御力があるとしかわかっていない)
ロングソード(400万円相当の鑑定価値)
その他未鑑定アイテム:
スキルオーブ(効果未確認・未鑑定・レイド戦で道中の魔物がドロップした)
3回目の戦果(3階層)
ドロップ品:
倒した魔物: 大蝙蝠×8、メタボキャット×6、ボア×10
金額
魔石:大蝙蝠とメタボキャット:1000円×14(14,000円)
ボア:2000円×10(20,000円)
その他:ボアの粗皮×3(一枚1万円、合計30,000円)
合計64,000円
4回目: ミノタウロス討伐(本日)
ボスドロップ: 魔石(黒魔石)×1(1000万円相当)
ビキニアーマー(後に500万円相当・精神力が弱いほど防御力が上がる特殊アイテム)森雪さんに。
その他情報:銀治のメイン武器 レイド戦でボス撃破後に拾ったのロングソード(鑑定評価により400万円相当・タングステンカーバイト製、耐酸性特性)
書き出してみると、今日のミノタウロス討伐は本当に驚異的な稼ぎだった。特にビキニアーマーと黒魔石の価値が大きい。ビキニアーマーは森雪さんにあげるとした手前手放すことは確定だ。もしミノタウロスの魔石がなければどうなったか分からないけど、2人で入ったダンジョンの稼ぎで、俺の方が多く貰うことになるから気にしないでと強引に受け取ってもらった。
そして、レイド戦で手に入れたロングソードも400万円の価値があるとは驚きだ。かなりの強度だが、重いのが難点だ。
ただ、未鑑定の黒い外套や押し入れにしまい込んだ魔石も気になる。次の休みにでもそれらをギルドで鑑定してもらおうか。
「これからもっと強くならなきゃな・・・」
自分を奮い立たせるように呟きながら、俺は眠りについた。
・
・
・
魔石の価値についての説明
ダンジョン内で得られる魔石の価値は、階層によって変わる。1階層での魔石の価値は500円だが、階層が下がるごとに倍になり、2階層で1000円、3階層で2000円となる。さらに各階層にいるフロアボスがドロップする魔石はその階層で出る通常の魔物に対し10倍の価値を持っている。例えば、1階層のボスが5000円、3階層のボスなら2万円となる。
今回のミノタウロスは本来なら7階層のボスで、ドロップした『黒魔石』は通常の30倍の価値を持ち、1000万円相当のものだ。これは特別な上乗せがされているため、単純な計算よりも少し高額なものになっている。
「迷惑じゃなければ、私も一緒に行ってもいいかな?」
遠慮がちに一緒に行きたいと言ってくれたので、俺は即座に答える。
「迷惑なんてことないよ!むしろ一緒に来てくれたら心強いきて嬉しいよ!」
その瞬間、俺は何気なく呟いてしまった。
「デート・・・かも?」
自分で言っておいて、慌ててその言葉を飲み込もうとしたが、聞き返してこないから聞こえなかったよね?
森雪さんが少し驚いた表情をして耳を赤く染めていた。
「え?う、うん。た、確かにデ、デート・・・よね?」
小さな声で呟いた後、「よし、気合を入れなきゃ!」と決意を固めたような声がかすかに聞こえた。
・・・まさか、そんなことないよな?俺は一瞬聞き間違えたかと思いつつも、森雪さんの真剣な顔を見て、心の中でますます混乱した。
「いや、たぶん・・・普通に買い物の手伝いって意味だよな」
自分に言い聞かせながら、俺はその日曜が少し特別なものになりそうだと、期待半分、不安半分の気持ちで考えていた。
その日は森雪さんを家の前までタクシーで送り届けた。彼女の家はやはり豪邸で、門の前で別れ際に驚いたと言うか、ヘタレな俺には不可能な提案をしてきた。
「寄っていく?」
家に入るように誘ってくれたが、俺は断るしか無かった。
「今日は家族に美味しいものを食べさせたいから」
苦しい言い訳をして断った。森雪さんも納得してくれたが、少し寂しそうに見えたのは気のせいじゃなかったかもしれない。
家に帰ると、今回の稼ぎの一部である300万を家のお金に入れ、少しでも家族の生活を楽にしたいと思った。残りは装備などの強化に使うつもりで、特に明日は500万を剣の購入に使おうと考えていた。そんなことを思いながらベッドに腰掛け、これまでのダンジョンでの戦いと、その結果として得たものを思い返し、まとめてみることにした。
ダンジョンでの稼ぎの記録
1回目: ピグミーバット、ビッグラット狩り
ドロップ: 魔石×5(500円×5=2500円)
その他: 小型の爪や羽(換金不可)
2回目: レイド戦参加(春森新司たちとのダンジョン)
ドロップ:ボスの魔石・レイド戦で10階層のボス分(押し入れの中・未鑑定)
ボスドロップ: 黒い外套(未鑑定・かなりの防御力があるとしかわかっていない)
ロングソード(400万円相当の鑑定価値)
その他未鑑定アイテム:
スキルオーブ(効果未確認・未鑑定・レイド戦で道中の魔物がドロップした)
3回目の戦果(3階層)
ドロップ品:
倒した魔物: 大蝙蝠×8、メタボキャット×6、ボア×10
金額
魔石:大蝙蝠とメタボキャット:1000円×14(14,000円)
ボア:2000円×10(20,000円)
その他:ボアの粗皮×3(一枚1万円、合計30,000円)
合計64,000円
4回目: ミノタウロス討伐(本日)
ボスドロップ: 魔石(黒魔石)×1(1000万円相当)
ビキニアーマー(後に500万円相当・精神力が弱いほど防御力が上がる特殊アイテム)森雪さんに。
その他情報:銀治のメイン武器 レイド戦でボス撃破後に拾ったのロングソード(鑑定評価により400万円相当・タングステンカーバイト製、耐酸性特性)
書き出してみると、今日のミノタウロス討伐は本当に驚異的な稼ぎだった。特にビキニアーマーと黒魔石の価値が大きい。ビキニアーマーは森雪さんにあげるとした手前手放すことは確定だ。もしミノタウロスの魔石がなければどうなったか分からないけど、2人で入ったダンジョンの稼ぎで、俺の方が多く貰うことになるから気にしないでと強引に受け取ってもらった。
そして、レイド戦で手に入れたロングソードも400万円の価値があるとは驚きだ。かなりの強度だが、重いのが難点だ。
ただ、未鑑定の黒い外套や押し入れにしまい込んだ魔石も気になる。次の休みにでもそれらをギルドで鑑定してもらおうか。
「これからもっと強くならなきゃな・・・」
自分を奮い立たせるように呟きながら、俺は眠りについた。
・
・
・
魔石の価値についての説明
ダンジョン内で得られる魔石の価値は、階層によって変わる。1階層での魔石の価値は500円だが、階層が下がるごとに倍になり、2階層で1000円、3階層で2000円となる。さらに各階層にいるフロアボスがドロップする魔石はその階層で出る通常の魔物に対し10倍の価値を持っている。例えば、1階層のボスが5000円、3階層のボスなら2万円となる。
今回のミノタウロスは本来なら7階層のボスで、ドロップした『黒魔石』は通常の30倍の価値を持ち、1000万円相当のものだ。これは特別な上乗せがされているため、単純な計算よりも少し高額なものになっている。
43
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる